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33歳と35歳

 土曜・日曜と重要なスポーツイベントが相次いで行われた。土曜はボクシングWBC世界チャンピオン・内藤大助の2度目の防衛戦、日曜はQちゃんこと高橋尚子の出場した名古屋国際マラソンと、早春を飾るにふさわしい2大イベントが相次いで開かれた。私はいずれも録画したものを見たのだが、あらかじめ結果を知った上で見ても、手に汗握る展開で大いに心が打たれた。
 まずは、内藤。初の防衛戦が亀田弟との泥仕合になってしまい、今回が彼の真価が問われる試合であったが、ドローという雌雄のはっきりしない結末ながらも、チャンピオンベルトを死守できたのは嬉しいことだ。努力を絵に描いたような人間が報われるのを見るのはやはり気持ちがいい。TVでの露出が増え、きちんとトレーニングを積んでいるのか、と心配したこともあったが、結果がすべての勝負の世界で、防衛できたことは彼にチャンピオンとしての実力が十分備わっていることを証明した。初回から最終ラウンドまで決してひるむことなく、絶えず動き回り、相手にダメージを与え続けた奮闘は見ていて胸が熱くなった。12ラウンドになってもまったく衰えない闘争本能は、チャンピオンベルトを守りたいという執念だけではなく、彼の人生全てを懸けた戦いのような気がして、思わず「頑張れ!!」と声が出てしまった。判定の結果には不満そうだったが、とりあえずは最強の敵を下したことで、少しの間は休んで次の試合に備えてもらいたい。 
 Qちゃんは残念だった。必ず優勝するものだと信じて疑わなかった私には、10km手前で失速し始めた彼女の姿は、架空の世界の出来事のような気がして仕方がなかった。Qちゃんがこんなところで多くの選手の後塵を拝するなんて・・、本当に名古屋でこのマラソンは行われているのか、と確かめに行きたくなってしまった。しかし、そんな私の妄想などQちゃんに伝わることもなく、27位という信じられない順位でゴールした。タイムが遅すぎて、TV放送は彼女のゴールの姿を放送できなかったが、2時間44分という、一時は世界最高記録の持ち主であった彼女からは、予想だにできなかった時間でのゴールだった。
 「伝えたいことがある」「諦めなければ夢は実現する」、そうしたメッセージを伝えたいと彼女は試合前に語っていたようだが、そんな達観を披瀝するようになっては、スポーツ選手として結果を残せなくなってしまうのかもしれない。絶頂期の頃には自分のことだけを考えていれば結果が付いてくる。思うような結果が出せなくなると、余計なことにまで気が行ってしまい、あれこれ考え始めるのかもしれない。若い頃なら何も考えずに体を動かしていても、それなりの素質があれば、芳しい成績は残せる。それが、年齢を重ねるうちに体が思うように動かなくなると、体だけでなく心が悲鳴をあげ始めるのかもしれない。Qちゃんが決してあきらめずに最後まで走り続けた姿は美しかったし、TVニュースで見たゴールの様子も感動的だった。しかし、それでもやはり私は彼女が優勝する姿を見たかった・・。
 内藤は33歳、Qちゃんは35歳、スポーツ種目が違うし、性別も違うのでまったく比較にはならないだろうが、33歳の内藤が元気溌剌であったことは私には大いに意味あることだった。と同時にQちゃんが昨年右足ひざの手術をしていたというのを知って複雑な思いになった。と言うのは、私が応援し続けている松井秀喜も内藤と同じ33歳、しかも部位は違うにしてもQちゃんと同じように昨年右ひざを手術したばかりだからだ。「今シーズンこそは頑張ってくれよ!」と応援する気持ちが徐々に高まっているこの頃であるが、「松井ももう若くない、今年体が動かなかったら・・」などとネガティブな思いが去来するのも事実であるだけに、同い年の内藤がすばらしい動きを見せてくれたのは頼もしい限りであり、まだまだ松井が進歩向上する余地は十分にあると思った。しかし、やっぱり体にメスをいれるというのはアスリートに深甚な影響をもたらすものだな、とQちゃんの失速を見て実感した。そうした悲喜こもごもな私の気持ちをなだめてくれるには、グラウンドに立つ松井の姿が一番だ。そろそろオープン戦での出場も噂されているが、忘れられないうちに活躍してほしいと思っている。
 
 「雌伏」という言葉がある。「実力を養いながら活躍の機会をじっと待つこと」という意味だが、今の松井がそんな状態だ。しかし、この言葉の反意語は「雄飛」である。ここ2年、ケガというアクシデントによって色んな思いを封じ込められてきた私には今年こそ松井が雄飛してくれるシーズンになってほしいと思っている。
 とにかくあれこれ考えず、一心に松井を応援していこう!!結果は自然についてくる。
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