★ 残暑が厳しい。洗濯物が乾くのはありがたいが。
★ さて今日は、乃南アサさんの短篇集「不発弾」(講談社文庫)から、「福の神」を読んだ。
★ もはや還暦に近い女性が経営する小料理屋「茜」。今夜もなじみの客や新規の客でにぎわっている。
★ 客商売をやっていると、好きな客も嫌な客もやってくる。好悪を顔に出さず笑顔で裁くのがプロの技。今、女将が嫌っているのは大手化粧品会社の次長という客。常連で通ってくれるのはありがたいが、酒の飲み方はきれいとはいいがたい。接待なのか、相手によって性格を変えるし、また酒が進むと絡みだす。
★ そんな嫌な客がいると思えば、最近もう一人、好感の持てるなじみの客が増えた。彼もまた化粧品会社に勤め、どうやら大手会社をスパイしている様子。
★ 物語は小料理屋の風景を描きながら、女将の過去に迫っていく。エンディングは思わずホロリとくる。
★ 私など自宅で塾稼業をしていると、仕事上がりに外で一杯などはまずない。生活時間が異なるため、友人からの誘いも何度お断りしたことか。
★ 20代のサラリーマン時代。アルバイトで「記者」をしていた時代は、赤坂の料亭や北新地のクラブで接待も経験した。社費なのでヘネシーの味も覚えた。エスカイヤークラブにも行ったなぁ。学生時代は主にパブ。社会人になってからは居酒屋も増えてきた。遠く40年前が懐かしい。