川越だより

妻と二人あちこちに出かけであった自然や人々のこと。日々の生活の中で嬉しかったこと・感じたこと。

人を人と思わない仕打ち  民主党への陳情②

2010-01-24 10:44:35 | 在日コリアン
 20日(水)

 暖かい朝だったので早めに家を出て市谷から靖国神社~千鳥が淵~国会正門と歩いて12時40分ごろに参議院議員会館到着。今日は13時から民主党今野東参議院議員の秘書福田清之郎さんにお会いしてもらうことになっている。
 
 「在日コリアンの日本国籍取得権確立協議会」の「国籍取得特例法」制定運動にかかわって民主党に陳情する手立てを教えてもらうのが主な目的である。旧知の民主党関係者の紹介で先週、電話でお願いしたところ国会開会当初で多忙の時なのに時間を割いてくれるという。資料を整えているうちに呉副会長が到着したので定刻よりやや遅れて二人で今野議員の部屋を訪ねた。

 福田さんがあらわれ名刺交換などで挨拶したところまではともかくとして、それから後のことは僕から見れば何とも不自然で理解できない対応だった。

 私たちを入り口を入ったところに立たせたまま、ご自分は事務机の椅子に座って僕が手渡した資料に目を通す。そして時に感想のようなことを言われる。

 私たちを座らせて話を聞こうということには一向にならない。挙句の果てに「今日はこれでお引き取りください」だ。

 私たちの話を聞かないままで福田さんが話したことをまとめるとこんなことになる。

 排外主義の嵐の中で民主党は「あなた方の国の政府」と民団の要請にこたえて外国人地方参政権法案を成立させようとしている。このような流れの中で自公政権時代に国会に提出されることもなかったような法案を検討するなどということはあり得ない。混乱をもたらすだけだ。陳情を受け付ける窓口などどこにもない。

 帰れといわれるから私たち二人は退出するしかなかった。

 こんなことって許されることだろうか?

 私たちはきちんとした手続きを経て約束の時間に「陳情」に来たのである。僕は川越から2時間をかけてきた。呉さんは多忙な中あれこれとやりくりして定刻に駆けつけてきた。

 そんな市民を渡された資料に目を通しただけで追い返したのである。お茶の一杯どころか、椅子に座らせようようともしなかったのである。

 あれから数日が経って今僕はこの文章を書いている。2、3日は無様(ぶざま)にも落ち込んで書く気が起きなかった。情けない限りである。

 今ははっきりとしている。あのような対応をするものを「許してはならない」,
「許さない」。

 天下の公党に陳情を受け付けてもらうにはどうしたらよいかと教えてもらいに行ったのである。話も聞かずに玄関口で追い返すとはどういうことなのであろうか。

 人を人と思わない対応ではないのか。話の内容以前の問題だ。

 先日の帰り道、私たち二人は期せずして共通の体験を思い出した。数年前、 奥野 信亮さんという国会議員を訪ねた時のことだ。

 奥野さんは自民党の議員だが「国籍取得特例法案」には反対しているという。そういう方に会ってその真意を聞き、私たちの思いを正確に伝えようというのでお会いしてもらった。

 私たちの考えを聞いてもらった後も奥野さんの「現行の帰化制度で十分だ」という考えには変化は生まれないようだった。それでも話はよく聞いてくれ、ご自分の考えも聞かせてくれた。椅子が提供されたのは言うまでもない。お茶まで出してくれた。

 市民が会ってください、私たちの話を聞いてください、といってお願いしているのである。自分とは違う主張をしている人たちであっても都合をつけて会い、話を聞くというのは国会議員の当然の仕事ではないだろうか。奥野さんはごく自然にこの仕事をしてくれたのではないか。

 私たちは理解してもらったと喜ぶわけにはいかなかったが、それでも足を運んでよかったと思った、のではなかったか。在日コリアンの現実や私たちの願いを聞いてもらうことはできたし、反対する議員の胸の内もいくらかは知ることができたのである。

 そこへいくと、この福田秘書の対応は自分を何さまと思ったらできることだろう?

 どなたでもいい。民主党の関係者に聞きたい。こんなことでいいのですか。


 福田秘書の話を聞く限りでは少なくとも福田さんは在日コリアンの現実や帰化制度の問題点についてもほとんど無理解のように見えた。それでいて学ぼうという姿勢を持たず、

 民主党は韓国政府と民団の要請にこたえて地方参政権法案の成立に全力を挙げている。「先日も民団の集会で決意を表明してきた」ばかりだ。変な邪魔立ては許さない。

と考え、かくも無礼としか言いようのない対応をされたのであろう。

 僕に向かって韓国政府のことを「あなたたちの政府」と言われたのには仰天した。どういう意味なのであろうか。

 僕は日本国民としてこの40年ばかり縁あって在日コリアンの子供たちとの出会いがあり、自分一人では解決できないことについて人々と力を合わせて教育委員会に訴え、ここ数年は政党に働き掛けてきた。日本の社会で生きる子供たちのすべてが人として尊重される社会を作ることが終生の願いである。

 東京都教育委員会も私たちの話を聞いたうえで「在日外国人児童・生徒の教育指導について」という通達を学校現場に出したりした。自分は一教育公務員に過ぎないが、知りえた問題と解決方法を社会に提示していくことは当然の責務だと考え行動してきた。

 最初からスムーズに行ったことばかりではないが、こんな仕打ちは思い出せない。

 「政権交代」に期待してささやかではあってもぼくもその動きに与(くみ)してきた。新しい政権ができたとたんにその政権を動かす人に跳ね飛ばされて僕は傷(いた)んだ。

 こんなことを許したらこの政権は「民主」からはほど遠い今までにない?独裁政権になってしまう。何とかしなければならないと思う。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
許さん (三浦小太郎)
2010-05-02 09:06:24
初めて訪問いたします、守る会の三浦です。

読ませてもらいました。
意見の相違は別として、この民主党議員秘書の態度は許せん。
鈴木氏や呉氏がどれだけ在日コリアンの差別撤廃のため努力してきたか、今誤解されることを恐れず国籍取得を主張しているか、この秘書は知らないだろうし知る気もないのだろうが、無知な一国民の私ですら知っている。

こいつは許さん。
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昨日抗議を (三浦小太郎)
2010-05-04 06:37:06
続きです。
昨日、議員宛に抗議メールを送りました。また、ジャーナリストの有田芳生氏によれば、この秘書の正確な名前は鈴木誠之郎、「社会新報」の元記者だそうです。

きちんと鈴木氏と呉氏に謝罪があればそれでよし。なければ少し抗議を続ける。もちろん、鈴木氏には全く責任はありません。私があくまで個人で行うことです。

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