じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

荻原浩「いつか来た道」

2022-05-08 16:03:23 | Weblog
★ NHK-BSで荻原浩さん原作「海の見える理髪店」のドラマが放映されるという。改めて再読してみたる。心にしんみりと響く作品だった。

★ 続けて「海の見える理髪店」(集英社)から「いつか来た道」を読んだ。弟から電話をもらって、13年ぶりに実家に帰ることにした女性。弟の話によると母親の容体が良くないらしい。

★ わけあって家を出て、実家に帰るのは父の葬式以来だという。駅を下り立って実家までの風景は、それなりに年を重ねていた。驚いたのは実家の荒れようだった。あれほど几帳面に整然さを誇っていた母親に何が起こっているのか。

★ 母親はもともと美術教師をしていたが、作品が入選したのを機に退職し画家を目指した。といって、簡単に画家として食えるわけではないので、自宅で絵画教室を開いて生計を助けていた。娘たちもこの教室で指導を受けた。娘にとって母親は教師でもあった。それも冷淡で厳しい教師。そんな母親への反発もあって、娘は家を出た。

★ 母はすっかり変わっていた。気難しいところ、気高いところは変わっていないが、もはや過去を少しづつ忘れかけているようであった。目の前に立つ娘の存在さえも。

★ 作品を読み進めるにつれて、娘の心の変化が楽しめた。

★ さて、ドラマ「海の見える理髪店」は明日放映される。店主役は柄本明さんだという。楽しみだ。
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