昨日の続きです。
ポストに入っていた朗報の広告紙。
それを目にしたとき、私な悩み続けてきた遺品の行き先を、やっと見つけることができた。
そんな思いと嬉しさが込み上げてきました。
その広告の差出人とは?
大手百貨店の本店です。
背広を着用した爽やかな雰囲気の社員が載っていて、買取をいたしますといった文面でした。
一目見て、私の心は決まりました。
遺品の回収はここにお願いしよう。
見知らぬ人に手渡すより、はるかに安心です。
早速電話を掛けました。
良い品物でも、買取業者さんは、二束三文でしか買ってくれないということは、親しい友人から聞いていました。
ですから期待はまるでしていませんでしたが。
丁寧に扱かってくれるであろうデパートの仲介業者を通して、他人の手に渡り、役立ててもらえうのであれば・・・・・・。
どんなに安価でも、私は不服など全くありません。
そしていよいよ、遺品を手渡す日が訪れました。
私の期待通り、とても感じの良い方が、玄関先に。
居間には前もって、夫と母の衣類他、思い出の品々を所狭しと思えるほどに並べてのお迎えです。
ところがその方は、衣類には全く興味を示されません。
私の買い物の方針は、上質のものを数少なく、長く使用するですから.
夫の外出着もそのようなものばかりでした。
クリニングにも出していて一見、新品にも見えます。
それでもだめ。
ゆえに、母の物にも、もちろん全く関心なし。
そんな具合でしたが、思いがけず大きな額のお金をいただいてしまいました。
その金額は、6万5千円。
何だか恐縮してしまった私です。
その内訳は、恥ずかしいので伏せますが、一例だけ挙げますね。
私が長年愛用したルイビトンのスーツケース。
さすがにもう古くなって使用不可と思っていた物の買い取り額は、一万円。
そんな感じです。
結局、私が一番処分に困っていた衣類は、一枚も引き取ってもらえず、なんだかな~といった複雑な気持ちでした。
これでは、私の目的は、ほとんど果たせていませんから。
ところがその数日後、デパートではなく、また同業の方から、電話がかかってきたのです。
「もう値打ちのあるものは、デパートに引き取ってもらいましたから、期待に添えるようなものはありません」
と答えたところ。
それでも構わない、とのこと。
この類の電話は、すべて断ってきた私ですが、今の流れの勢いに乗って、つい訪問を承諾。
阪神方面の方で、実にユーモアがあり愉しめたのですが、やはり衣類には全く関心を示されなくて。
でも高額の値を付けて下さったものが数点ありました。
夫の大島紬の着物と、居間の壁の隅に飾ってある絵画。
百貨店の方にも、私の所持品で、とんでもない高い値をつけてくださったものがあります。
何と、云十万円。
でも手放す気はもともとなく、すべてお断り。
欲しかったわけでは全くなく、ある事情で買わされた感じのバッグ。
さりげなく普段使いするのがお洒落、と言われましたが、とてもとてもそれは無理。
気後れしてしまい、使用したのは、二十数年間に数度だけ。
この買い取り額は、云十万です。
母が私の夫のために用意してくれた大島紬の着物
このような経過をたどって、結局今も、遺品の多くは、そのまま我が家に置かれたままです。
今回は大島紬の夫の着物以外、和装物はほとんど見せていません。
再度、いつか他の着物の鑑定もお願いしようと思っています。
思い出の品々は、焼却してしまうのが一番きれいな処分方法ではないでしょうか。
でも、それを可能にしてくれる場所は見当もつきません。
二人目の業者さんに、居間の暖炉を指して、
「この中に入れて燃やしてしまうことも考えているのですが」
と話すと、その答えは、
「とんでもない。衣類には化学物質が含まれているものが多いので、燃やすと黒煙がもくもくと上がって、すぐに厳重な注意をうけますよ」と。
「寄付しても、この類の衣類は喜ばれない。
お塩とお酒を振って、ごみとして処分するしかないですよ」
とのこと。
そうかもしれないけれど、ゴミ扱いにするのはどうにも忍びなくて、私には耐えられないところがあります。
その場合は、ぼろきれなどの回収日に出すことになるのでしょうね~
路上の晒しものにはしたくない、と悩んでいた時に、思い付いたことがありました。
マンション住まいの娘のところで捨ててもらおう。
娘にお願いすると、「いいわよ」と、承諾してくれました。
「持っていくのは同じ清掃業者さんよ」と言いましたが、屋内の集積場所においてもらえるだけでも、多少は気持ちが救われます。
夫や両親が一番愛用していたものだけ残し、あとは少しずつ娘宅にもっていくことで、一件落着といったところでしょうか?
良き寄付先があれば、それも検討するつもりでいます。
こんなことで悩む自分を見て、私は元気な内に自分の持ち物はできるだけ処分して、娘たちに迷惑をかけないようにしなければ、と改めてしみじみ思いました。
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