川越だより

妻と二人あちこちに出かけであった自然や人々のこと。日々の生活の中で嬉しかったこと・感じたこと。

「川越だより」改修工事

2010-01-31 12:58:18 | 友人たち
 金曜日の夜、Kくんが来てくれました。僕の生徒としては最後から2番目の年に「倫理」を受講した人です。小さい時に父を失い、母は病気だったため、親戚の助力を得ながらとはいえ、天涯孤独ともいえる少青年期を生き抜いてきました。今、お母さんは母国で闘病中です。

 答えを見つけ出したいさまざまな課題を抱えながらよくも頑張って生きているなあ、というのがぼくのKくん観です。ですから、時に顔を出してくれ、近況を聞くことは安心することでもあり、嬉しいことです。

 人生相談のほうはもっぱら妻や娘の担当です。夜遅くまで話し合っています。僕は眠くなれば「お休み」です。

 土日が休みだということで昨夜は「川越だより」の改修工事の指南を受けました。ご覧のように「ブックマーク」という欄ができました。僕とかかわりが深いサイトを紹介します。オイオイ増やしていきたいと思います。

 やりたいと思っても自分ではなかなかできないので挑戦しないのが現実です。おかげで少し展望が開けました。

 携帯の電話帳に番号記入をするのも指南してもらいました。

 僕が携帯を買ったのは「行き倒れた時」に助けを求めるためです。自転車で遠出した時などにあるかもしれません。ですから普段は電源を切ってしまってあります。
 ごく限られた人にしか番号も知らせてありません。たいていは家にいますから家電で十分です。

 それでも何人かの番号記入は必要です。K君の指南でこちらも展望が開けました。

 パソコンも携帯も便利な機能がいっぱいありそうですがこんな状態ですから、これ以上の挑戦は当分はないでしょう。

 Kくんの人生はこれからです。もし僕が彼だったらどうしただろうと思うことがあります。自分の人生が抱えることになった山のように巨大な課題に押しつぶされずに、自分を生かすことができただろうか?

 Kくんがしてくれたような指南を彼の人生に関してすることは、ぼくにはできないけれど、ささやかであっても人生の応援団にはなれるかもしれません。なれるといいなあ、妻も娘もそう思っているに違いありません。


西伊豆②安良里と田子

2010-01-30 08:50:04 | 出会いの旅
 1月27日(水)晴れ

 宿から見える遠笠山(天城高原)に連れて行ってもらったが高原一帯がゴルフ場やベコニアガーデンという私有財産になっていて展望の開けたくつろげる場所はどこにもなかった。公共の広場としては天城連峰の登山口の駐車場があるだけである。

 ここまで立派な県道がついているのだがこんなことが許されるのかと思った。企業(東急?)のための道ではないか。近くには霊友会の巨大な施設もあるようだった。

 気分を切り替えて昨日の道をたどり、西伊豆の土肥(とい)に向かう。

 地図を見ると土肥の南に「丸山城跡」とあるので目星をつけて行ってみた。散歩中のお姉さん(80代か)が海岸からの登り口を教えてくれた。

 丸山城跡http://www2u.biglobe.ne.jp/~ture/izumaruyamayasgi.htm

 海賊の末裔の富永氏の出城跡だという。頂上は広場になっていて島原の原城跡を思い起こさせた。

 駿河湾全体が視野に入る、海賊の拠点としてはうってつけの地である。暖かい日差しを浴びる草地に座って海を眺めているとうとうととして眠ってしまいそうだ。

 黄金崎(こがねざき)で妻は昼食。僕は散歩。駿河湾の潮をなめる。

 黄金崎http://images.google.co.jp/imglanding?q=%E9%BB%84%E9%87%91%E5%B4%8E&imgurl=http://shimas.at.infoseek.co.jp/koganezaki.jpg&imgrefurl=http://shimas.at.infoseek.co.jp/nishiizuni_yukouyo.htm&usg=__3eyXm9PpJG2j79DEODJ9Isi2FVs=&h=480&w=640&sz=36&hl=ja&um=1&itbs=1&tbnid=Jnnj6fFBKWQctM:&tbnh=103&tbnw=137&prev=/images%3Fq%3D%25E9%25BB%2584%25E9%2587%2591%25E5%25B4%258E%26hl%3Dja%26rlz%3D1T4TSJB_jaJP347JP347%26sa%3DX%26um%3D1&rlz=1T4TSJB_jaJP347JP347&sa=X&um=1&start=3#tbnid=Jnnj6fFBKWQctM&start=7

 南下して安良里港に寄る。

 こんな港があるのかと思うほど理想的な天然の港である。写真をゆっくりごらんになってください。

  西伊豆・安良里港http://www.google.co.jp/imglanding?q=%E5%AE%89%E8%89%AF%E9%87%8C%E6%B8%AF%E3%80%80%E9%A2%A8%E6%99%AF%E3%80%80%E5%86%99%E7%9C%9F&imgurl=http://img01.jalan.jp/jalan/images/pict2L/Y7/Y319597/Y319597184.jpg&imgrefurl=http://www.jalan.net/uw/uwp3400/uww3401.do%3FyadNo%3D319597&h=450&w=600&sz=47&tbnid=_ROnVrJctCBdOM:&tbnh=101&tbnw=135&prev=/images%3Fq%3D%25E5%25AE%2589%25E8%2589%25AF%25E9%2587%258C%25E6%25B8%25AF%25E3%2580%2580%25E9%25A2%25A8%25E6%2599%25AF%25E3%2580%2580%25E5%2586%2599%25E7%259C%259F&hl=ja&usg=__5o1wVxW1DQClljNNTs1IAwgoabE=&ei=h1ljS-XsDo3q7APq26gY&sa=X&oi=image_result&resnum=4&ct=image&ved=0CA0Q9QEwAw&start=0#tbnid=_ROnVrJctCBdOM&start=3

 港を散歩した後、街に出てみるとお姉さん(70代と80代)が二人椅子に座って世間話をしていた。
 僕が遠い昔、土佐の鰹(かつお)船がこのあたりで餌になるイワシを買い入れた話をすると鰹漁でにぎわった娘時代を懐かしんで話が盛り上がった。唄もうたってくれた。「安良里港(みなと)は巾着港(みなと)入れて絞めれば出ばが無い」
 通りがかりのもう一人のお姉さんも加わった。

 巾着状の安良里港に漁師たちがイルカを追い込む話は印象深い。能登の真脇(まわき)という縄文期の遺跡で見たイルカ漁を思い出した。そんな漁がほんの最近までここでは続いていたのだ。

 安良里のイルカ漁http://nature.i-ra.jp/e90015.html

 今はだれも聞いてくれない話だという。日を改めてゆっくり聞かせてもらいたいと思った。


 お隣の田子港。

 美しい入り江の果ての駐車場から灯明ヶ崎遊歩道を登ってみる。目の前のウミウの住む巨岩が入り江をふさいで天然の良港となっている。このままずうっと歩いていきたいが夕暮れが近付いているのでそうもいかない。

 引き返して港に戻る途中で元漁師という二人の方に出合った。65と75。お二人とも鰹船に乗った。最盛期にはこの田子だけで700人以上の漁師がいた、みんなどこに消えてしまったのか影形もない、といわれる。

 今は目の前の海に落ちる夕日を撮りに写真愛好家が押し寄せてくるという。

  田子・夕日http://s002a001.town.nishiizu.shizuoka.jp/hp/page000000800/hpg000000769.htm


 田子といえば青柳裕介の漫画『土佐の一本釣り』に純平が田子に修業にいく巻がある。土佐の鰹漁と深いつながりがある地であろう。ここの鰹節づくりは土佐から学んだものらしい。僕の母方の祖父も鰹船に乗った。この港にも世話になったのではないか。

 『土佐の一本釣り』をもう一回読んで、今度はゆっくりこの地を訪ねることにしよう。

 http://nishiizura.i-ra.jp/e168495.html

 
 1月28日(木)雨のち晴れ

 伊豆高原~熱海~小田原~二宮~秦野(昼食)~宮が瀬湖~相模湖~(高速)川越

西伊豆① 富士山と南アルプス

2010-01-29 15:04:15 | 出会いの旅
 昨夕、伊豆高原での「保養」から帰ってきました。西伊豆のあちこちを訪ねて歩きました。おかげで体がだいぶ動くようになりました。

 1月25日(月)晴れ 風強し

 川越~(高速)~上野原~山梨県(旧)秋山村~都留市~御殿場(昼食)~箱根~(伊豆スカイライン)~伊豆高原


 26日(火)快晴 無風

 今回は西伊豆の海岸を散歩しようということで修善寺から戸田(へだ)に向かう。戸田峠の近くに「だるま山高原レストハウス」があったので寄ってみる。地図には「富士の絶景ポイント」とある。

 確かに素晴らしい景色である。駿河湾の向こうの富士はもとよりだが左後方にまっ白い南アルプス連山が見える。これには感動する。昨日たどってきた箱根の山は右手後方だ。
  
  だるま山高原レストハウス展望台http://shuzenjionsen.i-ra.jp/e65589.html

 8年前の正月、松山に住む将史兄さん夫妻が富士山を見たいというので伊豆大島や伊豆半島・箱根などのあちこちに案内して富士山を堪能してもらった。三原山の噴火口近くから遠望する富士の姿は特にすばらしかった。

 このだるま山高原は案内する僕が知らなかった。もう一度機会を作ってもらう口実ができたなあ。

 富士山のパノラマとしては屈指のところかもしれない。1939年のニューヨーク万博にここから撮った巨大なパノラマ写真が展示されたという。

 西伊豆スカイラインの戸田駐車場から達磨山(だるまやま)に登ることにした。南アルプスがもっとよく見えるだろう、と。

 頂上まで700mとある。妻には先に行ってもらった。僕は急な階段道を喘ぎながらゆっくりゆっくり上る。途中からは背丈くらいの灌木の中を行く尾根道。

 思ったとおり、南アルプスの展望が鮮やか。富士山の左奥に八ヶ岳と思われる山並みも見える。

  達磨山山頂からhttp://www.our-hiking.com/mt.kinkan_daruma.html

 僕のような片肺のものでもゆっくりいけば登ることができる。皆さんも西伊豆に行くことがあったらぜひ、登ってみてください。写真では味わえない感動があります。

 このスカイラインに沿う山並みを縦走するハイキング道があります。一日をかけて歩けば心も体も軽くなることでしょう。


 昼食は戸田の「ゆうなぎ」。カサゴの煮付け定食が1350円。妻はアジのたたき定食で1400円。アジの中骨を3日3晩干してから揚げにしたものがおいしい。

 「ゆうなぎ」の主人に歩くのにいい村里はと聞くと「舟山」がいいという。土肥方向に向かう「碧の丘」からその舟山の村が見えた。
 
 舟山http://4travel.jp/traveler/hn11/album/10422524/

 断崖の上にある村で日当たりがよくあちこちで河津桜がほころんでいる。大きな屋敷の前で掃除をしているお姉さん(70代?)にあった。「FAMILY]と命名されたみどりごを抱いた若い夫婦の塑像があったので聞いてみるとお連れ合いの作品だという。小学校の先生だったようで戸田の村役場(今は沼津市)にこの作品のブロンズ像があるらしい。

 モデルになったお子さんの家族は沼津に住み、盆と正月に帰ってくるという。裏にはみかん畑が広がっており手入れが大変そうだ。

 過疎はここも同じだが大きな別荘があちこちに建ち、都会から移り住む人もいる風情だ。断崖の端っこに海に降りる遊歩道があったので下りてみた。残念なことにがけ崩れで波打ち際までは行けない。それでも海抜1mから見る南アルプスに続く駿河湾の風景は去りがたいものがある。

 3時を過ぎた。今日はここまでとする。未知の土地に来ると足が自然に動き体が楽になる。ありがたいことだ。


 


妻のクラス会

2010-01-25 06:47:23 | 川越・近郊
【川越だより】のアクセス・ランキング

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 昨日(24日・日)は妻の中学校時代のクラス会が川越であり、昼食を共にさせてもらいました。1945年生まれ、千代田区立練成中学の卒業生です。

 神田明神が学区内にあり、江戸時代から下町(町人の街)の風情が濃いところです。妻の実家は空襲で焼かれたため、7月20日生まれの妻は千葉県市川市で育ちました。父母の判断で中学から本籍地の練成中学校に通わせたのです。

 妻と同じように市川から電車通学した方が二人はおられます。「日比谷高校ー東大」を目指したのかもしれません。

 ヨットを趣味とし、太平洋に親しむようになって学歴にこだわって生きるばからしさに気付いたという方の話が印象に残りました。海の上ではただただ人のつながりだけが命を支えあうのだといいます。

 こういう自覚の仕方もあるのかと思いました。今の子供たちはさらに低年齢から学歴競争に追い込まれています。そういう人々はどうやってその馬鹿らしさ加減にきづくのでしょうか?

 僕よりは4つ下の人たちです。求められたので自分の生徒のクラス会で話すのと同じような気持ちで熱いメッセージを送りました。また新たな出会いが始まるかもしれません。

 川越は「小江戸」と呼ばれますが、川越の人は「江戸の母」とも言います。江戸城をはじめ、江戸の街を作ったという自負があるからでしょう。

 江戸の母http://kuwabara03.blogspot.com/2009/04/blog-post_07.html 

 その川越がこの20年、「観光都市」となり、東京のど真ん中で育った人たちが訪ねてくれるようになりました。「クラス会」を川越で開いてくれるのですからありがたいことです。

 昼食会後、一人先に帰って大相撲千秋楽を見ました。魁皇が力相撲で連日若い力士に勝ったのは何かとてもうれしい。優勝した朝青竜の笑顔も良かった。

 名護の市長選挙は辺野古移転反対派が勝利、伊豆諸島の都議補選は自民党の圧勝。

 今日はこれから伊豆高原に向かい木曜日まで「保養」です。「川越だより」は2~3日お休みです。

 ホテル伊豆高原http://www.hotelizukougen.com/sightseeing/ 

人を人と思わない仕打ち  民主党への陳情②

2010-01-24 10:44:35 | 在日コリアン
 20日(水)

 暖かい朝だったので早めに家を出て市谷から靖国神社~千鳥が淵~国会正門と歩いて12時40分ごろに参議院議員会館到着。今日は13時から民主党今野東参議院議員の秘書福田清之郎さんにお会いしてもらうことになっている。
 
 「在日コリアンの日本国籍取得権確立協議会」の「国籍取得特例法」制定運動にかかわって民主党に陳情する手立てを教えてもらうのが主な目的である。旧知の民主党関係者の紹介で先週、電話でお願いしたところ国会開会当初で多忙の時なのに時間を割いてくれるという。資料を整えているうちに呉副会長が到着したので定刻よりやや遅れて二人で今野議員の部屋を訪ねた。

 福田さんがあらわれ名刺交換などで挨拶したところまではともかくとして、それから後のことは僕から見れば何とも不自然で理解できない対応だった。

 私たちを入り口を入ったところに立たせたまま、ご自分は事務机の椅子に座って僕が手渡した資料に目を通す。そして時に感想のようなことを言われる。

 私たちを座らせて話を聞こうということには一向にならない。挙句の果てに「今日はこれでお引き取りください」だ。

 私たちの話を聞かないままで福田さんが話したことをまとめるとこんなことになる。

 排外主義の嵐の中で民主党は「あなた方の国の政府」と民団の要請にこたえて外国人地方参政権法案を成立させようとしている。このような流れの中で自公政権時代に国会に提出されることもなかったような法案を検討するなどということはあり得ない。混乱をもたらすだけだ。陳情を受け付ける窓口などどこにもない。

 帰れといわれるから私たち二人は退出するしかなかった。

 こんなことって許されることだろうか?

 私たちはきちんとした手続きを経て約束の時間に「陳情」に来たのである。僕は川越から2時間をかけてきた。呉さんは多忙な中あれこれとやりくりして定刻に駆けつけてきた。

 そんな市民を渡された資料に目を通しただけで追い返したのである。お茶の一杯どころか、椅子に座らせようようともしなかったのである。

 あれから数日が経って今僕はこの文章を書いている。2、3日は無様(ぶざま)にも落ち込んで書く気が起きなかった。情けない限りである。

 今ははっきりとしている。あのような対応をするものを「許してはならない」,
「許さない」。

 天下の公党に陳情を受け付けてもらうにはどうしたらよいかと教えてもらいに行ったのである。話も聞かずに玄関口で追い返すとはどういうことなのであろうか。

 人を人と思わない対応ではないのか。話の内容以前の問題だ。

 先日の帰り道、私たち二人は期せずして共通の体験を思い出した。数年前、 奥野 信亮さんという国会議員を訪ねた時のことだ。

 奥野さんは自民党の議員だが「国籍取得特例法案」には反対しているという。そういう方に会ってその真意を聞き、私たちの思いを正確に伝えようというのでお会いしてもらった。

 私たちの考えを聞いてもらった後も奥野さんの「現行の帰化制度で十分だ」という考えには変化は生まれないようだった。それでも話はよく聞いてくれ、ご自分の考えも聞かせてくれた。椅子が提供されたのは言うまでもない。お茶まで出してくれた。

 市民が会ってください、私たちの話を聞いてください、といってお願いしているのである。自分とは違う主張をしている人たちであっても都合をつけて会い、話を聞くというのは国会議員の当然の仕事ではないだろうか。奥野さんはごく自然にこの仕事をしてくれたのではないか。

 私たちは理解してもらったと喜ぶわけにはいかなかったが、それでも足を運んでよかったと思った、のではなかったか。在日コリアンの現実や私たちの願いを聞いてもらうことはできたし、反対する議員の胸の内もいくらかは知ることができたのである。

 そこへいくと、この福田秘書の対応は自分を何さまと思ったらできることだろう?

 どなたでもいい。民主党の関係者に聞きたい。こんなことでいいのですか。


 福田秘書の話を聞く限りでは少なくとも福田さんは在日コリアンの現実や帰化制度の問題点についてもほとんど無理解のように見えた。それでいて学ぼうという姿勢を持たず、

 民主党は韓国政府と民団の要請にこたえて地方参政権法案の成立に全力を挙げている。「先日も民団の集会で決意を表明してきた」ばかりだ。変な邪魔立ては許さない。

と考え、かくも無礼としか言いようのない対応をされたのであろう。

 僕に向かって韓国政府のことを「あなたたちの政府」と言われたのには仰天した。どういう意味なのであろうか。

 僕は日本国民としてこの40年ばかり縁あって在日コリアンの子供たちとの出会いがあり、自分一人では解決できないことについて人々と力を合わせて教育委員会に訴え、ここ数年は政党に働き掛けてきた。日本の社会で生きる子供たちのすべてが人として尊重される社会を作ることが終生の願いである。

 東京都教育委員会も私たちの話を聞いたうえで「在日外国人児童・生徒の教育指導について」という通達を学校現場に出したりした。自分は一教育公務員に過ぎないが、知りえた問題と解決方法を社会に提示していくことは当然の責務だと考え行動してきた。

 最初からスムーズに行ったことばかりではないが、こんな仕打ちは思い出せない。

 「政権交代」に期待してささやかではあってもぼくもその動きに与(くみ)してきた。新しい政権ができたとたんにその政権を動かす人に跳ね飛ばされて僕は傷(いた)んだ。

 こんなことを許したらこの政権は「民主」からはほど遠い今までにない?独裁政権になってしまう。何とかしなければならないと思う。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

河野太郎議員のブログ

2010-01-23 07:30:06 | 政治・社会
 自民党の国会議員・河野太郎さんのブログを僕は時々読ませてもらいます。おとといの記事を忘れないうちに紹介しておきます。法務副大臣の時の体験に基づいて「検察のリーク」とマスコミの垂れ流し、果ては裁判官という司法官僚のでたらめさに触れています。

 おととい、昨日と衆議院予算委員会の中継を見たり聞いたりしていたのですが、やり取りに緊張感がありません。この国の病巣に一人になってもメスを入れていくという気迫がどの議員にも感じられないのです。

 河野さんは自民党の3世議員ですがいうこともやることも自分の良心に忠実な今頃珍しい議員のような気がします。

 検察庁、裁判所の解体的改革なくして日本に民主主義を根付かせることは不可能です。民主党の議員にとっては今が絶好のチャンスのはずです。マスコミに右顧左眄することなく、河野さんが提言していることの一つ二つに取り組んでみたらどうでしょう。


   副大臣がやり残したこと
            2010年1月21日 17:18

 まず、個人的な感情を言わせてもらえれば、僕も政治家小沢一郎なんかちゃんちゃらおかしいと思うし、その小沢一郎という人間を崇め奉り、恐れ、ものを言わない、ものが言えない民主党という組織は薄気味悪いと思う。

という前置きを書いた上で..

僕が法務省の副大臣をしていたときにホリエモン事件があった。
そのときにすごく気になったのが、XXXという供述をしているというニュースが毎日のように新聞やテレビで流れたことだ。

なぜ取り調べの供述が外に漏れるのか、取り調べをした検事の責任はどうなっているのかということを秘書官に調べさせた。
秘書官は検察庁にいくわけにはいかないから、法務省の幹部に副大臣がこう言っていると聞きに行ったのだろう。

戻ってきた答えは『接見した弁護士が漏らしているのではないか』

僕はぶち切れた。

当時の杉浦法務大臣は、さらに検察の聞きたいような供述をするとすぐに外に出られるけれど、そうでないとなかなか出られないという状況もおかしいと、いくつかのことを検討させた。

そのうちに小泉内閣が総辞職した。

最近の石川某がこういう供述をしているという報道は、明らかにおかしい。

日本の司法制度では、有罪が確定するまでは無罪である。被疑者の段階で、あたかも被疑者が悪人であるというような世論を作らんが為のリークを検察がするのは間違っている。(そんなリークをする弁護士は懲戒の対象になるかもしれない)。
被疑者の人権問題になりかねない。

検察のリークがほしいマスコミは、まるで飼い主からえさをもらう犬のように、飼い主には吠えず、ただ気に入られようとするあまりにしっぽをちぎれんばかりに振ることになる。

検察のリークで紙面や番組を作っている新聞やテレビに検察批判ができるのか。
検察がもし間違ったことをしたときに、マスコミがどれだけそれを報道できるのか。

一部のマスコミはそれを報道の自由だという。接見した弁護士が漏らしているという検察と同じではないか。今回の事件で、検察のリークを批判し、検証したマスコミがあったか。
記者クラブなる既得権にしがみつき、取材対象となあなあになっているマスコミが報道の自由などという錦の御旗をふりかざすべきではない。

検察のリークがあったと思われる場合には、法務大臣が検事総長なりに記者会見を開かせ、そうした事実があったかどうかを確認させるべきだ。もしそうした供述はなかったというならば、その後、裁判でそれに反する供述は使えなくなるし、そうした供述があったというならば、取り調べた検事が処罰されなければならない。

同様に、検察と闘えという首相も首相だが、首相補佐官や政務官の一部が検察批判をしているのも議院内閣制に反する。文句があるならば、政府の職を辞していうべきだ。

法務副大臣時代に、裁判所から法務省に来た裁判官が、民事局長などの職に就き、入札ルールをねじ曲げて民事法務協会に業務を発注しているのを見て唖然とした。官製談合をやっている人間が裁判官として裁判所に戻るのだ。
しかも、ほとんどそうした問題を法務省の記者クラブは追及してこなかった。

裁判員制度が始まったことでもあるし、日本の司法制度をもう一度きちんとあるべき姿にしていく必要がある。

 出典河野太郎・ごまめの歯ぎしりhttp://www.taro.org/2010/01/post-698.php

国会議員Aさん 民主党への陳情①

2010-01-22 07:16:38 | 在日コリアン
 連日たくさんの方が川越だよりを覗いてくださってありがとうございます。

 元高校教員が退職で仕事がなくなった時に娘が用意してくれたブログという場所で、日々感じたことをだらだらとつづっているだけです。病気もしたので昔生徒だった人や友人たちにありのままの消息を伝えたいという思いもあります。この3月で3年になります。

 毎日のように2時間はかけて何かを書いています。生きているのですから感じることや考えることに事欠くということはありません。毎日が日曜日ですから時間もたっぷりあります。たいていは朝の仕事?ですが午後や夜になることもたまにあります。調子しだいです。

 この2日間、書けない日が続きました。珍しいことです。体調が悪かったわけではありません。「調子」が良くなかったのです。ご心配をかけた方もいるかもしれません。ごめんなさい。

 元気が出てきたようなのでまた書き始めます。よろしくお付き合いください。

 
 1月17日(日)

 10時、事務所を訪ねて衆議院議員のKさんに会っていただく。「在日コリアンの日本国籍取得権確立協議会」の事務局員としてお願いしてあった面会が2カ月余りたってからようやく実現した。

 前日には民主党大会があったばかりである。明日からは国会が始まる。忙しい最中に時間を割いてくれて感謝のほかはない。

 Kさんは母方の遠戚が南米に移住されており、日系3世の事情にも通じておられるせいか、在日コリアンの現状についてもよく理解されており、特別永住者とニューカマーの外国人とを同じ範疇で考えてはならないとおっしゃる。希望する人に国籍選択権を認めよという私たちの主張にも理解を示される。

 Kさんから質問があった。

 ①韓国民団はなぜ今も「外国人地方参政権」実現に全力を傾けるのか。②国籍選択権を確立してほしいという人々の要求はなぜ聞こえてこないのか。

 核心を突く質問に僕は丁寧に自分の考えを伝えた。②は特に耳の痛い話である。簡単にいえば私たちの運動が弱く、社会的影響力がないに等しいからである。僕らが意見を書いてもマスコミからは無視されるし、当事者の多くは声を挙げることがない。国会内での集会も一度やることができただけである。その時のビラもKさんには届いていないようだった。

 どうしたらこの現状を打開できるのか?この数年私たちが抱えてきた難問でなかなか答えが出ない。

 それでも僕は嬉しかった。外国人地方参政権法案を成立させることと在日コリアンの人権問題を解決することは別問題であることをよく理解されている国会議員が地元に居られるのである。

 何かにつけて相談に乗ってくれたり、力になってくれるのではないだろうか。さしあたって同僚議員のAさんと相談して対処してくださるとのことだった。

 Kさんは自由党以来の国会議員で明らかに「小沢派」?に属する。いまや天下を取って外国人地方参政権法案の成立に意欲を示す幹事長に別の観点から考えなければならない課題があることをしっかりと伝えてほしい。

 特別永住者に日本国籍選択権を認めることは火急の課題であり、また、外国人地方参政権付与法案と何ら矛盾するものではない。

 確立協の趣旨に賛成する友人たちへのお願いと提案。

 ご自分の選挙区の国会議員に面会を求めて僕がやったような「陳情」をしてみたらどうでしょう。立法を求めるのですから一人でも多くの国会議員の理解が必要なのです。在日コリアン2・3・4世が自分の声を届けることが一番大事です。

 新聞への投書やブログでの発信…自分にできる方法を見つけて諦めることなく声を届けていきましょう。


 地方参政権獲得運動はだれのため?http://blog.goo.ne.jp/keisukelap/e/0e829c8b2b0a3b94a6f2f862538b1592

 




 

お休み

2010-01-19 21:07:44 | 川越・近郊
【川越だより】のアクセス・ランキング

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 昨日(18日・月)、小川町の下里から遊歩道を歩いて仙元山山頂まで往復してきました。

 久しぶりの山歩きでエンジン始動に時間がかかりましたが山歩きはやっぱり心地よいものです。体が軽くなります。

 途中で酸素ボンベに世話になりながら歩く方に出会いました。何年振りかだといいます。同年輩です。奥さんのサポートを受けながら勝手知ったる山道を時間をかけながら散歩しているのです。

 僕は片肺になったとはいえ、もともと肺活量が大きいせいか、ゆっくり歩けば苦しくはありません。下肢は抗がん剤の副作用でしびれていますが気をつければ躓くこともほとんどありません。疲れやすいだけです。

 自然のなかに抱かれて元気を恢復する喜びをかみしめる同世代にエールを送りたい気持ちになります。昼食を共にした後、私たちは「ふるさとの湯」に浸ってきました。

 疲れが出たのか、昨夜は7時半には眠りにつき、今日も朝寝に昼寝。書きたいこともいくつかあるのですが、またということに。今日の昼、久しぶりに「家園」にいき、元気に働く若夫婦にあってきました。

小江戸川越おいしいものを探して・家園http://senpu10.blog57.fc2.com/?no=395

 家園・川越だよりhttp://blog.goo.ne.jp/keisukelap/e/c8c8cb050b1abe613a45323d280cf786

検察のリーク

2010-01-17 08:17:02 | 政治・社会
 一年前から続く検察当局の民主党小沢幹事長の政治資金をめぐる摘発は現職の国会議員の逮捕にまで至りました。

 いつ壊れるかもしれない家に住み、退職金を食いつぶして生きている身からすれば豪邸に住み億単位のカネが動く政治家の世界は想像がつきません。秘書をたくさん雇ってその方たちのために政治資金で集合住宅を建てるなどという発想も僕には到底理解できません。

 しかし、この人の長年にわたる活動なしに政権交代はあり得なかったのも事実です。候補者を発掘し、選挙に勝つ体制を日本中に作っていくには膨大なカネがかかるのでしょう。一体何にどれほどかかるものなのか、小沢さんは発表したほうがいいと思います。長年にわたり政官業の癒着のもとで支配体制を構築してきた自民党に勝たなければならないのですから大変なことだけはわかります。

 僕のように政権交代を支持し、民主党政権に期待するものも政治資金についてもっと関心を持つようになるでしょう。企業団体献金を禁止し、税金と個人献金で政治をやろうというのが民主党の約束ですから、実態を明示し、国民の理解と協力を求めなければなりません。

 さて、衆議院選挙前の秘書逮捕、国会開会前の国会議員(元秘書)逮捕と検察の小沢さんに対する攻撃は執拗で少なくとも結果的にはきわめて「政治的」です。

 小沢さんに巨悪が宿っているから何としてもとっちめなくてはならないのか?

 今までやりたい放題をやってきた検察が政権交代を恐れて保身のためにあがいているのか?

 TVや新聞の報道はいつもの通りきわめて一方的で検察の掌(たなごころ)の中で動いているように見えます。

 昨日の民主党大会で鈴木宗男議員が検察のリークについて糾弾しているのが印象に残りました。
 
 鈴木宗男議員のあいさつhttp://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100116/stt1001161856026-n2.htm

 日々刻々のニュースが検察情報の垂れ流しであることはだれの目にも明らかです。「取材によれば」などと言っていますが、権力を持つ者たちの情報を「取材」して垂れ流すのがこの国のニュースの大半です。

 鈴木議員がこの検察のリークについて内閣に「質問主意書」を出したというのでこの人のHPで調べてみました。

 ムネオ日記(10年1月12日)より

「私は不思議に思うことがある。それは、昨年12月8日、閣議で決裁された私の質問主意書に対する答弁書の内容である。
 私が「石川代議士に関する捜査情報を、検察がリークしているのではないか」と質したのに対し、鳩山首相名で「検察当局においては従来から捜査上の秘密の保持について格別の配慮を払ってきたものであり、捜査情報や捜査方針を外部に漏らすことはないものと承知している。」との回答がなされていた。
 国務大臣による閣議で決裁された答弁書の持つ意味は重いと考える。しかし、連日報道されている小沢幹事長や石川代議士の件は、一体誰が流しているのだろうか。「関係者」に該当するのは、「検察」以外に誰がいるのだろうか。」

 リークはないというのである。鳩山さんや法務大臣の千葉景子さんはどうかしている。法務官僚の作文通りの「回答」である。

 これで「小沢さん闘ってください」ですから聞いてあきれます。

 真相を解明する舞台は公平で公明でなければなりません。小沢さんでさえ、検察の一方的な情報操作に振り回されています。

 名もなき庶民は昔から「目をつけられれば有罪」です。この国では検察のやりたい放題がチェックされたことがないのです。

 千葉さんはこのような検察の在り方を改革する責任者です。守秘義務を守らない検察官を摘発し処分しなければなりません。取り調べの可視化などは言うまでもありません。

 生活者である国民の目線に立って検察の改革を断乎とした姿勢でやりぬいてください。


ムネオ日記http://www.muneo.gr.jp/html/diary201001.html

国籍取得特例法の制定を求める

2010-01-16 09:40:46 | 在日コリアン
 小沢幹事長の秘書だった石川議員が逮捕されるなど、18日から始まる国会も波高しで小沢さんが主導する「外国人地方参政権法案」(仮称)も成立するかどうか、先行きが不透明になってきました。

 さて、在日コリアンの公民権の確立を実現し、日本の民主主義を確かなものにするために私たちは「特別永住者等の国籍取得特例法」の制定を求めています。

 ぼくは外国人地方参政権法案の成立、不成立にかかわりなく、成立させなければならないと考えています。

 「在日コリアンの日本国籍取得権確立協議会」が主催した08年3月の集会決議があります。政治状況は変わりましたが考えに変わりはありません。

 僕は病気を体験して「事務局長」の責めを果たしえていませんが、新しい政権のもとで何とか活路を切り開いていかなければなりません。できることを見つけ出してやっていきたいと思っています。

 私たちの考えを集約した「決議文」です。読んでご意見などいただければ幸いです。

 
  国籍取得特例法の今国会での成立を求めます(2008・3・9)


 自民党が「特別永住者等の国籍取得特例法案」を今国会に提出する方針を決めたということです。2001年に当時の与党案として成案を得ながら、店ざらしにされてきた法案です。私たちはこの動きを歓迎し、各党各会派の賛成を得て一日も早く成立することを願うものです。

 朝鮮半島のひとびとが日本の植民地支配から解放されてまもなく63年になります。特別永住資格を認められた在日コリアン(40余万人)への理解もすこしずつ深まり、日本社会のあちこちで民族名で活躍するコリア系のひとびとの姿が見られます。しかし今日なお、在日コリアンに参政権(選挙権・被選挙権など)を中核とする公民権が保障されていない事実に、どれだけのひとびとが気づいているのでしょうか。
 この60余年の間に在日コリアンは世代を重ね、今は三世、四世が主流となっています。しかし、これらのひとびとは法的には「外国人」であるため、生涯を通じて参政権を行使できず、国家公務員、裁判官をはじめ各種公務員になる道も一部をのぞいて閉ざされたままです。旧植民地出身者とその子孫が何代にもわたって参政権がないなどという例は世界のどこを見渡してもありません。日本の民主主義は重大な欠陥をかかえているのです。
 2001年に自民党・公明党など与党3党が作成した「特別永住者等の国籍取得の特例に関する法律(案)」は、こうした異常な事態を打開するために画期的な意義をもっていると考えられます。
 第一番目は在日コリアンに「届け出」による国籍取得権を認めていることです。1952年4月28日、サンフランシスコ平和条約の発効にともない日本政府は在日朝鮮人から一斉に日本国籍を剥奪してしまいました。当時、民族団体が自分たちは独立国家の国民であるとしてこれに反対しなかったことは事実ですが、一人ひとりの国籍選択権を認めず、一片の政府通達で実施したことは法治主義にももとる乱暴なやり方でした。
 このため在日朝鮮人は参政権を失い、主権者としての地位を奪われたのをはじめ、社会保障をうける権利さえ保障されず社会的差別のただ中に放置されたのです。本特例法案が法務大臣の「許可」ではなく「届け出」による国籍取得を認めていることは、この歴史的過誤の反省の上に立つものと考えられ、実質的に在日コリアン一人ひとりの国籍取得(選択)権を認めたことになります。煩雑で人間としての尊厳を傷つけられかねない「帰化」制度によることなく、在日コリアンは、望めばいつでも日本国籍を取得できる権利をもつことになるのです。
 二番目は「従前の氏または名を称する場合にはその漢字を用いることができる」とし、民族名を名のることを保障していることです。従来の帰化手続きでは、ややもすれば朝鮮人のルーツを消し去って民族的にも日本人になることを求めてきました。また尹、姜、趙、崔など、日本の人名漢字に含まれていない姓や名をもつ人は新たに氏をつくったり名を改めたりしなくてはなりません。これは民族的尊厳を傷つけ、同化を強いるものといわざるをえません。この法案はこうした流れとは明らかに違い、少なくとも戸籍上は、民族名をなのり、コリア系日本人(国民)になることを保障しています。
 これだけでだれもが民族名を名のって生きられるようになるほど現実は甘くはありませんが、差別を許さないとする市民の運動とあいまって、在日コリアン自身の自覚が高まっていけば、朴さん、李さん、金さん、とルーツを明らかにしてコリア系の日本人として活躍する人が、国会や地方議会をはじめとして社会のあちこちで増えていくことが期待されます。
 私たちは、このような画期的な法律案が作成されたにもかかわらず、この数年間、一度も国会に提出されなかったことを残念に思い、ねばり強く法制定運動を続けてきました。
 今回、自民党法務部会の「国籍問題に関するプロジェクトチーム」(河野太郎座長)が国会提出の方針を決めたとの報道は力強い限りです。
 
 各党各会派の国会議員の皆さんにお願いします。この法案は在日コリアンの法的地位を最終的に解決し、その人権を確立するために画期的な意義を持っていますが、それにとどまりません。多国籍多民族化が進む日本社会を真に多文化共生の社会にするための第一歩でもあるのです。党利党略によることなく日本の民主主義と人権、多文化共生社会への展望という視点をふまえてしっかりと議論をして今国会で成立させてください。
  
2008年3月9日

国籍取得特例法の制定を求める緊急集会参加者一同




移民国家構築の展望の中でこそ 外国人参政権法案③

2010-01-15 07:00:10 | 在日コリアン
 引き続き外国人参政権法案について。

 昨日僕は、この法律の制定は特別永住資格を持つ在日コリアンの人権問題の解決にはつながらないどころか若い世代の自己形成に悪影響をもたらすと指摘した。

 一方で「(一般)永住者に限って言うならこれは一つの見識であろう」とも書いた。今日はこちらの問題について。

 法律案がどんなものになるのかよくはわからないが報道などによればこの法律(案)の対象は「永住資格を持つ外国人」となるようだ。

 日本の植民地支配に淵源する特別永住者が漸減して40万人に近付いているのに対し、(一般)永住者は増えて50万人に近付いている。少子高齢化が進む中で来日する外国人が減ることはないと考えられ、この数字は今後さらに大きくなっていくに違いない。

 日本社会に定住する外国人の法的な地位を安定させ、この社会の構成者として社会参加、政治参加を促すことはきわめて重要なことである。自治体によってはすでに外国人市民会議などを条例で設置しているところもあるし、住民投票の権利を認めている例もある。

 外国人の存在を抜きにしては社会が成り立たなくなってきている現状を考えるなら、「永住」に限らず、一定の在留期間を持つ人に地方参政権を付与することは社会の安定を考える立場からも検討されるべきことであろう。僕は外国人の市議や県議がいても、それが選挙の結果であればいいことではないかと考えている。権利を認める以上「投票権」だけというのはいかがなものだろう。

 今のところ永住者の中心は「中国」「ブラジル」「ペルー」などの国籍を持つ人で、中国人が増え続けることは十分に予想される。

 中国は共産党の一党支配が続いている国である。国民にわれわれが考える意味での選挙権は保障されていない。自由に自分の意見を発表すれば懲役刑になって投獄されることは最近、劉暁波さんの事例で見せつけられたばかりである。

 http://blog.goo.ne.jp/keisukelap/e/6b5efbfff503c938229bb53374e803b9

 日本に来たからと言って自由に自己の意思を表現できるとも言えない。帰ってからどんな報復を受けるかと恐れている人も少なくないのである。北京オリンピックの聖火リレー時のように特定の目的のために在日が動員されることもあるだろう。

 だから、鄭大均さんが指摘されているような問題点は十分に検討されるべきだと思う。

 しかし、外国人の政治参加をタブー視するのは間違いである。

 僕は日本政府と国会が外国人の受け入れについてその展望や計画を示し、安定した在留の在り方(受け入れ態勢)を提示することが大事だと思う。なるべく若い人を積極的に受け入れ、教育に力を入れ、ゆくゆくはこの国の国民になってもらうという大きな展望のもとで、政治参加や国籍取得の制度を整える必要があるのだ。

 今すでにニューカマーといわれる外国人は180万人程度になり、そのうち永住者は50万人だ。これらの人々が今直ちに「外国人参政権」を求めているわけではない。

 だが、これらの人々は日本社会を支える大切な構成要員だ。私たちが抱えている以上に多くの困難を抱えている人が多い。

 新政権がやらなければならないことはこれらの人々の現実に即して受け入れ態勢を整えながら長期的展望の上に外国人の政治参加や国籍取得の道を示し、広く国民の合意を形成することではないだろうか。

 こうした作業をないがしろにしたまま特別永住者も一般永住者もごちゃまぜにして「解決」を図ろうとする今回の企画には無理があるといわなければならない。

 

 

 

 

若者の自己形成を苦しめる 外国人参政権法案②

2010-01-14 22:10:42 | 在日コリアン
 今日は久しぶりに快晴無風なので川越公園の遊歩道を歩いてみた。このところ閉じこもり気味だったせいかひとまわりするのがやっとだった。帰ってから2階の屋根に干してある布団の上でひと寝入り、これで楽になった。

 さて、「外国人参政権」についてだが、小沢さんも鳩山さんも根本的なことが何一つわからないで、「韓国政府から言われているから」<日韓友好>の観点から法制化を推進しようとしているように見えてならない。

 根本的なこと、肝心なこととは40万余の在日コリアン(特別永住資格を持つ人々)の公民権を確立し、政治参加・社会参加を保障・促進することである。

 都道府県市町村議会議員、知事・区市町村長の投票権のみを付与することが解決になるのだろうか。当事者はそんな「解決」を本当に望んでいるのだろうか。

 韓国政府の立場と主張ははっきりしている。

 韓国籍を持つ在日コリアンは韓国の在外国民である。当然のこととして韓国の国政に参加する権利を持つ。大統領選挙と国会議員選挙については2012年から選挙権を保障する。

 地方参政権については韓国に住む永住外国人にはすでに付与済みである。日本政府と国会は日本に住む永住外国人に地方参政権を付与すべきである。特別永住資格を持つ在日コリアンについては言うまでもない。


 韓国政府の主張は理路整然としていて一見望ましいあり方を示しているように見える。「アジア共同体」を唱える鳩山さんとしても同じく民主主義を国是とする立場から相互主義の原則にもとずいて在日コリアンに地方参政権を付与するのは至極当然と考えられるだろう。韓国が認めていることを認めないほうがどうかしている、と。

 (一般)永住者に限って言うならこれは一つの見識であろう。しかし、在日コリアンの人権問題の解決という根本的な立場に立てば「無理解もはなはだしい」と僕は考える。

 もっとも根本的な食い違いは在日コリアンの大半が自分を「韓国の在外国民」とは認識していないところにある。
 
 今年8月には日韓併合から100年を迎える。今や、子育て中の中心世代は在日3世であり、4世5世が生育している。祖父母や曾祖父母が朝鮮半島から渡来してきたといっても生まれ育ったのはこの日本であり、日本語を母語として自己を形成してきた。

 これらの人々がルーツの一つを朝鮮半島に持つことを学んでも自己を「韓国人」「外国人」と認識することは容易なことではない。これは在日コリアンに特異なことではなく、在米の日系人などにも共通する普遍的な現象であろう。

 先日の論文で鄭大均さんは

「大部分が日本生まれの世代で構成される在日コリアンに見て取れるのは韓国・朝鮮籍を持ちながらも母国への帰属意識にも、外国人意識にも欠けるという二重の状況だ。」「彼らはペーパーコリアンであるとともにペーパー外国人になっているのであり、自分を説明しにくい存在になっている」

 と指摘しているが、全くそのとおりだと僕は思う。

 中学生や高校生になって外国人登録に行かなければならなくなって初めて「韓国人」「外国人」と知らされてアイデンティティ危機に陥った人は、僕の生徒だった在日2世の時代から枚挙にいとまがない。
 もっと小さい時からなぜ自分が「韓国人」なのか、と悩んでも親も先生もきちんとした説明をしてくれなかったという人も多い。
 おじいちゃんやあばあちゃんが朝鮮半島からやってきたといってもなぜ、自分が「外国人」で、公務員にも国会議員にもなれず、選挙権もないのか?

 親も先生もきちんとした説明をできるはずがないのである。民族や出自(ルーツ)と国籍はもともと別の概念であり、コリアンの末裔であっても日本で生まれた子孫は日本人(日本国民)というのが今の世界の常識なのである。旧植民地出身者が3世4世になっても先祖の国籍を受け継ぐなどという不自然なことは僕が知る限り世界のどこにもない。

 このような実態にある在日コリアンに韓国の国政選挙権と日本の地方参政権を付与するということがどういうことを意味するかを小沢さんや鳩山さんは考えたことがあるだろうか。

 「国民の生活が第一」といって政権をとったのに在日コリアンの生活から考える視点を失い、「日韓友好」という上から目線の対応に終始しているからではないのか。

 鄭さんは

「そんな人々に参政権が与えられたら、宙ぶらりんな状況が永続化してしまうだけのことだろう」

「外国人参政権法案とは、そんな在日を永遠の外国人として保存しようとするものだ」。
 
と結論付けている。


 これは僕が1998年に民闘連の集会で指摘したのと同じ趣旨だ。

 これからを生きる在日コリアンの若い世代が国籍と「自分自身」との乖離に悩み、アイデンティティが「宙ぶらりん」になってしまう。自分に自信を持ってあらゆる可能性に挑戦する…そういう生き方を阻害する要因になるということだ。

 地方自治体の首長や議員の投票権の獲得というあまりにも小さな権利と引き換えに自然に自己を形成していく自由を奪っていくとしたら取り返しのつかない打撃を子供たちに与え続けることになる。


 「地獄への道は善意で敷き詰められている」という。外国人地方参政権の実現が在日コリアンの政治的権利の実現につながると信じている人々がいるが本当にそうなのか、と僕は考える。これもまた「善意で敷き詰められた地獄への道」ではないのか、と。




 

 

くぬぎむら体験交流館

2010-01-13 17:18:23 | 川越・近郊
 1月13日(水)晴 風強し

 久しぶりによく晴れたので水汲みがてら都幾川町へ。玉川のお豆腐屋さんで水をたっぷり汲んだ後、大椚(おおくぬぎ)第二小学校に行ってみる。

 廃校になって久しいが跡に「くぬぎむら体験交流館」という真新しい建物が建っていた。

 http://www.town.tokigawa.lg.jp/forms/info/info.aspx?info_id=11657
 

 薪(まき)ストーブが勢いよく燃えている。さっそく丸椅子を二つ並べて冷えた脚を温めた。本当に心地よい。町営の施設でこの地域の老人たちが数人働いている。あれこれと丁寧に説明してくれる。

 僕はこのあたりの山村の風景が好きで学校があるころからしばしば訪ねたものだ。北高の中国クラブOBOGの夏季合宿を大椚の集会所を借りて実施したこともある。何の縁もない僕らのために区長さんは喜んで施設を提供してくれた。もう20年近く前のことだ。

 食堂が営業開始するまでの間、近くの稲荷神社の大杉を見に行くことにした。神社の前に「北原農園」があった。地域の人々の共同農園だという。若者がいなくなる山里の村で人々が舫(もや)いながら生活を楽しんでいる様子を想像した。くぬぎむら体験交流館の運営が活動の中心になっているのかな。

 この村の人たちはおおらかで心に余裕がある、と妻はいう。子供たちの住む街も近く、年寄も自分を生かす仕事をしながら睦(むつみ)あって日々を送ることができるからだろうか。
 散歩の途中で出会ったおじさんは畑仕事をやめて、みかんの小枝を折って持たせてくれた。長く郵便局に勤め、配達も担当されたという。


 食堂の「ひもかわうどん」。
http://inakaudon.exblog.jp/10751200/

 このあたりには「巨木」が多い。「姥樫(ウバッカシ)」を見たいといって東京・小岩からきた娘さんがいたという。体験交流館のおじさんは事故にあってはいけないと自分が車を運転して案内したと嬉しそうに話す。

 
 巨木の里http://www.11-12.co.jp/0200/0207.htm

 

魁皇関の健闘を称える

2010-01-12 14:36:39 | 政治・社会
 1月11日(祝)曇

 土佐でいう「しびくた」日和で、一日家にこもる。

 大相撲初場所2日目、大関・魁皇が幕内通算807勝目を挙げ、千代の富士の記録に並んだ。立派なものだ。

 新聞に中学の柔道相撲部顧問だった吉田先生の談話が載っている。

「身長は180センチを超え、体重は100キロ以上。怪力だったが、柔道も相撲も下手だった」。

 意外な言葉だ。先生は大相撲に行くのは反対だったという。

 
 朝日新聞http://www.asahi.com/sports/update/0111/SEB201001110023.html

 我が家では妻と娘がずうっと魁皇の応援団。無理をしないで怪我のないように15日間を務めて8勝してほしい、と言い続けてきた。

 僕はといえば「千代大海とともに早く引退すべき」、派。大関が十何回もカド番を繰り返すなど見苦しく、相撲への関心を殺ぐ結果となる。
 
 昔、故郷・室戸の出身の朝潮が「九六(くんろく)」大関といわれて情けなかった。9勝するのがやっとで優勝を争うなどということと縁がない時期が続いたのだ。
 千代大海と魁皇ときたら朝潮(朝青竜の親方・高砂)とも比べようがないのである。カド番制度によって余命を保っているとしか言いようがない。

 相撲協会はどうかしている。

 そんな僕がどういうわけかだんだんと女性応援団にくみするようになってきた。
千代大海とは違って魁皇を応援するようになった。効果があったのか、昨年は6場所とも8勝7敗でカド番はなかった。年間48勝は「日本人力士」の最多勝だという。

 そしてとうとう千代の富士の記録に並んだのである。ウィキペヂアで履歴を見てみる。

 魁皇博之

四股名 魁皇 博之
本名 古賀 博之
愛称 キンタ
  ゴリライモ
生年月日 1972年7月24日(37歳)
出身 福岡県直方市
身長 185cm
体重 169kg
BMI 49.37
所属部屋 友綱部屋
得意技 左四つ・寄り・上手投げ・小手投げ
成績
現在の番付 西大関2
最高位 東大関
生涯戦歴 975勝646敗154休(131場所)
幕内戦歴 807勝527敗137休(98場所)
優勝 幕内優勝5回
幕下優勝:1回
三段目優勝:1回
賞 殊勲賞10回、敢闘賞5回
データ
初土俵 1988年3月場所
入幕 1993年5月場所
趣味 ラジコン
備考
金星:6個(曙2個、貴乃花3個、若乃花1個)
2009年11月29日現在

 わが息子と同学年である。直方で見守る父上は僕と同じ68歳。ここまで来たら今少しがんばってほしい。

 子供のころ名寄岩という力士がいた。大関から落ちても頑張って40歳になるまでとった。「涙の敢闘賞」という映画までできた。ラジオを聴きながら応援したのではなかったか。(僕は横綱・東富士の「怒涛の寄り」のファンだった)

 名寄岩とまでは言わない。一つ上の土佐の海が十両に落ちても頑張っている。一日一日を大事に取って少しでも長く僕を楽しませてほしい。今日からは前人未到の大記録を日々更新していくことになる。










鄭大均さんの意見 外国人参政権法案①

2010-01-11 07:23:46 | 在日コリアン
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 民主党が政権を取ってから困ったことになっています。小沢幹事長が「外国人参政権法案」を次期通常国会で成立させる旨、韓国で約束?してきたせいか、私たち「在日コリアンの日本国籍確立協議会」の陳情をどの国会議員も受け付けてくれないのです。

 埼玉県選出の民主党のある国会議員は趣旨に賛成だといいながら、「力になれない」と会ってもくれません。別の国会議員も「皆さんの意見に賛成です。日程を調整します」といって何カ月も会ってくれません。

 これはいったいどうしたことでしょう。民主党に民主主義が消滅したのではないかと心配です。自民党時代にこんなことはありませんでした。賛成でも反対でも、陳情を聞いてくれる議員がいました。立法のために尽力してくれる議員もおられました。

 「陳情のルールが変わった」とも聞いています。ならばどうしたらいいのでしょう。どなたか教えてください。


 ところで鄭大均(てい・たいきん)さん(首都大学東京)の外国人参政権法案に反対する意見が読売新聞に掲載されました。「中央公論」の一月号にも同趣旨の論文が載っています。
 鄭さんの意見を皆さんはどう考えますか?

 僕は同意する部分と?の部分とがあります。いずれにしても大切な指摘をされていると思います。おいおい僕の意見も書いてみたいと思います。
 

  永住外国人の参政権―「在日」永続化の恐れ 鄭大均

 民主党の小沢幹事長は、今年、永住外国人に地方参政権を付与する法案を提出する意向を示したが、これに反対する理由を二点ほど記しておきたい。
 
 外国人参政権法案は一般に在日コリアンの要望に対する日本政界の好意的な回答と理解されているようだが、ここには誤解がある。在日の多くは、今後も日本で生きていこうとする人々であり、機会があれば日本国籍を取得しようとしている。特別永住者の在日コリアンは長い間、「60万」といわれてきたが、その数は減少して今や40万人ほどだ。毎年1万人近い在日が日本国籍を取得しているからで、また日本人と結婚した在日が韓国・朝鮮籍を子供たちには継承させようとしないからである。
 大部分が日本生まれの世代で構成される在日コリアンに見て取れるのは韓国・朝鮮籍を持ちながらも母国への帰属意識にも、外国人意識にも欠けるという二重の状況だ。そんな人々に参政権が与えられたら、宙ぶらりんな状況が永続化してしまうだけのことだろう。彼らはペーパーコリアンであるとともにペーパー外国人になっているのであり、自分を説明しにくい存在になっている。外国人参政権法案とは、そんな在日を永遠の外国人として保存しようとするものだ。
 
 第二に、国内政治に対する外国政府からの干渉を高める恐れがあるゆえに反対すべきであり、問題になるのは在日コリアンだけではない。2008年末の統計では、朝鮮半島や台湾などの出身で、戦前や戦中、日本に移住等でやってきた旧植民地出身者とその子孫である特別永住者が42万人に対して、一般永住者が49万人。その多くは中国やブラジル、ペルーの出身者だが、今後さらに増えるのは中国人であろう。
 
 外国人参政権法案は今のところ地方選挙権に限定されたもので、国民主権の根幹を揺るがすものではないという意見がある。しかし、国政お地方政治の境界は明瞭ではない。自衛隊や米軍基地や原発、あるいは竹島や尖閣諸島のような問題は国家政策と緊密に結びつき、外国籍住民の投票行動が国の外交、安全保障政策と葛藤を引き起こす可能性は十分にある。
 そんな彼らに中国政府は無関心でいられるだろうか。おそらくは韓国政府や北朝鮮政府がそうであったように、中国政府も中国人永住者を政治的に利用しようとすることがあるだろう。海外移住はかつては母国との離別を意味したが、最近では母国との文化的絆のみならず政治的絆が維持されるという状況が世界的にみられる。「日本列島は日本人だけのものではない」と考える者は日本国内にだけではなく、外にもいるのである。
 
 ところで先の衆院選で、韓国民団が日本の国政に組織ぐるみで働きかけを行ったのは興味深い。主要政党の候補者を招いて意見交換をし、参政権付与賛成に翻意を促したという。韓国民団がいずれ国政選挙権を要求するだろうことは予測できたが、これではまるでその予行演習である。
 一方で、韓国の公選法改正で12年以後、在日は韓国の国政選挙にも参加できるようになった。韓国の大統領選や総選挙に在日コリアンは選挙権を行使することができるようになったのである。これではしかし、特権批判を免れるのは難しいだろう

                 (読売新聞2010年1月6日付)