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藤原竜也(3)

 昨日、11月27日は妻の待ちに待った藤原竜也くんとの握手会だった、いつもよりもおめかしをした彼女を駅まで送って行く前に、喫茶店に立ち寄ったところ、妻がこの服にはやっぱりブーツの方が似合う、と言い出した。私は彼女のなすがままにしておくのが一番面倒ではないため、車のキーを渡した。10分ほど経って戻ってきた彼女は完璧ないでたちだった。そそくさとコーヒーを飲み終えた妻を駅まで送って行ったのだが、普段よりなまめかしい彼女を見送るのは、自分のためではなく、藤原竜也という小僧っ子のためだと思うと情けない気もしたが、それも仕方ないものと、頑張って来いよと、意味不明のエールで送り出してやった。。
 しかし、妻がなかなか帰って来ない。夕食は、私の父が掘ってきた自然薯をすってとろろにして、行く秋の味を満喫したから何の不満もない。妻は大学時代の友人との同窓会みたいなものを中抜けして握手会に行き、その後また同窓会に戻るとか言っていたから遅いのは承知の上だが、それにしても遅い。少し心配になって10時過ぎに塾舎から自宅に戻ってみたら、もう帰っていた。なんだと少々拍子抜けしたが、「握手、握手」という私を全く無視して、「ただいま」と晴れやかに答えた後は、「握手会はどうだった」と私が聞いた瞬間から話が止まらなくなった。
 「電話で予約するだけで、当日来ればいいらしくって、色んな所から300人くらい集まっていたと思う。私は92番だったけど、SMAP仲間のNさんがいたから一緒に並ばせてもらって、120番すぎに並んだの。書店の事務所の一室を借りたようなところで、まるで何かの面接会場みたいに一人ずつ入っていって握手するようになっていた。長い人もいれば、短い人もいて時間はまちまちだったと思う。中には藤原クンの笑い声も聞こえた人もいたから、本当に人それぞれだったと思う」
 「で、お前はどうだったんだい?」インタビュアー気取りの私がたずねると、そこからはまさに夢見心地に答えてくれた。
 「Nさんは(香取)慎吾がイチオシの人だから、先に行ってもらって様子をうかがおうとしたんだけれど、さすがに何でもしゃべれるみたいで、来年の正月の『新撰組!』の話題で藤原くんから、『切られる場面しか出てないですけどね』という言葉を引き出したからびっくりしちゃった」その後は自分の順番がくるまで夢見心地だったそうだが、いざ自分の番になってもその気分は晴れなかったらしい。ただ、「天保の舞台見ました。次の舞台が決まったそうですね」と聞いたところ、「ありがとうございます。今度の舞台は落ち着いたものになります」と手をぎゅっと握り返して、答えてくれたそうだ。もうまったく、もうすぐ47になるおばさんにはとても見えない様子で、胸に手を合わせて何かを祈っている姿は、憑き物がついたとしか思えない。「こうなったら、藤原クンの舞台は全部見る!!」と私に宣言されても仕方がない。お前の息子は、来年大学受験で母親が浮ついていてどうするといいたいところだが、ぐっと我慢した。
 「握手したんだから、藤原には相当近づいたんだろうな?」とたずねる私に、これくらいの目線で話をした、と語ってくれるがそんなことを言われても困ってしまう。藤原竜也23才、私のイメージとしては小さい男のような気がするが、身長は180cmくらいあり、とにかくカッコイイのだそうだ。「俺と同じ位の背か」と対抗できるものが身長しかない私は、悔し紛れに言ってみるが、「背は同じくらいかもしれないけど、かっこよさがねえ・・」馬鹿か、私はお前のためにかっこよさを犠牲にして今日まで頑張ってきたのに、などと叫んでみたいのだが、いつになったらそんなことが言えるんだろう。
 まあ、そんなことが言ってられるうちはお互いが幸せな証拠だから、言わせておくしかないんだろうけど。
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