じゅくせんのつぶやき

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垣根涼介「信長の原理 上」

2024-09-15 20:19:56 | Weblog

★ 垣根涼介さんの「信長の原理」上巻(角川文庫)を読み終えた。とても面白い作品だ。

★ 信長の伝記でもなければ、従来からあるような歴史小説でもない。あえて言えば、「経営」の教科書だ。

★ 信長が「パレートの法則」を学んだはずもない。しかし、彼は自然を観察し、合戦を経験する中で、その法則を知ったとしている。

★ 前半、信長の幼少期については、山岡荘八作の「織田信長」(講談社文庫)と同じ道を辿るが、尾張を統一し、桶狭間で今川義元を討ってからは、彼の戦略眼が研ぎ澄まされる。

★ 上杉や武田を観察し、そのカリスマ性や資源の豊かさを分析。自らの欠ける点を自覚し、彼は尾張に人を集める政策を実行する。人を集め、町を栄えさせ、物流を盛んにし、そこから富を得る。富は軍備増強に生かされる。

★ 人物眼も秀でている。出自がどのようなものであれ、実力があれば積極的に採用する。一方古参の者でも、働かなければ排除する。それだけ徹底できるのは、彼なりの基準がしっかりしているからだろう。

★ かつて敵味方として戦った人物でさえ採用する。極悪人と評される松永弾正でさえも。貸しをつくって働かせる術も見事だ。荒々しい世の中でも、貸し借りに律儀なのは武人の仁義か、矜持か。

★ 木下藤吉郎の地頭の良さ、明智光秀の明晰さも際立っている。

★ 信長の天下布武の戦いはいよいよ佳境に入っていく。下巻を読み進めよう。

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