河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

抜管防止用手袋トレンちゃん

2010-08-13 | 医学・医療
大学は夏休みに入ったが、今月末までにリハ学会で行った教育講演の内容をまとめて送らなければならないので原稿を書いている。
なかなか気乗りがしないので、雑誌を見ていたらこれはおもしろいと感心する商品の広告が目についた。


抜管防止用の医療用器具で「トレンちゃん」というネーミングである。
一般の方は分からないかもしれないが、病院で認知症のある患者さんに点滴や経鼻栄養チューブなどの管を刺した時、患者さんは当然いやがってそれを抜こうとする。
仕方がないので手を使えないようにミトン状手袋をはめることが多い。
私も長年診てきた患者さんが、認知症が進行して最近この手袋をはめられているのを見て悲しくなった。
しかし、仕方のないことだとそれ以上踏み込んで考えることはしていなかった。

ところが、これをどうにかしたいと考えた人がいたようで、この「トレンちゃん」が開発されたらしいのである。
手袋とは言うもののこれは手を覆う大きなペットボトルのようである。
透明なので患者さんは自分の手が見える。
通気用の穴が空いているので手が蒸れることもない。
さらに筒状であるので中でボールを握らせて指を動かせる。

これならば、ある程度理解力のある患者さんなら、指のリハビリ用ですと納得させて装着できそうだ。
実際に試すと患者さんの意識がボールに集中しすぎて無理に手袋を外そうとする人もいたらしい。
ボールでなくても患者さんが大事にしている小物を入れると良いのだそうだ。

しかし、この商品を見ると自分では気付かないが、まだまだ工夫できることが医学医療の世界ではたくさんあると言うことが分かる。
何で私はそういう問題意識を持てなかったのだろうか。




http://www.makotomc.co.jp/html/torenchan.html
コメント
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