オホクニの妻「須世理毘売」です。ものすごい勢いの野火が大野全部を焼き尽くします。その真っ只中に夫オホクニが入っていたのですから、もう命は無い物と思っていたのでしょう。
“哭”
そうです、激しく悲しんで大声を出して泣きながら、父の元に駆け付けます。その時、須世理毘売は、
”喪具<ハブリツモノ>”
と携えてくるのです。葬式の道具です。でも、お棺等はあろうはずがありません。毘売が用意したものは、現代では葬儀社が、即座に、整えてくれますが、もう2,3000年も前の話ですから、
「とりあえず、ただ、「飯<イイ>」と「水」だけのごく簡単な物だったのではないか」
と、宣長は言っております。
取るものも取りあえず、父の元に駆けつけてきたのでしょう。夫殺しの犯人は父に決まっていると思っていたのでしょうか???だからこそ、抗議の意を表すための行為が
”喪具”と“哭<コク>”
だったのです。
なお、ここで、古事記には、オホクニノ妻の名が「妻須世理毘売」となっております。「勢」でなく「世」にです。妻となったら字が変わるのでしょうか。それとも、今までの「勢」いがなくなって普通の「世」間並みのお人なられたと間接的に言い表しているのでしょうか???????宣長は何も説明はしておりません。