じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

映画「霧の旗」

2019-09-26 00:50:15 | Weblog
☆ 映画「霧の旗」(1965年)を観た。この時代の日本映画はまだ元気だ。面白かった。

☆ 老練な弁護士役の滝田修さん、兄の無実を証明してもらうため上京した桐子役に倍賞千恵子さん(若い)。うまいねぇ。原作、松本清張さん、脚本、橋下忍さん、そして山田洋二監督だ。これだけ役者がそろえば面白くないわけがない。

☆ 金貸し老婆殺しの濡れ衣を着せられた小学校教諭。その無実を証明するため、東京の著名な弁護士を訪ねる妹の桐子。このあたり、桐子の行動は実に強引だ。その想いが遂げられないからと言って弁護士を逆恨みするのはお門違いの感もする。しかし、そんな気分が吹っ飛んでしまうのは、著名弁護士の裏の顔が見え隠れするからだ。

☆ 老練弁護士にも正義と真実を求めた若い時代があったようだが、カネが溜まって、地位や名声が高まって、どうも歪んできたようだ。

☆ 桐子の身体を張った復讐劇は成功したようだけれど、これで良かったのだろうか。
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藤沢周平「闇の梯子」

2019-09-25 19:21:42 | Weblog
☆ 藤沢周平さんの「闇の梯子」から表題作を読んだ。江戸の庶民を題材にした物語。文のうまさは言うまでもない。

☆ 板木師、清次。活版印刷やオフセット印刷などなかった時代。謄写版さえなかった時代。印刷は彫師の手に委ねられていた。清次もそんな一人だった。修行を積んで独立。生活は豊かではなかったが妻と共に、将来を夢見て暮らしていた。かつての同僚、酉蔵が来るまでは。

☆ 酉蔵は清次を訪ねてはカネを無心するようになる。人の好い清次も度重なる要求に遂に堪忍袋の緒が切れるが、極道の道に入った兄の面影を酉蔵に感じ、なかなか手を切れずにした。

☆ そんなとき、妻・おたみが病に倒れる。

☆ 保険制度などない時代。治療費にカネは底をついていく。清次の前に「闇の梯子」が現れる。兄や酉蔵のように、この梯子を彼も下りていくのか。

☆ 「なるようにしかならないときってのも、世の中にはあるんだから」(115頁)

☆ なぐさめにかけられたこの言葉、辛い心に突き刺さる。
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伊坂幸太郎「死神の精度」

2019-09-25 17:24:16 | Weblog
☆ 伊坂幸太郎さんの「死神の精度」(文春文庫)から表題作を読んだ。

☆ ある人が寿命まで生きるのか、それとも不慮の死を遂げるのか、それは死神が決めるという。死神にとっては散髪屋のオヤジ同様「仕事だから」、「可(つまり死を実行する)」なのか「見送る」のか、淡々とこなしているという。

☆ 今回の担当は22歳の女性。電器会社のクレーム処理係。

☆ 彼、つまり死神はいつもと同じようにさりげなく彼女に近づき、調査を始める。

☆ さて、彼の下した判定は・・・。

☆ 死神にとっては人の死などどうでもいいらしい。しかしその「死」を通して、「生」が見えてくるから不思議だ。懐かしいところでは、映画「生きる」(1952年)、胃がんで死を目前にした役所の市民課長が「生きること」に目覚めていったね。

☆ 死神と言えば、映画「シティ・オブ・エンジェル」(1998年)。死神というか死を告げる天使の話だった。ニコラス・ケイジとメグ・ライアン。砂浜のシーンが印象的だった。

☆ ともかく、白い手袋をはめた人に声をかけられたら気をつけないと。その人(?)がミュージックを好きならなおさらだ。
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道尾秀介「ケモノ」

2019-09-25 10:51:23 | Weblog
☆ 道尾秀介さんの「鬼の跫音」(角川文庫)から「ケモノ」を読んだ。ホラーサスペンスとでも言おうか、好き嫌いが別れる作品だと思う。こういう作品て怖いもの見たさで読み進めてしまうから不思議だ。

☆ ふと転んだ拍子に壊れた椅子、その足に彫られていたメッセージ。その謎を追って「僕」は40年以上も前の一家惨殺事件にたどり着く。話の展開はかなり強引だけれど、読んでしまうのは「僕」の切羽詰まった雰囲気のせいらしい。

☆ 事件の謎が解き明かされ、最後に大きなオチがある。読み終わって再び前半部を読むと、背筋が寒くなる。
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映画「憑神」

2019-09-25 00:16:32 | Weblog
☆ 「読んでから見るか、見てから読むか」なんてキャッチコピーが昔流行った。浅田次郎さんの「憑神」(新潮文庫)を読み始めたら、なかなか面白いので、先走って映画「憑神」(2007年)を観てしまった。

☆ 時は幕末、代々将軍の影武者を務める家柄の次男坊・彦四郎、養子に出るも子どもができるやうまい口実をタネに離縁され、再び実家に居候の身になった。

☆ ふと転んで出会ったお稲荷さんのお社に祈願をしたところ、神々に憑かれることに。よりにもよって、貧乏神、疫病神そして死神というからたまったもんだじゃない。彦四郎、持ち前の生真面目さでこの難をどう乗り切りますやって作品だった。

☆ 彦四郎役には妻夫木聡さん。主題歌は米米クラブの「御利益」。サビはどこかで聴いたことがあるような・・・。
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東野圭吾「小さな故意の物語」

2019-09-24 17:30:31 | Weblog
☆ 東野圭吾さんの「犯人のいない殺人の夜」(光文社文庫)から「小さな故意の物語」を読んだ。

☆ 校舎の屋上から達也が落ちて死んだ。自殺なのか事故なのか、それとも犯罪に巻き込まれたのか。

☆ 親友の「俺」が真相を追求していく。達也は自殺なんかしない。事故にしては、なぜあんな屋上の柵の上にいたのだろうか。犯罪?だれが何のために。

☆ 達也には幼い頃からの彼女がいた。達也はいつも彼女と一緒だった。なぜあの日に限って、達也は一人で屋上にいたのだろう。

☆ 誰もに(強い)殺意があったわけではない。10分の1か100分の1の確率が重なり合って、達也は転落した。

☆ 「小さな恋」と「未必の故意」がからみあった結果だった。

☆ シリアスな内容だけれど、淡々とした文章なので読みやすかった。
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伊坂幸太郎「ライトヘビー」

2019-09-23 19:28:01 | Weblog
☆ 伊坂幸太郎さんの「アイネクライネナハトムジーク」(幻冬舎文庫)から「ライトヘビー」を読んだ。

☆ 最後の数ページ、うならせるなぁー。「そう言うことだったんだ」って感じ。

☆ 「わたし」は美容師。ご贔屓の板橋香澄から弟を紹介された。と言っても、会うわけではなく週に1、2度電話をするだけ。こんな「交際」が8か月余りも続いた。

☆ 弟は「事務職」らしくて、忙しい時期には電話もできないという。

☆ そんな話が続いてクライマックスは、ボクシング・ヘビー級のタイトルマッチ。板橋香澄は「わたし」を自宅に誘って、その試合を見ることに。ラウンドを追うごとに高まる興奮、そして・・・。

☆ 商店街で占い師のように出店を出す斉藤さん。こちらが気持ちを話すとその気持ちにマッチした短いフレーズの曲を流してくれる。1曲100円で。

☆ 小学校3年生の国語の教科書(光村図書)に「きつつきの商売」(林原玉枝さん作)という作品が載っている。きつつきが「おとや」という店を開く。森の動物たちのリクエストに応えて四分音符1こにつき100リルで「できたての音、すてきな音」を聞かせるというもの。なぜかそのことを思いだした。

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江戸川乱歩「心理試験」

2019-09-23 14:04:11 | Weblog
☆ 「江戸川乱歩傑作選」(新潮文庫)から「心理試験」を読んだ。

☆ 老婆が殺され、現金が奪われた。読者はまず犯人を知る。動機を知る。その巧妙な完全犯罪の手口も知る。作者はそれを読者に教えた後で、証拠なき犯罪をどのように解決するかを見せる。

☆ 当時としては拷問に代わって採用された「心理試験」。現在のウソ発見器のようなものもあれば、連想を利用した心理テストのようなものもある。心理学や犯罪に詳しくない読者にとって、これらは新鮮であったろう。

☆ 巧みに「心理試験」さえも誤魔化す犯人。その矛盾、弱点を明智小五郎が暴いていく。

☆ サイコパスのように犯罪を犯罪と認識しない人物は難物だが、いくらかでも良心が残っている犯罪者は自ら墓穴を掘る。自ら優秀であると自負し、完全犯罪を誇る犯罪者ほど、案外もろいものなのかも知れない。
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荻原浩「上海租界の魔術師」

2019-09-22 13:37:38 | Weblog
☆ 荻原浩さんの「月の上の観覧車」(新潮文庫)から「上海租界の魔術師」を読んだ。

☆ 全体は1(イー)、2(アル)、3(サン)の3部構成。それぞれ、祖父の死、葬式の風景から始まり、祖父との日々が孫娘・かなめの回想で描かれている。

☆ 祖父は3番目の奥さんに逃げられて、ずっと疎遠だった息子(かなめの父)のもとに身を寄せることになった。息子の家族は妻と3人の子ども(兄、姉、かなめ)、3人の子どもの実の母親は病で亡くなり、今は2人目の母親だ。それが受け入れられなかったのか、兄と姉は、実家から出ていった。夫婦とかなめ、そこに祖父がやってきた。

☆ 「よい子」でいることに心身が疲れていたかなめにとって、祖父は癒しの存在でもあった。ずーっと昔、上海で魔術師をしていたという祖父はかなめに数々の魔術を披露した。やがて年をとって、かなめの名前もわからなくなり、魔術もミスが多くなったけれど。

☆ 「つらい時は、とりあえず笑え」「(笑えない時は)泣け。泣くことと、笑うことは、実は双子なのさ」(83頁)

☆ エンディングは見事なイリュージョンだった。
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映画「ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲」

2019-09-21 23:45:35 | Weblog
☆ 今日は朝から中学校の中間テスト対策。疲れた日はシリアスなものよりコメディが良い。

☆ 映画「ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲」(2018年)を観た。ドラマ「メグレ刑事」ではシリアスな役を演じたローワン・アトキンソン、「ジョニー・イングリッシュ」のシリーズでは、「Mr.ビーン」の表情が生きている。

☆ 昔、「欽ドン」だったか「欽ドコ」だったか、涙が出るほど大笑いをしたが、年をとるとそんなこともなくなった。

☆ この作品はそんな時代を少し思い出させてくれる。私が面白かったのは35分ごろからのバーのシーン。ジョニー・イングリッシュが大辛のおつまみを食べ、カクテルの飾りの傘を鼻に詰めるところ。

☆ ストーリーはデジタル産業界で成り上がった男が世界中の情報を手に入れ世界征服を狙うのを、ジョニー・イングリッシュ達が阻止するというもの。ストーリーそのものより、ローワン・アトキンソンの演技が面白い。

☆ 笑いの中にもちょっと皮肉が込められているのは、イギリスらしい。
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