オホクニはネズミの穴の
“内者富良富良<ウチハホラホラ>”
に深く落ち込みます。その時、地上では
“火者焼過<ヒハ ヤケスギ>”
穴の中は安泰です。命拾いをします。ネズミは命の恩人だす。そればかりではありません。オホクニはスサノヲから鳴鏑を取って帰ってくるように命令されているのです。此の火の騒ぎで、オホクニは矢どころではありません。きっと、この野火のために矢は燃えて無くなっているはずです。どうしようかと思っている処へ、ネズミが言います。
「その矢は私が、そして、その先に付いている矢羽は私の子供「子鼠」が、ちゃんと口にくわえて取り込んでおきました。これです。どうぞ、」
と。鳴鏑をオホクニに奉りました。命だけでなく、自分の任務まで事前に察知して安全に取り揃えてくれたのです。
「なんていいねずみだろう」と思われのでしょう。きっと。
どうも、これに付いては、何も古事記にも書いては無いのですが、神話としても、少々おかしいと思いになりませんか。このようにすべてがオホクニのために準備されて展開されてきているように思われます。
この少々奇天烈な事件から考えられるのですが、私は、敢て、次のような仮説をたてました。どうでしょ
いくら可愛い娘「須勢理昆売」が寝取られても、オホクニも自分の息子です。此の男神オオホクニが、どのような叡智をもって数々の身に降りかかる危機を回避するか、その力を試してみたのではないでしょうか。いざという時は、それなりにスサノウが手を打って、その命まではと思っていたと思われるのです。
だから、この時のネズミも、予め、スサノヲが配置していたのではないかと???それでなかったならば、鳴鏑矢まで穴に取り込むことはネズミだって、しなかったのではないかと思います。