毎日いろんなことで頭を悩ましながらも、明日のために頑張ろうと自分を励ましています。
疲れるけど、頑張ろう!
個人主義
林望「新個人主義のすすめ」(集英社新書)を読んだ。私は、この本を買ったとき、リンボウ先生が旧来の個人主義に新しい光を当てた「新個人主義」のすすめが書いてあるものだと思っていた。夏目漱石の「私の個人主義」を読んだ高校生の頃から、個人主義の何たるかについては私なりの考えを持っているつもりだ。だから、この本を読めば私の未熟な認識に新しい視点を加えることができるのではないか、と期待して読み始めたのだが、私が読み取った内容は意外にも、新「個人主義のすすめ」について書かれたものだった。漱石以来様々な人々が、日本人もイギリス流の個人主義的な考え方・生き方を身に着けるようにと説いてきたが、それを改めて今日的な状況に即して、リンボウ先生自らの経験を語りながら、「個人主義的な生き方をした方がずいぶんと生き易くなるよ」と読者にやさしく説く、といった内容になっている。では、リンボウ先生の言う「個人主義的な生き方」とはどんなものなのだろう。それはこの本の終わりにまとめとして掲げられた「個人主義の二十箇条」を読めば明らかだ。
・個人主義はつるまない。
・個人主義は他者を認めて調和する。
・個人主義は思いやりの心を大切にする。
・個人主義は不必要に人に干渉しない。
・個人主義は自分の言行に最後まで責任を持つ。
・個人主義は威張らない。
・個人主義は人に無駄をおしつけない。
・個人主義は自分の好みを人におしつけない。
・個人主義は感情に流されない。
・個人主義は約束を守る。
・個人主義は時間を大切にする。
・個人主義は付和雷同しない。
・個人主義は流行に流されない。
・個人主義は自分を自分らしく表現する。
・個人主義は家族を大切にする。
・個人主義は規則を守る。
・個人主義は人の話を良く聴く。
・個人主義は貪(むさぼ)らない
・個人主義はいつも静かに。
・個人主義は環境に配慮した暮らしをする。
一人一人の人間が独立した人間であることを尊重することが個人主義の基本なのだろうから、上の二十箇条を実践できるなら、確かにすばらしい個人主義者だといえよう。本書で何度も繰り返されるように、個人主義とは、己のことを常に中心に考える利己主義とは対極に位置する生き方であり、利他主義とも呼べるものである。だが、もし、この二十箇条をすべて実践する人が身近にいたなら、どうだろう、その人と仲良くできるだろうか?完璧すぎるのも逆に嫌味で、私のような人間では、胸襟を開いて付き合うことなどできそうもない。リンボウ先生は自らを生粋の個人主義者だと公言して憚らないが、周りからは付き合いづらい人間だと思われていたのではないかと心配になる。しかし、先生はまったくひるまない。
「自分の信念を曲げるな。それで生じてくるちっぽけな損失など気にするな」(P.116)
と意気軒昂である
だが、それは本当に難しいことだと思う。リンボウ先生のように有能な人物なら周りの反応など気にせず己の信じた道を突き進むこともできるかもしれない。しかし、大多数の一般的な人々にとって、自らの信念に従って進むことほど難しいことはない。さらには、そこから生じる軋轢に耐えうるだけの力を持った人間などそうはいない。第一信念という確固たるものを持っている人がどれだけいることだろう・・。
今の時代、色んな人が色んなことについて語る。信念などという大そうなものは持ち合わせていなくても、己を語ろうとする人で溢れている。そんな世の中だからこそ、他者を尊重する個人主義的な生き方が必要だというのにはまったく賛成する。でも、そうしたリンボウ先生の「すすめ」も、個人主義の考えにのっとってここまで自分の思う通りに生きてこれたよ、という先生の自慢話のような気がしてしまったのは、私が狭量だからだろうか。ただ、初めて彼の小説「僕の哀しい失敗」を読んだときに感じたエスプリを、本書から読み取ることができなかったのはちょっと寂しかった。
・個人主義はつるまない。
・個人主義は他者を認めて調和する。
・個人主義は思いやりの心を大切にする。
・個人主義は不必要に人に干渉しない。
・個人主義は自分の言行に最後まで責任を持つ。
・個人主義は威張らない。
・個人主義は人に無駄をおしつけない。
・個人主義は自分の好みを人におしつけない。
・個人主義は感情に流されない。
・個人主義は約束を守る。
・個人主義は時間を大切にする。
・個人主義は付和雷同しない。
・個人主義は流行に流されない。
・個人主義は自分を自分らしく表現する。
・個人主義は家族を大切にする。
・個人主義は規則を守る。
・個人主義は人の話を良く聴く。
・個人主義は貪(むさぼ)らない
・個人主義はいつも静かに。
・個人主義は環境に配慮した暮らしをする。
一人一人の人間が独立した人間であることを尊重することが個人主義の基本なのだろうから、上の二十箇条を実践できるなら、確かにすばらしい個人主義者だといえよう。本書で何度も繰り返されるように、個人主義とは、己のことを常に中心に考える利己主義とは対極に位置する生き方であり、利他主義とも呼べるものである。だが、もし、この二十箇条をすべて実践する人が身近にいたなら、どうだろう、その人と仲良くできるだろうか?完璧すぎるのも逆に嫌味で、私のような人間では、胸襟を開いて付き合うことなどできそうもない。リンボウ先生は自らを生粋の個人主義者だと公言して憚らないが、周りからは付き合いづらい人間だと思われていたのではないかと心配になる。しかし、先生はまったくひるまない。
「自分の信念を曲げるな。それで生じてくるちっぽけな損失など気にするな」(P.116)
と意気軒昂である
だが、それは本当に難しいことだと思う。リンボウ先生のように有能な人物なら周りの反応など気にせず己の信じた道を突き進むこともできるかもしれない。しかし、大多数の一般的な人々にとって、自らの信念に従って進むことほど難しいことはない。さらには、そこから生じる軋轢に耐えうるだけの力を持った人間などそうはいない。第一信念という確固たるものを持っている人がどれだけいることだろう・・。
今の時代、色んな人が色んなことについて語る。信念などという大そうなものは持ち合わせていなくても、己を語ろうとする人で溢れている。そんな世の中だからこそ、他者を尊重する個人主義的な生き方が必要だというのにはまったく賛成する。でも、そうしたリンボウ先生の「すすめ」も、個人主義の考えにのっとってここまで自分の思う通りに生きてこれたよ、という先生の自慢話のような気がしてしまったのは、私が狭量だからだろうか。ただ、初めて彼の小説「僕の哀しい失敗」を読んだときに感じたエスプリを、本書から読み取ることができなかったのはちょっと寂しかった。
コメント ( 12 ) | Trackback ( 0 )