チャオ・ダル・マーレ  CIAO dal MARE    (旧キッチン・マーレ)

Eat Well・Drink Well・Live Well
美味しく食べ、楽しく飲み、素敵に生きよう!

久しぶり!

2013-09-16 | グルメ色な日記

五ヶ月ぶりに一時帰国している。記録的な猛暑が和らいでしまったので、私にあの暑さを体験させたかった友人達は、なんて悪運が強いの!と地団太踏んで残念がっている。へへへ、日頃の行いがよっぽどいいからだと思います。

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久しぶりにベランダから眺める神戸港の朝焼け。平和で美しい。

帰ってきてまず気づいたのは、エレベーター、クーラー、全てが静かなこと。音がしないから、動いてないのかと何度も錯覚してしまった。それほどイギリスは機械音がうるさい。それはアメリカも同じで、日本が静かなだけ。
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関空に朝到着し入院中の老父を見舞ったあと、実家近くに最近オープンしたという洋食店に兄嫁が連れて行ってくれた。日本の洋食と旅館の朝食って、海外在住日本人が一番恋しく、食べたくなる食べ物かもしれない。900円のランチ、あ~幸せ!

何故だかロンドンでは中華は一度も食べなかったのだが、幸い帰国早々に第一楼で宴会があり、懐かしい北京料理に舌鼓をうった。それからは蕎麦、焼鳥、その他和食を繰り返し食べている。

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最近の焼鳥店は、鶏だけじゃないんだね。馬、豚、牛、魚もあり、一品料理が充実してそれがまた美味しくて驚いた。↑付き出しは冬瓜とおくら。
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水茄子とトマトのサラダには甘酢とオリーブオイルのドレッシング。後ろは鱧の南蛮漬け。夏の終わりの品々。

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蓮根まんじゅうも旨かったな~。なんだか焼鳥じゃないものを随分食べまくったかも。

昨年から予約が取れずにずっと行けなかった人気焼鳥店にもめでたくトライできた。レアメニュー(珍しいものと言いたかったが、生ものとも言えると今気づいた)がたくさんあるここでは、鶏の白子の焼き物を初めて食べた。フォアグラが苦手な私には、一度食べたからもういいかな、っていう味だった。

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娘がアルバイトしている神戸牛の店にも食べに行った。こちらは一頭買いしているとかで、ローストビーフも別格稀少部位ステーキも美味しかった。今年初めて食べた土瓶蒸しとワインはサービスしてくれたそうな。

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以前からお気に入りの、魚屋がやっている割烹店にも久しぶりに顔を出した。↓

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金目鯛の炙りも兜煮も幸水梨のデザートも最高!目も口も楽しませてもらえた。

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↑こういう涼感と色目は洋食にはないな~。

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ロンドンでは全くと言っていいほど食べたいと思わなかったケーキ、ああどうしよう~。。。神戸に帰ってきてからほぼ毎日食べている。。季節もののいちじくのケーキにモンブラン、日本の、それも神戸のケーキは本当に美味しいわ。

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それから、レトロな喫茶店のサンドイッチ。白パンの柔らかさとキューピー・マヨネーズの味!洋食屋のハンバーグやフライと並んで、発作的に食べたくなるんだよね。

ブログ読者の皆さんには、ロンドンで毎日すごいご馳走ばかり食べているんだと思われているようだが、そんなんことはない。実は贅肉が落ち、スマートに痩せて帰国した(と自分では思っている)。その理由の一つは、炭水化物をほとんど食べなかったから。お米を炊いたのは五ヶ月で10回にも満たず、それも発芽玄米がほとんど。イギリスのパンはあまり美味しくないから外食時にしか食べなかった。そして、ペルーの穀物キノアquinoa や中近東のバルガーbulgar、レンズ豆lentil、なんかを使ってサラダを作ることが多かったな。気づかぬうちに身体にいいもの食べてたのかな。

それが、漬けもの、明太子、納豆なんかが美味しくて、ここ毎日ご飯を炊いては食べている。悲しいことにくびれとは言わないが、少し平らになっていたお腹ももう元に戻ってしまったわ。。

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台風18号が去り、今日は六甲山がくっきりと秋空に浮かび上がっていた。幸い神戸は台風の被害からそれたが、嵐山が浸水してしまうなんてやはり異常気象なんだろうか。。留守中へたっていた観葉植物もようやく精気を取り戻しつつあり、ほっとしている。窓から街を臨むと、神戸は変わらず魅力的だ。


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2013-09-02 | グルメ色な日記

Dsc_5074昨年オーストラリアのパースに引っ越していったUちゃんが、御主人の出張にくっついて遠路はるばる四泊の強行軍でロンドンまで遊びに来てくれた。ホテルに会いに行ったところから酒宴がはじまった。部屋に届いていた冷えたwelcome champagne のボトルを開けて再会を祝い、喋りまくって飲みほしたあと、夜のソーホーに夕食を食べに出た。行先は、今ロンドンで一番美味しいタパスの店だと思うよと、ロンドン在住の知人に以前連れて行ってもらったBarrafina バラフィーナ。

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昨年のバスク旅行以来、タパス、ピンチョスにはちょっとうるさい私も、なるほどここは美味しいと思う。ロンドンは目下、タパス料理の店が雨後の筍のようにオープンしている。イタリア、ギリシャ系移民の多いパースでもスペインのタパス料理店は流行っているらしい。そこから来たUちゃんも満足してくれるかな?と内心心配していたけれど、大層気に入ってもらえてほっとした。

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上り下りする度に背の低い私達は脚が吊りそうになる高いストゥールの据えられたカウンター席しかない店は予約は取らず、早いもの勝ちだ。開店の5時を20分も過ぎると22席全席埋まってしまう。カウンターの後ろにはスタンディング・バーが壁沿いにあり、席が空くまで立ってドリンクとつまみを楽しめる。従業員の数が多くてサービスが行き届き、どんなに混んでいても待つこともなくドリンクにも食べ物にもありつけるのがとても嬉しい。

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この店のタパスはバルセロナ・スタイル。肉よりも魚に力を入れている。カウンターの向こうにある氷の上に、今日の魚が色々と並んでいる。今日のおススメは鯖のグリルにビーツの付け合わせ。「こんなに細いけど、ほんとに鯖なの?」って聞くと、「正真正銘の鯖だよ」、って答え。スコットランド・サーモンのセビチェも香菜とセロリが効いていて、初めて食べる味。

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トルティーヤ、といえばジャガイモの入ったスペイン風オムレツだが、そんじょそこらにはないトルティーヤがこの店の一番人気だ。キッシュのように大きく焼いて切り分けるのではなく、最近は直径10cmほどの小さなフライパンで焼いてこのように丸ごと出す店が多い。でも、この店のとろとろ加減は他の店ではまだマネできていない。半熟玉子の大好きな日本人には愛すべきトルティーヤだ。なぜだか醤油味っぽくて、Uちゃんはご飯の上に乗っけて食べたい!ともの凄く気に入ってくれた。

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Img_2239二番人気は、ズッキーニの花の蕾に山羊のチーズを詰めて揚げたcourgette fry 。ズッキーニは、イギリス英語でコジェットcourgette と呼ぶ。フランス語の影響だ。ついでにいうと、なすびはアメリカではエッグプラントeggplant  だが、イギリスではオーバジンaubergine という。ズッキーニのフライには蜂蜜がかかっていて、とろけるようで、文句なく美味しい。

仕上げに、鶏のもも肉のグリルにアーモンドとパプリカをペーストしたロメスコ・ソース添えを食べ、もうギブアップ。悔しいことに、この店でデザートまで行きつけたことがない。。

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美味しい食事にカヴァと白ワインがたんまり入り、いつもより調子良くなったUちゃん。カウンターのお兄さんを相手におしゃべりに花を咲かせてる。「どこから来たの?」という問いに、「日本人だけど、今はオーストラリアに住んでるの。20時間もかかってさっき着いたばかりだから、もう顔も疲れちゃって。明日だったら私もっときれいなのに、残念だわ」なんて言ってる。お兄さんは参ったな~って顔して笑ってた。

Img_2564バラフィーナに連れて行ってくれたPちゃんがもう一軒こちらもおススメよ、と連れて行ってくれたのがDonostia ドノスティア(バスク語でサンセバスチャン)。この店に行く前に、実は他の店でコースを食べ終わっていた私達。一杯飲みに寄っただけなのに、メニューを見たら味見したくなるのはどうしようもない。。ロンドンで今流行りの和牛一口バーガーと、タコのマリネをあてにした。和牛という言葉はwagyu beef と今や英語になっており、日本風に飼育して脂身をたくさんもった牛のことをいう。もちろん普通のビーフよりも値段は高い。でもね、どんなに高級でも、肉はやっぱり日本産が一番美味しいな。

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この店は肉に力を入れていて、一番高い一皿は三年熟成のイベリコ・ハム20ポンド(約3200円)↑で、タパスとしてはとっても高い。ハムを切っているオーナーの彼はスペイン人ではなく、バスクに魅せられたセビリア人。同郷のガールフレンドと二人して金融の仕事を辞めて、店を開いたんだって。ロンドン在住日本人向けの情報誌に取り上げられたから日本人客が沢山来るんだよ、って嬉しそうに話してくれた。
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とっても安くて美味しいtempranillo 、赤ワインを飲ませてもらって満足だったのに、裏メニューのジントニックが最高に美味しいから最後はこれで〆よう、ってPちゃんが誘惑する。スペイン料理の店なのになんで?って興味津々になる。イギリスはジンの本場。小規模な蒸留所がロンドン市内にもいくつかある。出てきたジントニックには、ジンの原料 juniper berry ジュニパーベリー(ねずの実)がきゅうりとともに浮かんでいた。なるほど、なんて爽やかなジントニック!おかわりしてしまう前に退散することにした。「今度は絶対に晩御飯食べてよね」、とオーナー。「は~い!」

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Uちゃんと御主人のリクエストで、最後の夜はPromsにクラシックを聴きに行った。私は音楽よかロイヤル・アルバート・ホールの空間を見たくて仕方なかったんで、もちろんお供した。そして、美しすぎる円形のホールには本当に圧倒された。庶民のためのコンサートだけあり、料金も5~36ポンド(約800円~6千円)という安さ。ステージ前は立ち見の人達。この夜はワルシャワ・シンフォニー・オーケストラがポーランドの現代作曲家の曲を取り上げていた。珍しく暑い日、冷房のないホールに6千人も集まるとさすがに暑くて汗がじわっと出てくる。可哀想にピアノ・コンチェルトに登場したピアニストは、ハンカチで汗を拭き拭き演奏していた。

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海外から友人が遊びに来てくれる度に、ありがたいことに私の知識も増え、新しい体験ができたりする。五つ星のホテルのコンシエージも、ハロッズがヴィンテージ観光バスを出しているなんて知らなかった。Uちゃんの仕入れてきた豆知識、コンシエージに情報提供料もらえばよかったね。

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先回の補足。ロンドン・タクシーが屋根にも広告をペイントしているのは、バスの二階に座っている乗客から見てもらえるから。ロンドンの市バスは9 割が二階建てバス、double decker ダブル・デッカー。

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オーストラリア英語が全く聞き取れなくてね、と嘆くUちゃんは、本場のイギリス英語が分かりやすい!と大感激していた。オーストラリアのテレビで男性が「アイ・アム・ア・ガイ(私は男です)」というから、当たり前やん、と思って見てたら、I am a guy. ではなくて、 I am a gay.(私はゲイです)とカミング・アウトしていたそうだ。

すっかりロンドンが気に入ったUちゃん、またすぐ来てくれるって。待ってるからね~!