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ハウルの動く城

 久しぶりにDVDを見た。まとまった時間が取れるのは日曜日だけ、その日曜日も授業が終わった瞬間に、ビールを飲んでだらだらモードに入ってしまうと何か1つの行動を起こすのが億劫になってしまい、何をやっていたのか分からぬままに時間が過ぎてしまう。ずっとこの繰り返しで、月曜の朝目覚めると、軽い二日酔いの頭で「あ~あっ」と溜息をつくことになっている。
 しかし、昨日は先週半ばに送られてきた「ハウルの動く城」を見ようと固く心に決めていた。それは、このブログのネタにする下心があったのと、最近になってやたらDVD発売のジブリのCMを見かけるようになり、「そんなに宣伝するなら見てやるよ」くらいの気持ちが湧いてきたからである。
 5時に塾を終え、自宅に戻ると妻が一人で「ハウル」を見終えたところだった。「どうだった?」と私が尋ねると「木村さんがよかった」とトンチンカンな答えが帰って来た。「だめだと言う人もいたから心配してたけど、よかったよ、木村さん」おいおい、いくらSMAPヲタだからと言っても、木村拓哉だけじゃないだろう。「話はどうなの?」「う~ん、ジブリが自己満足してるだけかな・・」「どういうことだ?」「見るんでしょ?見れば分かるんじゃない?」確かに見ればなにかが分かるんだろうけど・・「お前とは観点が違うからなあ」何でもかんでも、SMAPを基準にものを見られてはかなわない。私がそう嫌味を言っても「木村さんかっこいいわ。これならツヨポン(草なぎ剛)の『ロボッツ』も見なきゃいけない」と訳の分からぬことを呟いているだけなので、感想を聞くのは諦めた。
 夕食後、酔いも手伝ってうたた寝をしてしまい、はっと気付いたのが10時頃。2時間の映画だから、12時過ぎまでかかるかと思いながら見始めた。
 確かにハウルはカッコいい。1人だけ絵柄が違っていて、ジブリのキャラだとは思えない。木村拓哉の声もまあ悪くはない。しかし、その分ソフィーの声をやっている倍賞千恵子に無理を感じてしまった。ソフィーが魔法によって婆さんになった時はいいけれど、若い姿の時にはかなり違和感を感じた。声に若さがない。聞いていて切なくなってきたのは、私だけなんだろうか。そう言えばソフィーの顔立ちが若い頃の彼女に似ている。それだから過敏に反応してしまったのかもしれないが、残念な気持ちが拭えない。
 物語は3分の2までは面白かった。映像もきれいだし、ハウルの城など精緻に描かれていて人が言うほど駄作でもないなと思った。このまま行ったら最高傑作かも、と淡い期待を持ったが、やはりその期待は無残にも押しつぶされてしまった。ハウルの城が、魔女サリマンに見つかるといけないからと一旦壊されたまではいいが、それなら何故またすぐに作り直させたのだろう?もうここから先は話が全くちんぷんかんぷんで何がなにやら分からぬまま、エンディングになってしまった。最後にサリマンが、「王様を呼んで、こんなくだらない戦争をやめさせましょう」と言ったくだりでは、そんな力があるなら始めから戦争をやらせるな、と思わず叫びたくなってしまった。第一、どうして戦争が行われているのかについて、何の説明もなかったではないか。私が酔っ払っていたせいなのだろうか、話に訳の分からないことが多すぎる。
 そんなことを考えずに映像を楽しめよ、とジブリは言いたいのか。そういう意味なら妻の「ジブリが自己満足している」という意見も納得できる。「もう一回見たら話の内容が分かるかも」と妻は言うが、何度も見なけりゃ分からないような映画を作るな、と言いたい。原作があるようだから、機会があったら読んで、本当にこんな訳の分からぬ話なのか、ぜひ確かめてみたい。
 娘は映画館でこの映画を2、3回見たらしい。何に引かれてそんなに見たものなのか今度帰ってきたら聞いてみよう。まあ、セミプロ気取りで、とうとうと持論を展開してくれるだろうが、途中で聞くのが面倒くさくなるだろうな、きっと。
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