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「佐々木夫妻の・・」

 稲垣吾郎主演の「佐々木夫妻の仁義なき戦い」が終わった。連続ドラマを毎週見たなんて何年ぶりだろう、全10回毎週欠かさず見てしまった。日曜の夜などいい加減酔っ払っているから、話の内容を十分理解していたとは思えないが、それにしてもひどいドラマだった。8時からNHKの「篤姫」を見てから、このドラマを見るというのが、知らないうちに日曜夜の過ごし方になっていて、ただなんとなく惰性で見続けていたに過ぎない。それでも、見ていると途中何度もむかっ腹が立ってきて、どれだけ文句を言ったか分からない。「あなたとTVを一緒に見てると文句しか言わないからいやだ」と妻はよく言うが、このドラマに関してだけは、私がどれだけ文句を言っても、怒ったりはしなかった。スマヲタの目から見たら、稲垣吾郎の役どころがひどすぎると思えるだろうし、相手役の小雪のファンならば、もっとイヤになったんではないだろうか。こんな役をやらされた二人がかわいそうにさえ思えた。
 物語はただ単に「弁護士夫婦の離婚騒動」の一言で片付けられてしまう。几帳面で、依頼者のためを思って東奔西走する弁護士・佐々木法倫と大雑把で勝つためには手段を選ばない弁護士・佐々木律子夫妻が、お互いの性格や生き方の違いによる心のすれ違いが行き着くところまで行って、最後には離婚をかけて法廷で争う・・という筋立てだが、何としてでも裁判で勝とうとする二人の姿勢にはうんざりしてしまったし、何よりも夫婦二人が回を追うごとに非人間的で、裁判を有利に進めるためあれこれ画策するのが何ともさもしく見えてしまい、怒りさえ覚えた。「確かに法律を盾にすれば瑕疵なく生きていけるかもしれないが、そんなことばかり言ってたら、幸せにはなれないぞ」と、大した生き方をしていない私でさえ思ってしまうのだから、ドラマの中の二人になんらのシンパシーも感じられなかったのも当然だ。
 しかし、私もバカだ。いくら妻の道楽に付き合ったと言っても、こんなに面白くないドラマを最後まで見通してしまうなんて・・。素面ならとてもこうは行かなかったかもしれない。酔いのため判断能力の落ちた頭だったからこそ我慢ができたのだろう。それでも、やっぱり稲垣吾郎がかわいそうでならなかった。「スマステ」の「月イチゴロー」というコーナーで映画評論を行っている彼に、このドラマを客観的に評価してもらいたいと思う。かなり思い切った評言をずばりと言う彼の目には、このドラマがどう写っていたのだろうか。演じていて楽しかったのだろうか。藤田まこと・江波杏子・西村雅彦・山本耕史などの出演者たちも、ドラマに無駄な豪華さを添えるためだけに出演しているようで、もったいない気がして仕方なかった。果たしてこの配役も稲垣の目にはどう写っていたのか聞いてみたい気がする。
 演技者が旧来持っていたイメージを打破し、新境地を切り拓くために敢えて演じたことのない役柄を引き受けることはあるかもしれない。あるいは、汚れ役を買って出て、自らの芸域を広げようとする場合もあるだろう。しかし、今回の稲垣吾郎と小雪はこのドラマに出演してなんら得るものがなかったように思う。演技者と劇中人物とを一致させて考える愚を犯してはならないのは十分承知していても、劇中人物の性格・考え方をそれを演じる者のものと同一視してしまうことはどうしたって起こってしまう。このドラマを見た後では、稲垣吾郎を法律を通した上でしか人間を見ることができない一面的な人間であるとか、小雪を全て自分の思い通りにならなければ、指弾されて当然なことでも押し通してしまう偏狭で自己中心的な女性であるとか、そんな偏ったイメージが私の中に植えつけられてしまったようで、それを払拭するにはしばらく時間がかかりそうだ。
 本当に見なきゃよかった。心から後悔している・・。

 (PS)
 ヤマザキから売り出された「佐々木夫妻の仁義'sパン」、目敏い妻がコンビニで見つけて買ったのだが、私にはこの名の意味が分からなかった。


「華麗なる一族」の場合は「華麗パン」で、ちゃんと「カレーパン」だった。それなのにこの「仁義'sパン」はただのパンだった。ジンギスカン鍋の味でもするかと思ったが、まったくそうではなかった。ちょっとがっかりしたが、ジンギスカンの味がするパンなんて食べたくないよなあ、あんまり。
 
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