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卒業式

 昨日娘が大学を卒業した。4年なんてあっという間だ。ついこの間入学したばかりなのにもう卒業なんてなんだか信じられない。私が年をとって、時間が加速度を付けて通り過ぎていくせいなのかもしれないが、本当に早い。もちろん、本人がそれなりに充実した時間を過ごしたのだったら私がとやかく言うことではないのだが・・。
 4月からそのまま大学院に進むのだから、卒業といっても改まった感慨などないだろうと、勝手に私は思っていたが、本人にとってはそうでもないらしく、去年の秋口から、卒業式に着る着物についてあれこれ妻と電話で打ち合わせをしていたようだ。妻は娘のために留袖が作ってあるからそれを着せようとしたのだが、「黒なんて誰も着ないよ」とけんもほろろに一蹴されてしまった。「それなら逆に目立っていいのに・・」と私などは思うのだが、どうもそれがいやらしくてデパートで着物から袴まで一式借りたようだ。着付けやセット、さらには記念写真まで撮ってくれるようで、ちょっとした成人式のようだ。そんな娘の晴れ姿を母親として妻が見落とせるはずもなく、月曜の夜に京都に出向いて火曜の卒業式に参列した。私も都合がついたら、行ってみたいなと思わないでもなかったが、やはり日程的に無理なので早々に断念した。でも、30年近くぶりに母校の卒業式を見学したかったなと、今でも少々心残りに思っている。
 
 朝起きて、晴れだと確認して安心した。せっかくの門出の日に雨など降っては悲しい。妻に式の様子を「写真に撮って送ってくれ」とメールしたら、しばらくしてこんな写真が送られてきた。題名は「後輩」・・。


 卒業式の会場には、こんなコスプレをした輩が何人かいたようだ。舞妓さんの衣装を着た女子学生、ウエディングドレスを着た男子学生・・・、それを目当てに報道陣も相当数集まっていて、卒業式の荘厳さはあまり感じられなかったらしい。学生最後のバカ騒ぎだと思えば、これくらいのことは大目に見てやらなくちゃいけないのかもしれないが、卒業式の会場で鍋を囲んでいた奴らがいたというのは、ちょっとばかりバカすぎる。「独創性」が売り物の学風だとは言え、悪乗りは見苦しいだけだ。

 夕方になって、塾の授業をやっていると携帯にメールが入った。欠席を知らせる塾生からのメールかな、と思って見たら、「ありがとう」と題した娘からのものだった。「改まって何だよ」と思いながら、開いてみたら、「無事卒業できました!ありがとう!」という文面に、袴姿の娘の写真が添付されていた。その瞬間、
 
 バカヤロウ!!授業中にこんなメール送ってくるな、
 涙で目がくもって見えないじゃないか!!
 お礼を言われるほどのことなど何もしていない。
 自分でここまでやってきたから卒業できたんだ。
 まあ、これからも頑張れよ。

などと返信しようと思ったが、「おお、いい感じじゃん!」と間抜けな言葉を返すのが精一杯だった・・。
 何度もメールを読み返すうちに、今まで一度も思ったことなどなかったけど、
「もう大学院なんか行くのやめて帰って来いよ、一緒に暮らそうぜ」
などという思いで胸がいっぱいになってしまった。ダメな親父だ・・。




妻が持ち帰った卒業証書と大学からの卒業祝い品、なんと50cm近くもあろうかという割り箸。いったい何のために・・・。

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