河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

私と歩行分析 10

2008-02-02 | 私と歩行分析
その後歩行分析に関しては鳴かず飛ばずという状況であったが、平成15年4月に畠中先生、中俣先生が鈴鹿医療科学大学へ転出していった。こうなると誰もエリートを使う人がいなくなり、オープンキャンパスの時に設置した部屋を見てもらうだけになってしまった。

ちょうどこの頃、東大のベンチャー企業から3DマッスルシミュレータARMOがリリースされ、私はすぐにこれを購入した。
それまで名古屋の労災リハ工学センターの元田先生、鈴木先生に筋張力シミュレーションをお願いしていたのが自力でできるようになると思ってのことである。
3DマッスルシミュレータARMOは3次元動作解析装置で計測したデータをDIFFという臨床歩行分析研究会が提唱するフォーマットに書き出して、それを読み込むだけで筋張力の計算ができ、アニメーションで動画が見られるという画期的なソフトだった。

こうなるとエリートで何とかデータを計測する必要性が出てきた。

そうこうしているうちに、兵庫リハセンターでエリートの計測をしていたPTの人が、吉備国際大学には同じエリートがあるからとして大学院修士課程に入学してきた。
ますますエリートを使わなくてはならない状況になってきた。

それで意を決して、苦労を承知でエリートを使い始めたのだが、やはりうまく計測ができるときとだめなときがあり、なぜうまく計測できないのかという原因がさっぱり分からないと言う状況が続いた。
これではせっかくこのエリートを目的に本学大学院に来てくれた人に申し訳ない。
大学院修士課程は2年間であるから何とか計測して修論を完成させなければならない。

最初は関連校の岡山理科大学のVICONを使わせてもらったりしてデータを取った。
次に同じエリートが入っている岡山県南部健康作りセンターに行ってデータを取らせてもらおうとした。
ところが、岡山県南部健康作りセンターのエリートも壊れていたのである。

この頃になるとそれまでイタリアからエリートを輸入販売していた商社丸紅系の業者もエリートの取り扱いをやめており、別の業者がエリートの販売権を引き継いでいた。
しかし、もう業者はまったく頼りにできないような状況だった。
エリートに関しては本体の老朽化と、ソフトが全くバージョンアップせずに不具合を残したままであると言うことと、サポートすべき業者がさじを投げたと言うことで完全に終わっていた。

ちょうどその様な時に、ブラジルのサンパウロで国際学会があり、私も参加した。
平成17年4月のことである。
この学会にイタリアBTS社も機器展示を出しており、新しい3次元動作解析システムを展示していた。
そこで分かったのはエリートシステムは欠陥商品であり、BTS社はエリートをバージョンアップすることなく新規に全く別のシステムを作っていると言うことであった。
その時、展示していたBTS社の人は、日本の市場が失われかけている事を非常に憂えていて、必ず特別価格で新しいシステムを提供すると約束したが、日本に帰ってイタリアと連絡を取って提示された金額は全然安くなかった。
当時からユーロは円に対して随分高くなっており、イタリアで安いと思う金額も日本円に直すと全然安くなかったのである。

このようなことがあって、新しい3次元動作解析システムをいかにして導入するかと言うことが問題になってきたのである。

コメント
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