月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

光るツキヨタケ

2015-10-06 21:47:23 | キノコ
ふたたび訪れた山は風が強かった。ツキヨタケが干からびていないか心配だ。駐車場は見晴らしがよく、美しい夜景が見えた。

友人と二人で月夜を歩く。満月は、街灯のように明るい光を放っている。闇に慣れた目にはなおさらだ。真正面にある時などはまぶしくて直視できないほど。懐中電灯を使わずとも道が見えた。

ときおり、林の中からこちらの様子をうかがう獣の眼が光るのが見える。鹿だろう。しばらく動かずにじっとこちらを見てから、走り去る。夜の森はケモノの国だ。

歩くこと30分。目的地に着いた。ツキヨタケは……っと。

おーーー!光ってる!友人ともども歓声をあげた。

ツキヨタケの発光は弱く、肉眼ではぼんやり見える程度だと聞いていたので、正直なところ、さほど期待してなかったのだが。ツキヨタケの状態が良かったからか、それとも満月の光に照らし出されてか、白いヒダがしっかりと確認できた。
有名なヤコウタケやシイノトモシビタケはずっと明るいが、これだけのボリュームはない。あちらのキノコが夜空の星々だとすれば、ツキヨタケは天の川だろうか。こちらはこちらで、なかなか壮観だ。


しばし見入ったあとで、さっそく撮影を始めることにした。長時間露光なんて、シイノトモシビタケくらいでしかやったことないので設定を覚えていない。適当だ。えいっ!


おー!撮れた!

これはむしろ月のおかげかも!新月の夜だったら、暗すぎてこのカメラじゃ間に合わなかったかもしれない。30秒以上の長時間露光になると、別の装備が必要になるからだ。思わぬ幸運をさずかって、見に来て良かったとしみじみ思った。月夜のツキヨタケ。よくよく思えばなんとも風雅な響きだ。和歌のひとつも詠めそうな。

おっと。こんないい夜だが、ここはケモノの国。長居しちゃいけない。

撮影はそこそこにして、光るキノコを堪能した後、二人はその場を去ったのだった。