「生」太刀と「生」弓矢です。<イク>と読んでいます。「長く生き続ける」という意味です。ずっと昔から根の国にあった宝物という意味です。この刀を持っていると長生きできるのだそうです。ということは、この太刀と弓矢を持っておると、これから二人で向かう出雲の国に帰ってからも、その兄弟たちからいじめを受けて命をなくすることは無いのです。その位大切な宝物を持ちだしたのです。泥棒ではないかと思われるかもしれませんが、ちゃんとその妻がいて一緒に持ちだしたのですから、一般に云う「泥棒」では決してにないのです。須世理毘売の物になっていたのかもしれませんもの???二人が、スサノヲの所から持ちだしたのは、その二つだけではありません。此の他、毘売が使っていた物かもしれませんが
“天詔琴<アメノノリトゴト>”
をも持ちだして逃げ出すのです。なお、この「詔琴」について、宣長は、木または竹からできている六弦の倭琴ではなかったかと言っております。その琴について、更に、
”上代には、夫婦の結びをなすに、必ず女の親の方より、聟に琴を与えて、其の長く夫婦の契(しる)しとせり・・・・・”
と説明があり、「その名残がこの琴から読みとれ」と。なお、琴は「詔言所」で「ノリゴトト」がつまって「ノリゴト」になり、それは転じて「琴」になったのだとも説明があります。