兵庫但馬には、外せない立派な食材が二つあります。 カニと肉。
北の港 柴山漁港で水揚げされる松葉ガニは、品質が良く、特に高い値段で取引されています。
私は決して食通ではありませんが、もう一つの雄、但馬の黒毛和牛の柔らかさには、時たま頂いては舌を巻きます。
この二つのルーツを訪ねるべく、アシスタントを連れて但馬に上(のぼ)ったのは、先週の土曜日のことでした。
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「もうすぐ梅雨に入る。しばらく何処へも行けないから今度は君の行きたい場所を言いなさい。僕はアシスタントでいいからね」
そう言われて私は、口蹄疫で但馬の牛がどうなっているのかとても気になっていたので、「牛に会いたい
」と言いました。
<それでは研修旅行ではなく、取材旅行にしよう>と言われ、怪しげなアシスタントを連れて、またまた好天の中、自宅を出たのでした。
兵庫県美方郡香美町香住区 柴山漁港

カニ漁のシーズンを終えた港は、人影もまばらで、捕獲船が何艘も岸壁に横付けされています。イカ釣り舟のような船ではなく、立派な船です。
漁港というのは、比較的こじんまりとした、少しうらぶれた感じのするものですが、ここの港はなぜか、迫ってくるものの漂いを感じました。誰もいないのに・・・
最盛期には高い食材がドンドン揚がり、その様は正にお金を引き上げるような光景なのでしょう。そういう活気が染み付いた港のように思いました。
ある種、海の男の戦場の残り香でしょうか。
アシスタントと私はその夜、隣町の佐津(さつ)温泉の民宿に宿を取り、きっちり二つの食材と対面することになりました。
佐津浜


悪びれることもなく王冠を五ヶ並べたアシスタントとは、宿の方にお願いをして、部屋を遠くに離していただきました。
記者は但馬の一滴(優しさ)を胸に抱き、静かな眠りに落ちたのでした。
おたずねしてもいいですか?
アシスタントの仕事ってなんですか?
zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz
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翌朝、二日酔いの気(け)の字も見せないアシスタントを伴い、気になっていた牛に会うため、兵庫県立但馬牧場公園を訪ねました。
口蹄疫予防のため、牛舎周りは消毒剤がまかれ、中に入ることも出来ません。
牛は何処かに分散されているのでしょうか、静まりかえっています。


私は少しも残念に思いませんでした。
はからずも前夜、宮崎牛の種牛5頭が無事であることが報道されたばかりです。
但馬の牛もこのように保護されて、無事に違いない。
今や世界ブランドである但馬牛が恐怖から守られていくかも知れないことに、ほっとしたものを感じました。
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魚であれ、肉であれ、野菜・果物であれ、我々人間のために食材となる命、自然界の恵みに、「いただきます」と手を合わせる心は、人間として絶対に忘れてならない“食”への感謝であると思います。
今回の取材旅行は研修旅行とひと味違う、食の原点に戻る、心がえりの旅であったと思います。
但馬の「風」 ・ 但馬燦燦 ・ 但馬一滴 と続いたささやかな旅行記は、兵庫県民560万分1として厳しい北の地で暮らされる人たちへの賛歌といたします。


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