毎日いろんなことで頭を悩ましながらも、明日のために頑張ろうと自分を励ましています。
疲れるけど、頑張ろう!
海陽学園
2005年12月23日 / 塾
12月21日の中日新聞に次の記事が載っていた。
「海陽学園の設置を認可 愛知県私学審議会」
愛知県私立学校審議会が20日開かれ、トヨタ自動車、JR東海、中部電力の3社が愛知県蒲郡市で設立を進めている中高一貫の全寮制男子校「海陽中等教育学校」について、学校法人の設立と学校の設置を認可する答申を出した。同校の学校法人名は海陽学園(豊田章一郎代表)で、来年4月、リゾート施設「ラグーナ蒲郡」内の13万㎡の敷地に開校する予定。学費は寮費、食費を含めて約350万円。
学校施設などの準備が整い次第、県は来年3月に認可書を交付する予定。
私は仕事柄、この学校については以前から注目して来た。トヨタ・JR東海・中部電力という大資本をバックに、東大合格24年連続トップの開成高校の元校長を初代校長に迎えたこの学校が何を目的に設立されたのか、大いに興味を持ったからだ。学校設立に動いた財界首脳の中で最も熱心とされるJR東海会長の言葉が示唆に富んでいる。
「日本の教育はリーダーシップの養成から目をそむけてきた。今の小学生は塾で徹底的に受験訓練を受けるが、偏差値を目標とするのは高い志とはいえず、一流大学に入っても志がないと意味がない。寮は人間的な成長を助け、創造性や自主性をはぐくむ自由な時間を生んでくれるだろう」
こうした首脳らのロマンを実現するため、教員は全国の進学校から集められ、ハウス(寮)の監督者は世界をまたに駆けたビジネスマンを中心に、各社からの若手出向社員が務める。また、生徒の安全を図るため全ての建物への入退出をITで管理し、防犯カメラや動体検知システムで校内を監視し、生徒が常に校内のどこにいるのか把握できるよう、IT端末を持たせるという。
なんだか夢の世界のような話だが、私ならこんな学校に入りたくはないし、子供も入学させたくない。まず第一に、偏差値を目的にする愚かさを指摘しながら、偏差値の頂点に立つ学校のトップを校長に据えたことから、本音が見えてくる。結局は東大至上主義を踏襲するだけで、自分たちの既得権を守るのに都合のいい人間を作り出すための学校ではないかと、勘繰りたくなってしまう。
第二に、寮生活というものは今の時代果たして上手く機能するのだろうか。現代の子供は少子化の影響で、まるで王様のように育てられている者たちが多い。塾の子供たちを見ていても我儘で協調性のない者が多くいる。それらを集めて、集団の中で生きていく上で大切な規律を教えるという考えは素晴らしいものだと思う。「個」としてしか自らをとらえられない現代の子供たちが、集団の中で「他」を認め合っていくことができれば、それこそ真の教育といえよう。だが、今の子供たちがそこにたどり着くまで辛抱できるだろうか。すぐにいじめの問題が出てくるだろうし、上手く集団に溶け込めない者たちもいることだろう。それよりも親が責任を持って中学生くらいまではしっかりと育てていくことの方が大切だと思う。親が子育てを外部委託するようなものだと私には思える。
さらに、施設があまりに温室的過ぎるように思う。確かに昨今の不穏な世情を見れば、子供の安全を図るのが学校としては第一条件だろう。しかし、中学生男子がそこまで庇護されながら成長していってもいいものだろうか。街を歩けば様々な誘惑が待ち受けているだろうし、危ない男達も待ち受けているかもしれない。が、そうしたいわば通過儀礼を自力で乗り越えていくことこそが大人になることではないだろうか。危険を知らない人間が危険を回避することができるだろうか。昔、ひ弱な子供を「もやしっ子」と揶揄することがよくあったが、そんなイメージが浮かんできてしまう。
年間350万円も子供につぎ込めるだけの財力を持った親たちが、説明会には多く集まるそうだ。さすがに私の塾でこの学校を今年受験する者はいないが、これからいつ希望者が現れるかもしれない。そうした時までに、上にあげた疑問点が解消されていれば「お勧めします」と言えるかもしれないが、現段階で私に意見を求められたら、「やめておきなさい」と答えようと思う。
「海陽学園の設置を認可 愛知県私学審議会」
愛知県私立学校審議会が20日開かれ、トヨタ自動車、JR東海、中部電力の3社が愛知県蒲郡市で設立を進めている中高一貫の全寮制男子校「海陽中等教育学校」について、学校法人の設立と学校の設置を認可する答申を出した。同校の学校法人名は海陽学園(豊田章一郎代表)で、来年4月、リゾート施設「ラグーナ蒲郡」内の13万㎡の敷地に開校する予定。学費は寮費、食費を含めて約350万円。
学校施設などの準備が整い次第、県は来年3月に認可書を交付する予定。
私は仕事柄、この学校については以前から注目して来た。トヨタ・JR東海・中部電力という大資本をバックに、東大合格24年連続トップの開成高校の元校長を初代校長に迎えたこの学校が何を目的に設立されたのか、大いに興味を持ったからだ。学校設立に動いた財界首脳の中で最も熱心とされるJR東海会長の言葉が示唆に富んでいる。
「日本の教育はリーダーシップの養成から目をそむけてきた。今の小学生は塾で徹底的に受験訓練を受けるが、偏差値を目標とするのは高い志とはいえず、一流大学に入っても志がないと意味がない。寮は人間的な成長を助け、創造性や自主性をはぐくむ自由な時間を生んでくれるだろう」
こうした首脳らのロマンを実現するため、教員は全国の進学校から集められ、ハウス(寮)の監督者は世界をまたに駆けたビジネスマンを中心に、各社からの若手出向社員が務める。また、生徒の安全を図るため全ての建物への入退出をITで管理し、防犯カメラや動体検知システムで校内を監視し、生徒が常に校内のどこにいるのか把握できるよう、IT端末を持たせるという。
なんだか夢の世界のような話だが、私ならこんな学校に入りたくはないし、子供も入学させたくない。まず第一に、偏差値を目的にする愚かさを指摘しながら、偏差値の頂点に立つ学校のトップを校長に据えたことから、本音が見えてくる。結局は東大至上主義を踏襲するだけで、自分たちの既得権を守るのに都合のいい人間を作り出すための学校ではないかと、勘繰りたくなってしまう。
第二に、寮生活というものは今の時代果たして上手く機能するのだろうか。現代の子供は少子化の影響で、まるで王様のように育てられている者たちが多い。塾の子供たちを見ていても我儘で協調性のない者が多くいる。それらを集めて、集団の中で生きていく上で大切な規律を教えるという考えは素晴らしいものだと思う。「個」としてしか自らをとらえられない現代の子供たちが、集団の中で「他」を認め合っていくことができれば、それこそ真の教育といえよう。だが、今の子供たちがそこにたどり着くまで辛抱できるだろうか。すぐにいじめの問題が出てくるだろうし、上手く集団に溶け込めない者たちもいることだろう。それよりも親が責任を持って中学生くらいまではしっかりと育てていくことの方が大切だと思う。親が子育てを外部委託するようなものだと私には思える。
さらに、施設があまりに温室的過ぎるように思う。確かに昨今の不穏な世情を見れば、子供の安全を図るのが学校としては第一条件だろう。しかし、中学生男子がそこまで庇護されながら成長していってもいいものだろうか。街を歩けば様々な誘惑が待ち受けているだろうし、危ない男達も待ち受けているかもしれない。が、そうしたいわば通過儀礼を自力で乗り越えていくことこそが大人になることではないだろうか。危険を知らない人間が危険を回避することができるだろうか。昔、ひ弱な子供を「もやしっ子」と揶揄することがよくあったが、そんなイメージが浮かんできてしまう。
年間350万円も子供につぎ込めるだけの財力を持った親たちが、説明会には多く集まるそうだ。さすがに私の塾でこの学校を今年受験する者はいないが、これからいつ希望者が現れるかもしれない。そうした時までに、上にあげた疑問点が解消されていれば「お勧めします」と言えるかもしれないが、現段階で私に意見を求められたら、「やめておきなさい」と答えようと思う。
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