もう少々お付き合いください。芭蕉が推敲を重ね、梨一をして
“翁の文に巧なる”
と云はしめた「松嶋の賦の体」の描写(後半)を書き写してみますのでお読みいただけたらと思います。
“松のみどりこまやかに枝‐葉汐風に
吹たはめて窟-曲をのつからためた
るかことし其気色窅(ヨウ)然として
美人の顔を粧ふ千早振神のむかし
大山すみのなせるわさにや造化の
天工いつれの人か筆をふるひ詞を
尽さむ・・・・・”
と。それを、又又、自筆本で