桐(ノウゼンカズラ科科)花言葉は、高尚。原産地は不明だが、各地で古くから植えられている。高さ10~15m。はは対生し、大型の広卵形で3~5烈する。5月、葉に先立って枝先に大型の円錐花序を立て、長さ5~10㎝の淡紫色の筒状唇形花を多数咲かせる。花に芳香があり、遠くからもよく目立つが、和歌では「桐の葉」「桐の落葉」が秋の季題として詠まれているだけである。連俳時代に入ってから、」「諸島のおとなひ低し桐の花」(路通)など、高い梢で壮麗に咲く高貴なたたずまいに焦点が当てられている。桐は成長が早く、女の子が生まれたときに植え、嫁に行く時に箪笥の用材にしたという。また、幹は一度元から切るとよく生長するというが、「きり」はこの切るに基づく。◎高い所で天に捧げるように咲く姿から、死者の国への思いを誘うところがある。紫といふ高貴な花色や紋章のイメージで、格調の高く詠まれた句が多い。桐箪笥への連想から、母や女子への思いが託される花でもある。「熊野路に知る人もちぬ桐の花 去来」「桐咲いて昔に還る道のごとし 大野林火」「安曇野の日がやわらかし桐の花 柴田白女」「桐の花うす化粧して老いんかな 原コウ子」「おろかゆゑおのれを愛す桐の花 佐藤鬼房」「桐の花古都洛陽をおほりけり 松崎鉄之助」「桐の花河口に眠りまた目覚めて 金子兜太」「桐咲いて雲はひかりの中に入る 飯田龍太」「桐の花半日遊び一日病む 清水径子」「花桐や雲を重ねて南部領 小原嘆葉」「三日月のあと暁の桐の花 神尾久美子」「どの家も庇突き出す桐の花 広瀬直入」「高ければ想ひの速し桐の花 角川照子」「桐の花水の匂ひの男過ぐ 関戸靖子」「遺されし母はけむれる桐の花 鍵和田柚子」「桐の花水匂ひの男過ぐ 関戸靖子」「「桐の花盥に曲がる山の鯉 伊藤通明」「水うすくゆきわたりたる桐の花 正木ゆう子」「遠ければ女人とおもふ桐の花 田中裕明」「桐の花たそがれ色に須磨離宮 土井たか子」。(この空に続く明るい桐の花 ケイスケ)。