★ 1960年代の空気に触れたくて、昨日の高橋和巳に続き、今日は吉本隆明さんの「共同幻想論」(河出書房新社)から「序」を読んだ。
★ この時代の人の特徴か、理屈っぽくて言葉が難しい。当時の社会状況や作者の内面を慮らなければ、何を言っているのかわからない。「基礎知識なき者、読むべからず」的な雰囲気がある。実に不親切だが、それがまた魅力でもある。
★ 「序」では「文学とは何か」「言語にとって美とは何か」から「共同幻想」「対幻想」という見方に至る経緯が述べられている。
★ 「社会主義リアリズム」とか、当時としては大きなテーマだったんだろうね。
★ 当時の論客たちとの格闘技のような論戦は時代の象徴か(私はそのあたりを読んでいないが、感情むき出し、罵倒飛び交う論戦は昔の「朝まで生テレビ」のようで面白そうだ)。反エリート、在野精神が若き吉本さんの魅力かな。
★ 世相として、最近は随分と大人しい論戦が多くなったような気がする(いや、論戦自体を避けようとする風潮があるのかも知れない。)
★ ところで「共同幻想論」。「共同幻想」とは、マルクスの「上部構造」のようでもあるが、「共同幻想論」は経済学に留まらず、「人間にとって共同の幻想とはなにか、それはどんな形態と構造をもとに発生し存在を続けてゆくか」「内部構造をはっきりきちんと把握したい」との意図で書かれたようだ。