昨年10月に発行した『失業しても幸せでいられる国』(都留民子・著 定価1000円)は、書名の訴求力と内容の衝撃力が話題になっているようで、堅調に読者が増えています。
本を読まれた方からは、もっと詳しく話を聴きたいと、著者に講演依頼も届いています。資本主義社会の必然としての「失業」という問題を、これからの日本の国づくりのなかでどう見るのか、それが現在の日本の民主勢力に問われている、そんな本です。ぜひ多くの方にご紹介いただき、早く重版(第2刷)に追い込みたいですね。
さて、2月は2点の新刊が出ました。実に4カ月ぶりでした。出版業界の常識では編集者(専任)の仕事は毎月1点の新刊を発行することが最低のノルマだと言われています。年間12点です。
その基準から考えると私の場合はたいへん低い成績に終わっていることになりますが、営業や宣伝、その他の事務仕事も含めて1人でやっている点を考えるとどうなのでしょうかね。
昨年1年間の新刊は5点でした。内2点が4刷、3刷と増刷に至っています。昨年1年間は、とにかく忙しかったという印象の年でしたので、それぐらいが限界ではないかとも思います。
ただ点数を多く出せばいいというものではありません。やはりどれだけ読者を獲得するか、読者に支持される内容の本を作るかが基本です。出しても返品不良在庫になったら、大いなる損失ですから。
でもそうやって打ちひしがれることもありながら、読まれる、広げてもらえる企画を如何に練り上げるか。そこに頭を悩ます日々なのです。今年は6点の企画がすでに進行中ですから、昨年よりは点数が増えることは確実です。
出したい企画はいろいろあります。問題は、出した本がどれだけ読者の支持を得られるかです。そのために毎日、企画・販売・宣伝・資金繰りで頭を悩ます、そんな日々が零細一人出版社の日常です。
それから体力も必要ですね。さらに何よりも、こんな本を出したいというエネルギーがないと出版なんてやってられません。自分で考えて、世の中にこんなことを問いたい、こんな提案をしたい、こうして人々に喜んでもらいたい、人々の人生に寄り添いたいというような思いが必要なのです。