月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

たまごてんぐたけもどき

2012-07-17 21:17:12 | キノコ
梅雨明け宣言が出た。日射しはもう完全に真夏のもの。キノコたちもこれで一度は引っ込まざるをえないかも。

でもまだ梅雨終盤のキノコが出てきてないから、もうひと山あるハズ。

シロオニタケ、オオオニテングタケ、キクバナイグチ、ヌメリコウジタケ、アイゾメクロイグチ、シロハツモドキなどなど。

C級キノコ試食

2012-07-16 21:35:13 | キノコ料理
アセタケの仲間だということはすぐわかる。なんというアセタケなのかはわからない。それがアセタケ。

(!)マーク付きC級キノコ群を味見してみた。

ウラグロニガイグチ……かつては食とされていたが、中毒症例が見つかり、毒キノコに転落。もとより確実にお腹がゆるくなるキノコなので、食べるにしても少しだけ。身がしまり、歯触りがいい。虫が入りやすい。(味ランク A-)

キアシヤマドリ(仮)……今回のなかで一番マトモ。安全性も問題あるまい。ヤマドリタケモドキに劣るが、コガネヤマドリよりはおいしいと思う。(味ランク A-)

コビチャニガイグチ……だと思って食べたら少し苦味があった。もしかしたら種類違うのか?キニガイグチと同様、わずかに甘みを感じる。ただし、旨みに欠き、別段おいしいということはない。苦味があると虫が入りづらいようだ。もちろん、私が食べて大丈夫だったからといって、安全を保証するものではない。(味ランク B-)

ヌメリコウジタケ……すっぱいキノコ。すっぱい物好きの私にとって大好物。なぜか白い目で見られる。キュウリやわかめと酢の物にしたいところだが、キュウリがないのでポン酢で食べる。つるりとして美味い。なお、この晩に下痢を起こしたのは、スーパーの売れ残り天丼があまりにも不味くて、冷たい豆乳で流し込んだあと、さらに抹茶アイスクリームを食べるという、まことに許しがたい暴飲暴食の帰結であって、このキノコの責任でないことをここに宣言する。(味ランク B)

セイタカイグチ……普段ならもったいなくて絶対採取できないキノコを持って帰れてしまうのが採集会のいいところ。幼菌を二つ持って帰って味見。ゆでるとヌルヌルになって箸でつかめない。歯触りもよく、おいしい部類だと思う。ただ、虫が入りやすいようだ。大きめの幼菌をまるまる茹でたのをかじったら、中身が黒かった。見なかったことにして全部食べたことは言うまでもない。ちなみにこれもウラグロ同様、毒キノコ転落組。(味ランク B)

オオヤシャイグチ……これこそ貴重!食ったことのあるヤツはほとんどいないハズ!とテンション激上がりで試食。ゆでるとセイタカイグチと同様、ぬらぬらのとろんとろんになってしまって、箸でつかめない。苦味があるとのことで、一時間ほど水にさらして食べたが、やはり苦かった。ていうかこんなモン食べるな。ハイリスクローリターンの見本市。(味ランク C)

あやしいキノコばかりこんなに一度に食べて、もし中毒したらどれに当たったかわからない。よい子はマネしないように(悪い子もマネしないように)。

ちなみにイグチばかりなのは、私がイグチ好きだからである。

くろはつ

2012-07-15 19:35:17 | キノコ
クロハツ。もっとも代表的なベニタケの仲間でド普通種。

ベニタケってどれもそうだけど、写真にかっこよく撮れそうなのってわずかなんだよな、特にクロハツなんて枯れ葉の中から生えた日には、保護色で何撮ってるんだかわかんなくなっちゃうくらいだから。

一応食えるが、猛毒のニセクロハツとそっくりなどという超嫌がらせキノコ。味は意外といい方だと思うんだけど、リスク高すぎなので、もう食べるの禁止ってことでいいと思う。そもそも冷や汗をかきながら食べなきゃいけない時点で間違ってるよ……ロシアンルーレットやるんだったら最適かもね(汗)

きのこ観察会

2012-07-14 21:17:13 | イベント
今日は菰野にある三重県民の森で一般参加のキノコ観察会があった。

不快指数100%の蒸し暑さながら、心配していた雨は回避。たくさんの子供たちを含め、定員オーバー気味なほどの参加者が集まり、にぎやかな観察会になった。



講師は「みえ・菌輪の会」代表の三輪さん。手製のイラストで事前講習。



さて、キノコ採集。なんだかすごい人数。梅雨真っ盛りとはいえ、キノコ密度はそんなに高くない。それでもたくさんの眼でさがすので、イグチ・ベニタケ・テングタケに、各種小型キノコをくわえて、子供たちの抱える紙袋はすこしずつ膨らんでいく。



結果はご覧の通り。ややテングタケが少なかったものの、イグチやベニタケは多く、コビチャニガイグチやキアシヤマドリ(仮)、オオオニテングタケ、コテングタケモドキなど、多くはないものの大物も採れた。

個人的にはオオヤシャイグチの完品やセイタカイグチのきれいなのが見つかったのが良かったなー。

三輪先生はタンポタケモドキとツチダンゴの発掘に余念がなかった。

においこべにたけ

2012-07-13 18:57:39 | キノコ
「苔にニオイコベニタケ」と言えば、もう「梅にウグイス」なみの定番画題。一年に一度は撮影しないと気が済まない。この時期、カシやコナラなんかの植えてある庭園ぽい場所に行けば、かなりの確率でみつかる。

うっしゃ、とりあえずノルマはクリアした。それにしてもこのレンズ(トキナー35ミリマクロ)で撮るとやけに黒い写真になるんだけど、なんとかならんものか。

ひろひだたけ

2012-07-12 19:43:16 | キノコ
昨日のキノコ、正解はヒロヒダタケでした。

ひだは間隔が広くて、ひだそのものの幅も広く、すこし不揃いでルーズな感じ。ただ、色がとても柔らかな風合いの白で、傘の厚みが薄いせいか、日も透かすので、下からのぞきこむと優美な印象を受ける。

「ヒダ美人」とされるキノコ、ヌメリツバタケやツエタケに共通する特徴。

よくわからんイグチ

2012-07-09 20:20:17 | キノコ
イグチの発生はまだ少ない。

コウジタケ、クロアザアワタケ、ヤマドリタケモドキ、キアシヤマドリ(仮)、ニセアシベニイグチ、よくわからんイグチ、キイロイグチ、キニガイグチ、アカヤマドリ、オニイグチ。あと雨でボッコボコになって正体不明になってるイグチがそこそこ。どれも一本ずつとか、悲しいレベルの発生数だ。

写真のが「よくわからんイグチ」。断言しよう、全然わからない。(属とかも。)

へびきのこもどき

2012-07-08 19:30:10 | キノコ
量的にはいまひとつながら、テングタケ類も増えてきた。

ヒメコナカブリツルタケ、テングツルタケ、ツルタケ、カバイロツルタケ、テングタケ、イボテングタケ、タマゴテングタケモドキ、シロウロコツルタケ(=フクロツルタケ)、ガンタケ、ヘビキノコモドキなど。

ヘビキノコモドキは梅雨の中盤を代表するキノコのひとつ。つぼがなく、つばも貧相なので、ことさら地味なテングタケだ。今年はきれいなコテングタケモドキを狙ってるけど、まだかな……。

やぶれべにたけ

2012-07-07 23:52:48 | キノコ
この日は午前中雨か曇り、今日はダメかなー、と思っていると午後から青空が見えて、なかなかの撮影日和になった。梅雨の休日がこんなラッキーな日ばかりだといいな。

キノコは、この時期としては量的に物足りない面があるし、高温や雨のせいで状態が思わしくない。それでも、今シーズンの新顔を含め、相当な種類数が見られた。特にベニタケ類が多い。クロハツ、アカカバイロタケ、キチャハツ、オキナクサハツ、ニセクサハツ、カワリハツ、ドクベニダマシ、ニオイコベニタケ、ヤブレベニタケ、ウコンハツ、ケショウハツ、チチタケ、ヒロハチチタケ、ニオイワチチタケ、他、わからんの多数。

写真はヤブレベニタケ。ドクベニとまぎらわしいが、ひと回り大きく、傘の赤がちょっとけばけばしい。よく見ると、柄の一部やヒダの縁の方まで赤色がはみ出している。

『千と千尋の神隠し』

2012-07-06 23:59:59 | キノコ本
『千と千尋の神隠し』 宮崎 駿

おなじみスタジオジブリのアニメーション映画。『風の谷のナウシカ』の紹介の記事で、「人間と人ならざる者、自然と文明、大人と子供、生と死、そういった対立するものを結び付けるというのが、宮崎駿の一貫した方向性のような気がする」と書いたけれども、『千と千尋』もそういったメッセージが色濃くあれわれた作品だ。

ただ、『ナウシカ』や『もののけ姫』が自然と文明というはっきりとした対立軸の中で紡ぎだされる物語なのに対して、この作品は少々色合いが異なる。話の中で、千尋は家族とともに、やおよろずの神々の住まう世界に迷いこんでしまうのだけれど、ここでは神と人間は、対立するものではない。千尋たち人間は、よそ者か、せいぜい邪魔者という扱いである。

わかりやすい対立軸がないのにこの話がおもしろいのは、ここで登場する三人の主要キャラクターが、それぞれ宙ぶらりんの立場で、それぞれに欠落を抱える、中途半端な存在(トリックスター)として描かれているからである。
中途半端というのは普通、悪い意味と取られることが多いが、必ずしもそうではない。ここでは、宙ぶらりんな身の上であるがために、人間か神かとか、客側か使用人側かとか、湯婆婆側か銭婆婆側かとか、そういうワクを越えて混乱を招いたり、和をもたらしたりする力を発揮している。
そういう力を持つ三人が、それぞれ欠落を埋めるために奮闘、あるいは迷走することで、物語はきちんとした説得力を持ってスリリングに展開していく。

さてその三人というのが、以下。

千尋……どこにでもいる普通の子供だが、話のはじめでは、やや消極的で無気力な子供として描かれている。異界に迷い込んでから、両親が豚になってしまい、途方に暮れるが、湯屋で無心に働き、ハクをはじめとした周囲の者たちと絆を深めることで、積極的に行動するようになっていく。千尋は異界で両親を失っているが、彼女にほんとうに欠落しているのは、生きる力、ないし、生命そのもの。

ハク……なにかと千尋をたすける少年。魔法の力を授かるため、湯婆婆(ゆばーば)に仕えている。もとは川の神なのだが、婆に名前を奪われ、自分がもともと何であったかを完全に忘れてしまっている。彼は力もあり自立したしっかり者であるが、神でもなく人間でもない、浮いた存在として、孤独にさいなまれているようにも見える。力を欲しがって自分を見失ってしまっている姿は仕事に追われる現代人と重ね合わせていいのかもしれない。欠落しているものは、記憶と、それに基づくアイデンティティ。

カオナシ……たぶん神だと思うのだが、正体不明。宙ぶらりん、からっぽの権化。表情がなく、自分の声をもたない。千尋に恋でもしたのか、たびたびつきまとうが、思うように相手にされず、自我だけが肥大化して最終的に暴走することになる。コミュニケーション不全で人との関係性が築けない点で、「キレやすい若者」「引きこもり」を思い起こすが、それは社会全体の風潮そのものでもある。欠落しているものは、他人との関係性と、それに基づくアイデンティティ。

彼らは最終的にそれぞれの欠落を取り戻し、自分の場所へ帰っていく。特に千尋はさまざまな境界を越えて働き、異界全体に和をもたらした上、両親も取り戻して元の世界に戻るという活躍ぶり。胸がすく思いだ。

敵味方というわかりやすい構図をつかわずに、一件落着の大団円まで持っていった構成と、そのまとまりの良さは、ジブリでも屈指の名作だと思う。個人的には一番をつけたい。一貫したテーマとして「体を使って働け、心の入った言葉を送れ、人と触れあうことで絆をつくれ」と、まあそんなメッセージを感じた。共感するところだ。


ちなみに、この異界の道具立てがまた中途半端というか境界線上というか(個人的にキノコ的と呼ぶ)そういったカオス風味の造形がしてあって、この作品の大きな魅力となっている。


川、ないし海……本作品を通じて表わされる水のイメージを代表する。三途の川のように生死を隔てるものだが、同時に胎内の羊水にも通じる。宮崎作品はいずれも水の表現が巧み。

湯屋……同じく水のイメージ。老若男女、貴賎も善悪も問わない、全員すっぽんぽんは、正しく世界最強のボーダレス空間と言えよう。エロスのイメージも含み、これまたキノコ的。

釜……古来から釜は神聖視されていたそうで、呪術的空間として存在していた。火と水が共存する。灰にもまた呪術的な意味合いがある。余談だが、オール電化で家庭から火を奪うことは、現代人を生命の根源から遠ざけることにつながると思う。

街……和洋中・新旧ごちゃ混ぜになった、カオスなエキゾチック空間。懐かしくて、しかも新しいにおいがする。

龍……動物でもなく妖怪でもない、空をゆき水をゆく、洋の東西を問わず神聖視される架空の獣。余談だが、白い龍は『ネバーエンディングストーリー』の「ファルコン」を思い起こさせる。これもまたキノコ的良作だと思う。

沼……陸と水の境目。

電車……キノコ作家・宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を想起させる。一方通行、下車が死に通じるという列車だが、寂しさ・怖さとともに郷愁を感じる。

両親が豚……いや、これはあんまり関係ないけど。現生に染まり過ぎて神々と交感できなくなった大人は家畜レベルということか。神と食べ物を共にすることで生き物として純粋になれた、さらに神々に食べられることで神に近づける、といううがった見方もできる。


まさしくキノコ的意匠が盛りだくさん。おなか一杯。

どうしんたけ

2012-07-05 21:00:58 | キノコ
ん?なんか見慣れないテングタケ発見。一見ツルタケぽいがつばはある。かといってタマテンモドキかというと、それも違って妙に色が濃い。そもそも柄が黒っぽいぞ?

どうやらドウシンタケのようですな。珍しいという程じゃないけど、たまーに見かける程度のキノコなので、見つけるたびに悩む。



この写真の方が特徴よくわかるな。傘の上に大きな鱗片が残っていることがある。つばは柄の真ん中についてるんじゃなく、てっぺんについてて、それが真ん中まで垂れ下がってる感じ。根もとにつぼがあるらしいんだけど、見えない。2本しかなかったので掘って調べるのは断念した。

図鑑によれば食えるらしいんだけど、種類判定がこんなに微妙なキノコ誰が食うんじゃい。


どくべにだまし

2012-07-04 20:56:01 | キノコ
今日ニイニイゼミの声を聞いた。昨日も車の中でちらっと聞いたような気がしたけど、今日は間違いない。ずいぶん暑い日だった。この時期は雨よりも気温に反応するような気もするので、これが次の引き金になるかもしれない。

ドクベニダマシは梅雨のはしりに多いキノコ。ドクベニタケはどちらかといえば秋のイメージがある。

きつねたけ

2012-07-03 21:36:43 | キノコ
日曜はどしゃ降り雨で、キノコ撮影できず。少し探してみたけれど、キノコの数はそこそこでも、幼菌の姿は見なかったので、少し間があきそう。日曜生えてたキノコはあらかた腐ってしまったろうから、梅雨のキノコ第一陣が終了して、第二陣を待つことになるかも。

ここのところの感想としては、「時期が遅れている」というのがある。この春から、キノコだけじゃなくて植物の開花や鳥の初鳴き観測なんかも例年より1~2週間おくれているそうだから、無理もない。ただ、気になるのは、平年の梅雨終わりごろに生えるキノコたち。いったいいつ生えればいいんだろう。去年は8月頭にも爆生が見られたからなー、今年もそのパターンかも。ターゲットの時期を梅雨明け後まで見据えて狙っていきたい。

当面の狙いはオチバタケやイヌセンボン、クヌギタケあたりかな。今年まだほとんど姿を見ないから、そろそろ出ると思う。