スサノヲは,ご自分の頭の辺りからしきりに赤い液体が流れ落ちるのが分かります。それは、これもまた、オホクニが妻から教えてもらった策ですが、赤土とムクの木実とオホクニの唾を混ぜ合わせた物をスサノヲの顔に垂れ流します。それを見たスサノヲは、これは、きっと、オホクニが自分の頭に居る呉公<ムカデ>を口に含んで食い千切り、それが唾に混じって、赤く染まって流れているのだと、かってに思ったのです。そして
「ううむ、オホクニと云う男、なかなかやるわいな!!!ういやつじゃ」
と思ったのです。それを
“於心思愛<ココロニ ハシク オモホシテ>”
と書いてあります。「愛」を<ハシク>と読んでおります。
「なかなか、かわいいやつじゃなあ。あのわざとわしの頭に於いていた恐ろしいムカデを少しも怖がりもせずに、しかも、自分の口に含んで殺すとは、なかなか見上げた男であるワイ!!」
と、その勇気ある大胆不敵な行いに対しても大変に感心します。しかし、それをオホクニに、直接、何も言葉で言わないで、ご自分の心のなかで思われたのです。それが
”於心”
です。相当な意地っ張りだと言われても仕方ないような御心の持ち主ですよね。スサノヲは!!!
そのようなオホクニに対して安心でもしたのでしょうか??そのまま、とうとと居眠りをなさいます。下を向いたままでです。余程、スサノヲは安堵したのでしょうかね。でも、そんなお心とは知らずにです・・・・・何が、この後、起こりますやら????