道士は天の端から地の果てまで探したのですが、そのいずれも茫々として”皆不見”でした。そうこうしているうちに、何処からともなく小耳にはさんだことがありました。
忽聞海上有仙山
「海の上に仙人が住む山があり」というのです。
この海について、中国では、大層神聖な場所として古来より考えられ、仙人も海の上の山て入るのは普通でした。
山在虚無縹緲間 <山は虚無、縹緲の間に在り>
山は虚無<キョム>(空しく何もなく)で、縹緲<ヒョウビョウ>(はるかに広く広がっている)とした場所にあった
樓閣玲瓏五雲起 <楼閣は玲瓏<レイロウ>として五雲起る>
すきとおるようなあざやまな御殿には五色雲が湧き起こり
其中綽約多仙子
そのなかには大変な美しい仙女がたくさんいました。 綽約<タクヤク>とは「しなやかで美しいこと」です
中有一人字太真 <その中に一人有りて、字<アザナ>は太真
その仙女の中に「太真」と言う名の者がいたが、
雪膚花貌參差是
雪のように白い肌と花のように美しい顔は楊貴妃にそっくりであった。参差<シンシ>とはよく似た顔という意味です。
金闕西廂叩玉扃 <金の闕<ケツ>の西の廂<ソウ>玉扃<ギョクケイ>を叩き>
「金闕西廂」とは黄金の正堂の西にある部屋です。そこの玉の戸口を道士が叩いた。」 多分こんな意味だと思います?????
轉小玉報雙成 <うたた小玉<コダマ>をして雙成<ソウセイ>に報ぜしむ>
よくその意味が分かりません??。小玉・雙成というのは楊貴妃に仕えていた天女の名だと思いますが。
道士の話を直接聞いたのが小玉で、その小玉が、雙成に、それを伝え、雙成は楊貴妃にと、言うのではないかと??