★ 夏期講座14日目。残るは11日。何とかここまでたどり着いた。
★ 世の中では台風が吹き荒れ、マイナ保険証問題で政府が窮地に陥り、某大学では運動部の学生の薬物使用で大いにもめている。とりわけ大学側の記者会見は噴飯もので、組織防衛なのか、自己保身なのか。
★ 教育機関云々の話もあったけれど、大学生と言えばもう十分成人なのだが。この事件を受けて「明日は我が身」と、冷や汗ものの大学もあるかと思う。
★ さて、篠田節子さんの「家鳴り」(新潮文庫)から「水球」を読んだ。主人公は証券会社に勤める50代の男性。高卒ながら猛烈に働き、大卒の社員と渡り合い、勤続33年、中堅証券会社ながら、管理職まで昇りつめた。
★ 浮き沈みの激しい業界。オイルショックやバブルなどいくつもの荒波を乗り越えて、郊外に邸宅を建て、妻と共に2人の息子を育て上げた。ちょっとした驕りなのか、ここ8年は愛人もできている。
★ そんな生活が一気に崩れていく。身を粉にして働いた会社が倒産したのだ。山積みの残務処理。もはや売却しても返済できない家のローン。愛人との関係がバレて妻とは離婚。息子たちは妻についていった。その愛人も彼の元を去っていった。(身から出た錆なのだが)
★ 心地よいほどの恐怖だ。50を超えた中年男に再就職の道は厳しく、病を抱える母と共にこれからどう生きてゆくのか。絶望を超克して、主人公の落ちっぷりに清々しささえ感じる。
★ 面白い作品だった。