いつでしたか、妹、夢路(プラチナのように輝いて)が話したことです。
「70歳を過ぎると、人は、急に色々な病に見舞われがちになるそうよ」と。
悲しいかな、病と向き合う暮らしは、私達の年齢になりますと、当たり前の出来事になるのでしょう。
そういえば、風邪ひとつ引かず元気だった夫が、入退院を繰り返す様になった年齢も、正に70歳前後でした。
東日本大震災以降に私が出合い、大変好きになった言葉、「諦めと覚悟」が、また思い浮かびます。
諦めとは運命は避けられないこと。
覚悟とは、与えられた時間の中で最善を尽くすこと。
さて悩みに悩んだ末、出した結論に従って、まずは紹介状宛のT病院に、二人でお昼過ぎ向かいました。
電車の乗り換えは一回で済むのですが、最寄りの駅で下車し、T大病院まで徒歩15分もかかります。
無論、今回は炎天下でもあり、タクシー利用でしたが。
今後、頻繁に病院を訪れる私がタクシーばかり利用していては、交通費だけで一月数万かかってしまいそう。
ネット検索で調べると、一つ手前の駅の御茶ノ水から、T病院行きのバスがあることが分かりました。
今後は、できるだけそれを利用したい、と思っています。(実際は、その後、よほど疲れている時を除き、徒歩で往復するようにしています。)
初めてT病院を訪ねた日は、相変わらず残暑が厳しく、空は真夏の太陽がさんさんと輝いていました
しかし、T大病院の周りの風景に目をやると、大学構内の滴るような豊かな緑が目に映り、何とも涼やかな光景。
私の幾分疲れた心が、随分慰められました
レトロな雰囲気のする赤レンガの重厚な建物と緑のコントラストがとても美しく・・・・・・
家族の母校と思うと、胸に迫る感慨もありました。
心身に余裕があれば、心行くまで、デジカメ散歩を楽しみたい、と願いましたが、
実際は、出かける前、考え事が多すぎて心身共に疲れ果て、カメラ携行の外出など、全く思いが及びませんでした。
病院の前から、スカイツリーが望めます。
初診受付の窓口で手渡された書類に色々記入し、初診の申し込みが完了しホッとした途端、ポケットベルがなり始めました。
診療時間は、既に終了していたのでしょうか。
瞬く間に、夫の順番が回ってきました。
初対面のS医師は、電話で受けた好印象通りの、とても感じの良い先生。
お話も、丁寧で分かりやすく、患者さんへの親身な思いが、ひしひしと肌に伝わってきました。
でもこの先生は、飽くまで代理の方ですから、主治医や担当医がどんな方かは、まだ分かりません。
その医師が、内視鏡クリニックの紹介状に収められていた画像を見ながらのお話は、次のような内容でした。
「細胞検査の結果を待つまでもなく明らかに、これは癌です。
肛門近くの癌は、最悪の場合、人工肛門を取り付けなければならなくなる場合もあります。
しかしW教授は、そのような症状でも、極力それを避けた手術で臨む先生です云々・・・・・・
~その他の詳しいお話は省略~
早速に入院の手続きをして下さい。
ベッドが空いていれば、今日からでもいいですよ、と。」
夫の症状は、そんなに緊急を要する酷い状態なのかしら、とまたまた私の心は不安でいっぱいに。
ベッドが空いていても、心の準備が出来ていない夫は、さすがに当日入院は拒みたい心境だったようです。
その上、私がこの病院を訪ねる前に出した結論は、T病院で診察は受けるものの、そこで紹介状を改めて書いて頂き、近くの病院へ転院することでした。
当院が遠過ぎる懸念を、初診の際の申し込み用紙の欄にもしっかり書き留め、口頭でも説明した私達だったのですが・・・・・・
緊急を要する治療、と医師が判断されてのことか、私達の転院を望む気持ちなど全く意に介されないご様子。
アッと言う間に、この病院へ入院確定の患者となり、レールに乗せられてしまった感じでした。
先生の、性急な対応に、不安は増幅されていくばかりでしたが・・・・・・
しかし、いざとなると気分の切り替えも早い私です。
なるようにしかならない、といった気持となり、次第に心が落ち着いていきました。
ベッドは今のところ満床ですが、何とか出来るだけ早く一床確保できるよう努め、空き次第、連絡しますとのこと。
週明けくらいの入院を予定しています、と言われました。
その日は、血液検査、心電図、レントゲン撮影などを済ませ、家路に就いた私たちでしたが・・・・・・
返りの車中、私が想像していたこととは、余りに違う展開となり、戸惑う気持ちを抑えられませんでした。
今後、最寄りの病院、渋谷のN病院、今日伺ったT病院と三つの掛け持ちで、旦那さまの病の治療をするなんて。
検査の重複は避けられそうにありません。
我が家は、副収入があるわけではなく、年金のみで慎ましく暮らしている老夫婦です。
それにもかかわらず、医療費は三割で、その重圧が、今後さらに重くのしかかってきます。
でも旦那さまの病に当たって、そんな愚痴を述べるのは不謹慎ですね~
過去の投資による損失を埋めるべく貯蓄にも今まで通り励みながら、予算生活を徹底し、やりくり上手な主婦を目指さなければ・・・・・
夫の治療費捻出のために、一層無駄のない生活を心がけよう、と今はまた、気持ちを新たにしているところです。
最寄りの病院と渋谷のN病院の医師同士では、夫の治療に当たり、連係プレーが組まれていて安心でしたが、さらにT病院が、今後加わります。
そのため不安が尽きない私でしたが、思いがけない喜ばしい展開になっていくのでした。
このことは、次回の記事でお話しできれば、と思います。
翌週の月曜日に、予定通り夫は入院しました。
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