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コードには、「分数コード」というのがありまして。
算数で使う分数と同じで、コードを、「左手やベースで弾く低音を分母」と「右手や高音で弾く和音を分子」に分けて、「C/D」などとするのです(初出の表記が逆になっておりました。申し訳ございません
)。
ピアノなら、左手で「D(ルート)」、右手で「C(上に乗る和音)」を弾きます。
普通のコードでは出せない面白い、魅力的な響きが作れますので、実はあらゆる音楽で多用されているのですよ。
難しいことはさておき、
つい一昨日、学校で、この分数コードのことを教えました。
その際に、
「これ、昔、僕が勉強したころはさ、特にこの『D/C』っていう、上のコードの”ナインス”がルートになってる分数コードをね、
とあるギタリストの曲でこれが連続して使われていて、それがかっこよくてさ、とっても有名ということでね、
『ジェフベック・コード』なんて教えてもらったんだよ」
という話をしたばかりでした。
Jeff Beck - Scatterbrain
こちらの楽曲の41秒、「8分の9拍子」という、ちょっとびっくりなテクニカルな拍子の速弾きのテーマの合い間に、四つ連続で息をつくように出てくる響きが、この分数コードです。
ちなみに、2分50秒からのマックスミドルトンによるソロは、ローズピアノのお手本のような歴史的にも最高なソロです!
ライブでは高速で演奏されていました。
同曲の2007年のバージョン
ベースのタル・ウィルケンフェルドは、なんとこの時まだ21歳(!)。
こんなにも伝説的な人が、こんなにも若いミュージシャンをバンドに招き入れた事は、当時とっても話題になりました。
でも、いいものはいい、凄いものは凄い、っていう、そういう人だったのですよね。
話は変わって、玉置さんのソロでの、あれは2013年のブルーノートでの出来事。
「キラキラニコニコ」という楽曲を、やったことがあったのです。
この楽曲、凄まじく素晴らしい曲なのですが、途中、何度聞いても、どうしても何のコードを弾いているのがわからないところがありました。
Bメロ「僕が君のかがやく星になる」の「なる」の部分の響きです。
「そこ、わかんないでしょ(笑)」って笑う玉置さんに伺いましたら、「これだよ、これ」とギターで弾いてみせてくれました。
「・・・?」
ギターの指盤を観ても、わからないんです。
「だから、これだって」
と、見せてくれるばかり。
玉置さんも、「コードネームは知らない」とのことで、
「でも、昔、これ誰かに教えてもらってさ、かっこいいなって思って、使ったの。いいでしょ(笑)」
って仰るんですが、「めっちゃいいです!」なんですが、
どうも正解が一向にわからなくて、結局、一音一音鳴らしてもらって、
・・・わかったんです。
「あ!(ジェフベック・コード!)」
しかも玉置さんは、このミステリアスなコードに対して、6度の音でメロディを取って、それを平行で半音上げているのですよ。
聞き取れないわけだ、と思いました。
絶対音感があればまた別でしょうが、普通、そんなこと、考えつきませんもの。想像もしていませんでした。
ただ、なんだろう、この響き・・・って。
ちなみに、今ネットで見れるオーケストラバージョンでは、その部分の響きはアレンジされていましたので、気になる方はお手元のオリジナル音源をお聞き頂けたらと思います。
不思議ですよ。。
でも、それが、ジェフベックコード(と僕が教わったもの)に、玉置さんがまたあの玉置さんのセンスでメロディを付けた響きなのです。もう、素晴らし過ぎますよね・・・。
そんなジェフベックが、天に召されたというニュースがありました。
世界三大ロックギタリスト(あとのお二方はジミー・ペイジ、エリック・クラプトン)が「今でもまだ全員生きている」って、それが60~70年代のロック小僧世代とっては、とっても安心感だったのですが、とうとう。
いつか、こんな日が来るかもしれないとは思っていましたが、
もうこちらも、それを受け入れることができる年齢にはなっていますが、
でも、寂しいですね。
ジェフベックのアルバムで知ったマックス・ミドルトン、トニー・ハイマス、そして、ヤン・ハマー。
特にヤン・ハマーは、ジェフベックのギターとユニゾンしたり、ハモったり、時にはギターと思えるようなシンセソロで、革新的なキーボードを聴かせてくれました(皆さん、まだご活躍です!)。
昨年のB'zさんのツアーで演奏した「マミレナ」という楽曲。CD音源には無いのですが、間奏部分の松本さんのギターのメロディを、
ふと思いついて、ある日リハで、ミニモーグでユニゾンしたのです。
そうしましたら、稲葉さんが
「あ、そこ、(ジェフ・ベックの)ヤン・ハマーみたいになってかっこいいですね。」
って仰ってくれまして、
「ありですか(笑)?」
「ありでしょう(笑)!」
ということで、あのようなライブアレンジになったのです。
(しかも稲葉さんが、ちょうどそこで僕のブースに遊びに来て下さるシーンになっていましたね)
あの凄まじいギタープレイのみならず、ジェフベックの楽曲、アレンジ、革新的なアイデアの数々は、
僕たちファンの耳に、身体に、流れ続けていくことでしょう。
本当に、長い間、お疲れ様でした。
そして、心から、ありがとうございました。
ではー。