じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

山本文緒「彼女の冷蔵庫」

2019-07-14 23:08:31 | Weblog
★ 山本文緒さんの「シュガーレス・ラブ」(集英社文庫)から「彼女の冷蔵庫」を読んだ。

★ 娘が両足骨折で入院したと電話があった。娘と言っても再婚相手の子で、10歳しか離れていない義理の娘だ。夫(娘の父親)は身勝手だし、私は「仕方なく」、仕事を休んで遠い東京に向かった。

★ 娘は正座をして両足を骨折したという。骨粗鬆症だった。東京での暮らしが彼女の骨を蝕んでいたのだ。

★ 「私」は娘とあまりうまくいっていない。それは「私」が略奪婚だったからだろう。しかし、夫と前妻の関係は破綻していたし、子育てにも無気力になっていたようだった。結局、「私」が全部背負ってしまった。

★ 果たして「私」と娘の関係は再生できるのか。スカスカの骨が再び強くなるように。


★ 人間関係って難しいなぁって思った。一番問題なのは夫(父親)だと思うのだが。 
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山本周五郎「蕭々十三年」

2019-07-14 22:21:20 | Weblog
★ 山本周五郎「おごそかな渇き」(新潮文庫)から「蕭々十三年」を読んだ。

★ 江戸時代は明暦の頃(1650年代)、岡崎城主は水野監物忠義で、家臣に天野半九郎という者がいた。「殿のおんため」一念に凝り固まった人物で、時に和を乱し、人から疎まれた。

★ 名君の水野、半九郎の心根は嬉しくもあったが、組織の長としては「ぬけ駆けの功名」を許すわけにはいかなかった。半九郎を叱り遂には家臣から追放した。

★ やがて13年の時がたち、岡崎城が大火に襲われた。火薬庫の窓から火の粉が入り爆発の危機にあった時、一人の男が窓に身を挺して城を守った。焼死したのが誰かわからずにいたが、ある朝、馬を走らせていた水野はそれが半九郎に違いないと確信する。

★ 忠君愛国モノだが、嫌味がない。組織論や人としての生き方も説かれ、感心する。そしてこの作品が昭和17年の発表であると知り驚いた。文章としての古さをまったく感じさせない。
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泉鏡花「外科室」

2019-07-14 17:45:44 | Weblog
★ 先に読んだ米澤穂信さんの「身内に不幸がありまして」で紹介されていたので、泉鏡花「高野聖」(角川文庫)から「外科室」を読んだ。

★ 明治28年発表の作品。さすがに文語体は美しいが読みづらい。私の読解が正しいのかいささか心配でもあるが、どうやら一目ぼれの純愛小説のようだ。

★ 短い作品だが、上下二部に分かれている。

★ 上は手術室の場面。美しい伯爵夫人がまさに手術されようとしている。しかし彼女は頑なに麻酔を拒む。眠ってしまえば心に秘めた秘密を話してしまうのではないかと恐れる。病状は一刻の猶予もない。高峰医師は麻酔なしの執刀を決意する。その時、事件は起こった。

★ 下は9年前にさかのぼる。若い日の高峰は貴族一行とすれ違う。そこで美しい女性に心を奪われる。身分の違う仲、二人は言葉を交わすこともなくそれきりとなる。この女性こそが伯爵夫人だったのだ。夫人もまた・・・。

★ 手術の場面、二人の想いが交差する瞬間がある。「その声、その呼吸(いき)、その姿、その声、その呼吸、その姿」、この2回の繰り返しは心を貫かれる。そして、伯爵は喜びの笑みを浮かべ、多分こと切れたのであろう。このときの高峰医師と伯爵夫人の光景、「あたかも二人の身辺には、天なく、地なく、社会なく、全く人なきがごとくなりし」と結ぶ。

★ 誇大ではあるが美しい描写だと思った。
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ニューヨーク株バブル

2019-07-14 14:20:25 | Weblog
★ ニューヨーク株式、ダウ平均株価の長期にわたる推移のグラフを見た。

★ リーマンショック以降、いくつかの乱高下はあるものの、急激な高騰は産業革命以降の人口増加(エネルギー消費)を見るようだ。

★ 利下げを予想して高騰はまだ続きそうだが、バブルはいつかは弾ける。

★ かつての日本、10年間がいっぺんに吹っ飛んでしまった。そんな経済の停滞が間近に迫っているような気がする。ましてアメリカの経済規模は日本の比ではない。

★ 1世紀前に思いを馳せば、20年代から30年代は大量殺戮の分水嶺だった。繰り返さねば良いが・・・。
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中島みゆき「異国」

2019-07-14 13:55:55 | Weblog
★ NHKラジオから中島みゆきさんの「異国」が流れてきた。

★ すごい歌だね。まさに怨歌だ。いったい「ふるさと」で何があったのだろうか。

★ 「砂の器」のような感じかな。

★ 山崎ハコさんの「呪い」もなかなか刺激的だけれど、人の世はさまざまな怨念が漂っていますね。

★ 日曜の昼に「異国」が聴けた。NHKも勇気があるなぁ。
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米澤穂信「身内に不幸がありまして」

2019-07-14 12:33:56 | Weblog
★ 米澤穂信さんの「儚い羊たちの祝宴」(新潮文庫)から「身内に不幸がありまして」を読んだ。

★ ある地方の名家・丹山家。孤児だった村里夕日は、幼い頃その家にもらわれ令嬢の世話を委ねられる。夕日にとってお嬢様との日々は何物にも代えがたい幸福な時間であった。

★ 二人が共に成長したある日、行状の悪さゆえ丹山家から勘当された令嬢の兄が乱入し、家人を殺傷する。自らも傷を負い逃げ去った兄。家では名聞を気遣って死んだこととして処理する。しかし、彼の法事が行われる日には必ず親族が殺される。

★ 村里夕日の手記という形で進められ、その後、令嬢・丹山吹子の述懐が引き継ぐ。

★ 最後まで読むと、タイトルの意味とおぞましい殺人の動機が明らかになるという仕掛け。

★ 吹子の述懐の中で、木々高太郎「睡り人形」、小酒井不木「メヂューサの首」、浜尾四郎「夢の殺人」、海野十三「地獄街道」、江戸川乱歩「二癈人」、夢野久作「ドグラ・マグラ」、横溝正史「夜歩く」など戦前のミステリーが紹介されている。読書案内としても楽しめる。
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