じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

「一週間de資本論」

2019-12-19 23:27:27 | Weblog
☆ NHKオンデマンドで「一週間de資本論」(2010年)を観た。資本論がわかりやすく解説されていた。

☆ 「一週間de資本論」は「100分de名著」に引き継がれていく。なぜマルクスの「資本論」が取り上げられたのか、局内では相当議論があったのだろうなぁと想像する。

☆ 2010年と言う時代背景があったのだろう。リーマンショックで世界経済が危機に瀕し、日本では政権が変わった。一つの時代の転換期だったのかも知れない。

☆ 資本主義(あるいは修正資本主義)が道標を失った中で、19世紀の社会(経済)を分析したマルクスを再び墓場から掘り出す結果になったのかも知れない。

☆ マルクスが課題としたもの、課題への挑み方が時代を超える普遍性をもっているからかも知れない。指南役の的場昭弘さんは「資本論」を「古典」とおっしゃっていたが、「古典」ゆえの凄味がある。

☆ 今だからこそ、マルクス教の信者や教条主義者に気兼ねなく、自分の感性で読むことができるのかも知れない。

☆ この番組を見て、商品、労働、価値(使用価値、交換価値)、労働価値説と効用価値説、剰余価値(絶対的、相対的)、恐慌のメカニズムなど大変勉強になった。グローバル化の中の未来予想は少々曖昧だった。マルクスはいかさま占い師ではないから、そもそも予言は想定外なのかも知れない。すべては歴史的必然性から考えないといけないし、解釈の科学から変革の科学へと飛躍するには、まだまだ地道な研究が必要なのかも知れない。

☆ 番組放送からおよそ10年。長期の低金利、自国通貨の防衛、保護主義、米中の対立、難民問題、GAFAの躍進と世界は大きく動いている。政治に先行して経済が世界を変えつつある。好むと好まざるとにかかわらず「世界政府」的機能が求められる時代が遠からず来るのであろう。全体主義的でないことを祈りたいものだが。

☆ 資本主義の次に来るものを私が生きているうちに見ることはないだろうが、案外、その移行の過程を今体験しているのかも知れない。
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ドラマ「満願」

2019-12-19 16:19:42 | Weblog
☆ NHKドラマ「満願」シリーズ。第3話は「満願」だった。

☆ 原作を読んでいたので、ストーリーは知っていた。活字がどのように映像化されるのか、それを楽しみに観た。

☆ 弁護士役は高良健吾さん。学生時代から弁護士時代まで演じられていた。学生と社会人、年齢差は動きのスピードや安定感(学生時代はおどおどとした演技で不安定感を弁護士時代は自信に満ちた演技で安定感)で表現されていた。

☆ 畳屋の奥さん役は市川実日子さん。浴衣姿が艶っぽい。不愛想な畳屋の主人は寺島進さんだ。

☆ 第1話の西島秀俊さん、第2話の安田顕さん。このシリーズはキャスティングがいい。しっとりとした音楽も心に沁みる。

☆ 視聴者に媚びない作品。NHKならではの秀作だと思った。
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湊かなえ「告白」

2019-12-18 21:38:53 | Weblog
☆ 湊かなえさんの「告白」(双葉文庫)を読んだ。凄まじい復讐劇だった。

☆ 映画では松たか子さんが印象的だった。

☆ 中学校の女性教員。ある事情で幼子を一人で育てている。どうしても預けられない時は、勤務校に連れてきていた。その娘が水死体で発見される。

☆ 「娘はこのクラスの生徒に殺された」、教員はこの言葉を残して学校を去った。犯人に復讐を仕込んで。

☆ この事件を、当事者たちの告白で綴っている。芥川の「藪の中」のように、同じ出来事も視点によって変わる。

☆ この作品でまず思うのは歪んだ男子中学生の心理。それが母親に起因するものであることを作品は示唆している。父親の不在も気にかかる。

☆ 衝撃的なエンディングだ。
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ドラマ「万灯」

2019-12-18 20:16:43 | Weblog
☆ NHKドラマシリーズ「満願」から「万灯」を観た。

☆ バリバリの商社マン、天然ガス資源を開発するためベトナムに向かう。世界の天然資源をめぐっては先進諸国の大企業が熾烈な争奪戦を展開している。

☆ 商社マンは必要な土地を確保するために山奥のある村を訪れるのだが、長老は外国資本を嫌悪。乱暴に追い返されてしまう。

☆ しかし、村には長老と対立する勢力も。彼らは開発に協力するというが、その条件とは・・・。

☆ 踏み込んではいけない一線、それを越えた者には天罰が下るのかも知れない。

☆ 大航海時代、そして産業革命後の資本主義、先進国の繁栄は搾取、略奪の上に成り立ていたんだね。
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曽根圭介「沈底魚」

2019-12-17 23:54:18 | Weblog
☆ 曽根圭介さんの「沈底魚」(講談社)を読んだ。

☆ 「沈底魚」とは組織に侵入した工作員のこと。普段は何食わぬ顔で過ごし、いざというときに諜報活動を行う。

☆ 日中間の諜報活動。誰かが国家機密を流している。話が進むにつれて、二重、三重のスパイが登場し、だれがどちら側なのか、さっぱりわからなくなる。案外、裏で暗躍しているのがCIAだったりする。

☆ 結局最後まで、誰がどちら側なのかわからないまま、ハードボイルダッチにエンディング。

☆ 物語では政権の中枢、総理大臣候補まで某国の息のかかった人物だったが、現実はどうなのか。
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ドラマ「夜警」

2019-12-17 13:26:58 | Weblog
☆ 米澤穂信さんの「夜警」、NHKがドラマ化していたので観た。

☆ 活字が映像化されるとこのようになるのか、と感心した。

☆ とにかく安田顕さんの演技がしぶい。苦労人の警察官役がピッタリはまる。ドラマ「小さな巨人」も良かったなぁ。

☆ NHK「満願」ドラマスペシャルはあと2編ある。読んでから観るか、観てから読むか、思案のしどころだ。
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米澤穂信「夜警」

2019-12-17 11:55:06 | Weblog
☆ 米澤穂信さんの「満願」(新潮文庫)から「夜警」を読んだ。

☆ どの職業にも向き不向きがある。少々向いていなくても経験を重ねるうちに、それなりに仕事ができるようになるのだが、根本的なミスマッチはどうしようもない。特に警察官の場合は。

☆ 殉職した新人警察官の話で始まる。刃物を持って暴れる男を発砲で制したが、頸動脈を裂かれて死んだ。彼をめぐって上司である交番長の語りで進む。

☆ 交番日記といった展開だったが、そこに意外な伏線がしこまれていた。
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法月綸太郎「生首に聞いてみろ」

2019-12-15 19:58:43 | Weblog
☆ 法月綸太郎さんの「生首に聞いてみろ」(角川書店)を読んだ。

☆ 有名な彫刻家が遺作を残して病死する。娘をモデルとした裸像で、彫刻家の集大成であった。ところが、この作品の首が何者かに切り取られる。

☆ なぜ、首が切り取られ奪われたのか。ある人は「そもそも首はなかった」と証言する。ある人は、モデルの女性に危険が迫っていると警告する。

☆ そして、彫刻家の遺作展の準備中に小包が。その中には・・・。

☆ 前半はゆっくりと物語が進む。中盤、小包が届いたあたりから盛り上がり、意外な結末に落ち着く。ミステリーの王道と言うところか。

☆ 最後の40頁ぐらいで全体が要約(種明かし)されている。それだけ読んでは味気ないが。
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馳星周「煉獄の使徒(下)」

2019-12-14 14:38:55 | Weblog
☆ 馳星周さんの「煉獄の使徒(下)」を読んだ。上下合わせて1600頁を超える大作だった。

☆ 日本、いや世界を驚かせた「オウム事件」、それを題材にて作者のイマジネーションが描かれている。フィクションではあるが、実にリアルだ。

☆ ヨガ道場を立ち上げた詐欺師と元左翼の腕利弁護士。それに、政界、警察官僚の派閥争い、権力闘争が絡んでいく。

☆ 教団の確立とその成長。強引な勧誘は訴訟となり、被害者側の弁護士一家が強殺される。弁護士本人もその妻もその幼い子も。教団はグルの指示で衆議院選挙に挑むが大敗北。その頃からグルの被害妄想、誇大妄想は暴走を始める。しかしもはや側近の誰もが彼を止められない。グルに逆らえば制裁が待っている。

☆ この世で救われない魂は来世で救う。「ポア」と言う名の殺人が横行する。グルは自ら手を染めない。弟子に実行させ、その負い目に付け込んでロボットのように操る。グルは最終解脱者、決して間違いを起こさないと洗脳しながら。

☆ (規模は違うが「連合赤軍事件」にも通じる。国家規模になるとナチズムやスターリンの独裁にも通じるものがあるように感じる)

☆ 教団は武装化する。細菌兵器、銃、そして毒ガス「サリン」を製造する。

☆ 「サリン」は地下鉄で散布され、多くの人々が死傷した。グルはそれを見て満足げに微笑んだ。一方、政治家や警察官僚の派閥争いは政権交代と言う戦後数十年ぶりの事態を背景に過熱化していく。カネ、権力に群がる人々。

☆ 警察庁長官の襲撃で物語は幕を閉じる。

☆ 一連の流れは、現実の出来事として私たちが見てきたとおりだ。そうした表の事件の裏に何があったのか、それを私たちは知るよしもないが、作者はフィクションとしてその筋書きを暴いている。

☆ 面白い作品だった。
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アニメ「バビロン」

2019-12-13 23:16:15 | Weblog
☆ アニメ「バビロン」第1シーズンを観た。「新域」と呼ばれるニュー東京。裏構想によれば、そこは新しい法律、新しい価値観の実験場。早速、新たに選ばれた「新域長」は自殺法の是非を問い公開討論に臨む。

☆ 正義とは何か、悪とは何か。死とは何か、生とは何か。「ギニーピッグ」を思わせる衝撃的なシーンで第1シーズンは終わる。

☆ さすがR15+指定だ。

☆ 魔性の女「曲世愛」とは何者か。「ブラックジャック」のドクターキリコ以来の衝撃だ。

☆ 公開討論には自殺法反対の立場から、日本共有党、公正党、民生党、自明党の弁士が討論に参加。日本共有党は経済的観点から、公正党は道徳的観点から、民生党は法制度の観点から、自明党は感情論から自殺法を批判する。

☆ 差し障りがない範囲ではこの程度が限界だろうが、日本共有党はマルクス・レーニン主義の観点から、公正党は「生命論」あるいは仏法思想の観点から、批判してほしかったなぁと思った。

☆ 物語はまだ端緒についたばかりだが、主人公の正崎検事の周りでは親友あるいは味方らしき人々が惜しげもなく次々に死んでゆく。この先、どう展開していくのやら。
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