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Kate Bush(2)

 ケイト・ブッシュの12年ぶりのアルバム「Aerial」が昨日届いた。それからずっと聞いている。と言っても、じっと耳を澄ましてきているほど時間があるわけではないので、何かをしながら小耳に挟む程度だが、それにしても素晴らしい。彼女は私と同じ1958年生まれ、さすがにおばさんになっちまったんだろうなと、心配しながら聞き始めたが、そんな心配は無用だった。確かに、昔のように天使でも小悪魔でもないだろう。しかし、彼女にとっての年齢は彼女の才能を熟成させるだけのためにあったとしか思えない。静謐であり、メロディアスであり、力強くもあり、妖艶でもある。何がなんだか分からないくらいの感動を聞けば聞くほど与えてくれる。サザンの「キラーストリート」を聞いたときの懐かしさを感じるわけではない。昔のケイトとはつながっているだろうが、全く独立した作品であるとも思える。しかし、これこそまさしくケイトの真髄を集大成した見事な作品だと言い切ることはできるだろう。
 歌詞を読まずに、まず曲を何度も聴いてみた。ディスク1はケイトのボーカルが前面に出されているが、ディスク2では鳥の声が曲をつないでいく。しかし、美しい声だ。伸びやかに広がる声が聴く者を彼女の世界へ素直に誘う。ただその歌声に身を任せているだけで十分心が安らぐ。要らぬことを考えるな、ただ全身を耳にして彼女の声に身を包め。私はいつしか動きを止め、椅子に腰を深々と下ろして彼女の声にすべてを投げ出す・・・・・・

 私にはこれ以上彼女の楽曲の素晴らしさを伝える文才はない。残念ながら、実際に曲を聴くしか真に体感できる術はない。行間から音が聞こえる、そんな文が綴れたら、どんなにかうれしいだろう・・・
 ここではただ、彼女の歌詞を載せてその素晴らしさの一端を味わうことしかできない。彼女が12年前と一番変わったことはなんだろう。歌詞カードに載っていた彼女の小さな写真、相変わらずに美しい。相変わらずどころか、ますます美しくなったと言ってもいいだろう。その彼女の下に写っている子どもの手、そうだ、彼女は母親になったのだ。男の子の名前は、Bertie 、彼のことを歌った詞を載せよう。彼に対する愛で満ちている。まさしく母の歌だ。
 
  Bertie
Here comes the sunshine      
Here comes that son of mine    
Here comes the everything     
Here's a song and song for him  

Sweet kisses              
Three wishes           
Lovely Bertie           

The most wilful         
The most beaytiful        
The most truly fantastic smile  
I've ever seen          
Sweet kisses           
Three wishes           
Lovely Bertie           

You bring me so much joy      
And then you bring me       
More joy             

母親に愛された男の子は幸せになる、と私は信じている。でも溺愛してはダメだ。しっかり善悪の区別のできる人間に育てなければいけないよ、ケイトさん。

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