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八重桜

 日曜日は本当に暖かった。上着を着ずにシャツ一枚でいられたほどだった。車の中は暑いくらいで、思わず腕まくりをして運転していた。そんな時、
「あっ、桜が咲いてる」と妻が叫んだ。
「梅じゃないの?」
「ちがう、あれは桜だよ」
運転している私では後ろを振り返ることもできないので、
「ふ~~ん」と曖昧な返事しかできなかったが、内心は「いくらなんでも桜が咲いてるわけないだろう」と思っていた。名古屋市内の桜は私の住む市よりも毎年開花が早いが、それでも桜が咲くにはまだ早すぎる、きっと見間違いだ、と思いながら帰宅したところ、
「あっ、ウチの桜も咲いてる!!」妻がまた叫んだ。
「えっ、本当かよ?」と慌てて車を止めた。本当だ、確かに咲いている!!

 

 これは娘が生まれたときに記念樹として植えた八重桜だ。例年はソメイヨシノが散り果てた後で、おもむろに咲き出すのにいったいどうしたことだろう。五分咲き程度だろうが、前日までまったく気が付かなかった。車庫の裏手にあるといっても、見えないところではないので、一気に咲いたとしか思えない。こんなことってあるのだろうか、不思議だ・・。家の庭の梅がやっと咲きそろったばかりなのに桜が咲くなんて・・。ここ数年、異常気象が当たり前のようになっているが、今までの経験から書き上げた暦が通用しなくなり始めたのは困ったことだ。
 気がつけば、桜の根元には水仙も咲いていた。


 清清しい花だ。枯れ草ばかりだった土手にも少しずつ緑が多くなっている。じっと目を凝らしたら、小さな青い花を付けた野草がびっしりと生えていた。


 新しい命の息吹が感じられる季節になってきた。そう言えば、ネコが盛んに鳴きあっている声もよく聞く。恋の季節なのだろうか・・。
 冬の寒さを凌ぐために私の寝室の隣部屋に並べてあるシンビジュウムの鉢にも新しい芽がいくつか伸びてきている。

 

 花芽なのかどうかの区別もつけられない私では、立派な花を咲かせられるはずもないが、この冬は水遣りを怠ることはなかったし、栄養も挿してやった。もう少ししたら可愛い花が咲くかもしれない。
 
 次の日曜あたり、八重桜の下でお花見としゃれ込むことはできるだろうか・・。ちょっと楽しみだ。
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