く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<トウテイラン(洞庭藍)> 花色を中国・洞庭湖の美しい湖水にたとえ

2018年09月26日 | 花の四季

【日本固有種、京都~鳥取の日本海側と隠岐に自生】

 オオバコ科(ゴマノハグサ科とも)ルリトラノオ属の宿根草。日本固有の希少種で、京都府~鳥取県の日本海側の海岸や隠岐諸島に自生する。草丈は50cm前後で、8~10月頃、茎頂にオカトラノオのような穂状の総状花序を伸ばし、青紫色の小花を密に付ける。花冠は先が4つに裂け径5~10mmほど。葉や茎は白い綿毛で覆われる。

 名前の「トウテイ」は中国の揚子江(長江)の中流域にある淡水湖「洞庭湖(どうていこ)」に因む。この湖水は唐の詩人李白の『洞庭湖に遊ぶ』をはじめ古くから多くの漢詩に詠まれ、山水画にも描かれてきた。トウテイランの花の色をその湖水の美しさにたとえたという。「ラン」は蘭ではなく花の藍色から。既に江戸時代には観賞用の園芸植物として栽培されていたといわれており、その当時に命名されたとみられる。花色にはまれに白いものもある。

 環境省は野生種の分布域が限られるトウテイランについて、絶滅の危険が増大しているとしてレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に分類している。トウテイランを「市の花」としているのが京都府の丹後半島に位置する京丹後市。「京都の自然200選」に選ばれている箱石砂丘の群落をはじめ自生地を抱えており、琴引浜鳴き砂文化館などでは長年トウテイランの保全・増殖活動に取り組んできた。トウテイランの仲間には小型の「ヒメトウテイラン」があり、こちらは北米やヨーロッパ北部からロシア、中国にかけて広く分布する。

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