毎日いろんなことで頭を悩ましながらも、明日のために頑張ろうと自分を励ましています。
疲れるけど、頑張ろう!
双子(4)
日曜日、芋掘りを終えた我が家に双子がやってきた。およそ2ヶ月ぶりに顔を見たことになる。この間名古屋のデパートに行った折に、彼らのために買っておいたジャンパーを取りに来るよう、連絡してあったのに応えての久しぶりの来訪だ。
私が塾を終え、さあビールでも飲もうかと思っていたところに、弟一家がやってきた。5時過ぎでもうかなり暗かったが、双子たちが来た瞬間に家の中が華やいだ。文字通り、ケイトブッシュの "Here comes the sunshine." という感じだった。妻は土曜から大阪へ『天保12年のシェークスピア』を観に行って留守だし、息子も出かけていて、家には私と父しかいなかった。その父も、子ども達の声を聞きつけて自室から出てきた。双子にうれしそうに声を掛けた瞬間、姪の方が泣き始めた。毎回のことで一種の通過儀礼のようなものだから、私たちもだいぶ慣れっこになった。しかし、甥の方はまったく泣かない。こんなことは初めてだ。ちょこんと座って周りを見回している。何か獲物を探しているようだ。しばらくキョロキョロした後、やおら立ち上がってトコトコとサイドボードのところまで歩いていく。と、そこにあった消しゴムを掴んで口の中に入れた。一瞬のできごとで誰も止められなかったが、弟が駆け寄って取り上げた。慣れた手つきで濡れティッシュを取り出し、消しゴムを丁寧に拭いてから甥の手に返した。甥は満足そうにすぐに口の中に入れ、そのまま歩き回る。オーバーオールの半ズボンをはいているのだが、体が小さくてブカブカなものだから、まるでピエロが歩いているような滑稽な歩き方をする。今度は反対側にあったMDコンポのところまで行き、息子のMDを手で巻き散らかした。「こら!」と怒鳴ったところで、聞きわけができる歳でもないから笑って見ているしかない。本当に小さな台風のような奴だ。
姪は、その間ずっと母親にしがみついたままぐずっていた。泣きじゃくることはしなかったが、着いてから30分以上は離れようとはしなかった。それが、母親が持ってきた幼児雑誌『マミー』をバッグから取り出すと、目ざとく反応してじっと本を見つめ始める。母親が床に座らせても平気で、『マミー』を見入っている。母親によれば、姪の方が本に興味を示すらしい。「この子とはコミュニケーションがとれるんですよ」と彼女は言ったが、確かに「アンパンマンはどれ?」と聞かれれば指でさし示すことができた。やっと私たちにも馴染めたようで、立ち上がって歩き始めたが、振る舞いはおっとりしていて、どことなくお嬢さまめいた挙措である。ピエロの坊主が引き立て役になって暴れれば暴れるほど、まるでお姫様のごとく優雅に見えてくる。「大きくなったらこまっしゃくれた小娘になるぞ」と私が言ってやると、弟は何故かうれしそうな顔をした。お嬢さまに育てることができれば父親としては本望なんだろうと、見事にお嬢さま風に育った我が愛娘のことをちらっと頭に思い浮かべて、思わず溜息をついた。
妻がいないため、夕食は近くのうどん屋から出前をとった。息子も帰宅して総勢7名で食卓を囲んだ。この時にも双子それぞれの性格の違いが如実に表れて興味深かった。姪の方は父親のひざの上に座って、スプーンで口に運ばれてくるご飯をおとなしく食べていたが、甥の方は専用のベルトで椅子にくくりつけられ、立ち上がれないようにさせられてから、あれこれ食ベ物をもらっていた。それでも手足をばたつかせて、ずっと躁状態のままであると思えるほど、やたら元気な奴である。
食後、義妹に「近所の公園に遊びに行ったりするの?」とたずねたところ、「私一人では無理、この子がどこに行っちゃうか分からないから・・」と甥の方を向く。奴は相変わらず元気に動き回ってとうとう室内をグチャグチャにしてくれた。2時間くらい一緒にいただけで結構疲れたのに、これを24時間毎日続けなければいけない義妹も大変だな、と心底思った。彼女の実家の母が応援に来てくれているようなので何とかやっていけてるようだが、本当に大変なことだ。弟が休みの日にはなにかと手伝っているようだが、力を合わせて元気に育てていってくれよと願うばかりである。
大騒動の後で車に乗り込み、帰宅の途についた彼らに手を振りながら、「頑張れよ」と声を掛けた。兄らしいことはなかなかしてやれないが、服ぐらいだったらいつでも買ってやるからな、と心の中で叫んだ。
私が塾を終え、さあビールでも飲もうかと思っていたところに、弟一家がやってきた。5時過ぎでもうかなり暗かったが、双子たちが来た瞬間に家の中が華やいだ。文字通り、ケイトブッシュの "Here comes the sunshine." という感じだった。妻は土曜から大阪へ『天保12年のシェークスピア』を観に行って留守だし、息子も出かけていて、家には私と父しかいなかった。その父も、子ども達の声を聞きつけて自室から出てきた。双子にうれしそうに声を掛けた瞬間、姪の方が泣き始めた。毎回のことで一種の通過儀礼のようなものだから、私たちもだいぶ慣れっこになった。しかし、甥の方はまったく泣かない。こんなことは初めてだ。ちょこんと座って周りを見回している。何か獲物を探しているようだ。しばらくキョロキョロした後、やおら立ち上がってトコトコとサイドボードのところまで歩いていく。と、そこにあった消しゴムを掴んで口の中に入れた。一瞬のできごとで誰も止められなかったが、弟が駆け寄って取り上げた。慣れた手つきで濡れティッシュを取り出し、消しゴムを丁寧に拭いてから甥の手に返した。甥は満足そうにすぐに口の中に入れ、そのまま歩き回る。オーバーオールの半ズボンをはいているのだが、体が小さくてブカブカなものだから、まるでピエロが歩いているような滑稽な歩き方をする。今度は反対側にあったMDコンポのところまで行き、息子のMDを手で巻き散らかした。「こら!」と怒鳴ったところで、聞きわけができる歳でもないから笑って見ているしかない。本当に小さな台風のような奴だ。
姪は、その間ずっと母親にしがみついたままぐずっていた。泣きじゃくることはしなかったが、着いてから30分以上は離れようとはしなかった。それが、母親が持ってきた幼児雑誌『マミー』をバッグから取り出すと、目ざとく反応してじっと本を見つめ始める。母親が床に座らせても平気で、『マミー』を見入っている。母親によれば、姪の方が本に興味を示すらしい。「この子とはコミュニケーションがとれるんですよ」と彼女は言ったが、確かに「アンパンマンはどれ?」と聞かれれば指でさし示すことができた。やっと私たちにも馴染めたようで、立ち上がって歩き始めたが、振る舞いはおっとりしていて、どことなくお嬢さまめいた挙措である。ピエロの坊主が引き立て役になって暴れれば暴れるほど、まるでお姫様のごとく優雅に見えてくる。「大きくなったらこまっしゃくれた小娘になるぞ」と私が言ってやると、弟は何故かうれしそうな顔をした。お嬢さまに育てることができれば父親としては本望なんだろうと、見事にお嬢さま風に育った我が愛娘のことをちらっと頭に思い浮かべて、思わず溜息をついた。
妻がいないため、夕食は近くのうどん屋から出前をとった。息子も帰宅して総勢7名で食卓を囲んだ。この時にも双子それぞれの性格の違いが如実に表れて興味深かった。姪の方は父親のひざの上に座って、スプーンで口に運ばれてくるご飯をおとなしく食べていたが、甥の方は専用のベルトで椅子にくくりつけられ、立ち上がれないようにさせられてから、あれこれ食ベ物をもらっていた。それでも手足をばたつかせて、ずっと躁状態のままであると思えるほど、やたら元気な奴である。
食後、義妹に「近所の公園に遊びに行ったりするの?」とたずねたところ、「私一人では無理、この子がどこに行っちゃうか分からないから・・」と甥の方を向く。奴は相変わらず元気に動き回ってとうとう室内をグチャグチャにしてくれた。2時間くらい一緒にいただけで結構疲れたのに、これを24時間毎日続けなければいけない義妹も大変だな、と心底思った。彼女の実家の母が応援に来てくれているようなので何とかやっていけてるようだが、本当に大変なことだ。弟が休みの日にはなにかと手伝っているようだが、力を合わせて元気に育てていってくれよと願うばかりである。
大騒動の後で車に乗り込み、帰宅の途についた彼らに手を振りながら、「頑張れよ」と声を掛けた。兄らしいことはなかなかしてやれないが、服ぐらいだったらいつでも買ってやるからな、と心の中で叫んだ。
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