チャオ・ダル・マーレ  CIAO dal MARE    (旧キッチン・マーレ)

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京都 - 美食と陶器の一日

2015-08-16 | グルメ色な日記

インドから一時帰国している神戸生まれのインド人の知り合いが、インドより暑い!とウンザリしていた今年の夏も、ようやく暑さの峠は過ぎたようす。先週の日曜日、気温37℃の京都に行った。この日以来気温は下がりはじめたから、たぶんこの夏最後の猛暑日だったと思う。地面からもあ〜と立ち上る熱気は凄かった。日曜だというのにそれほど混雑していなかったのは、海やショッピングモールをみんなは選んだからかな?お祭りでもないのに浴衣姿の人がやたらと目についた。タクシーの運転手さんが「浴衣の人多いでしょ。あれ全部中国人や韓国人の観光客ですよ」そうか。レンタル浴衣を着た外国人が京都を占拠していたのか。

八坂神社鳥居内にある料理屋中村楼の敷地内に、ランベリーL'Embellierというフレンチレストランが昨年できたそうで、バースデーランチを義姉が予約してくれた。↑写真の南門を出てすぐ左に、室町期創業、480年の歴史をもつ老舗中村楼がある。写真奥は鳥居だから、まさに住所通り「鳥居内」。

↓門をくぐって正面の建物が料亭。その左にある建物に入り迷路のような廊下を通っていくと、一番奥にランベリーがある。東京に本店があるそうだが、京都店もオープン半年でミシュラン1つ星を獲得した実力派のようで、ワクワク。

まずはアミューズとして有明海の海苔とコンテチーズのガレット↑と、稚鮎のフリット↓が登場。稚鮎は演出で使われた草花の中で溺れてるみたいでちょっとさびしい存在だったが、味は抜群。添えられた蓼酢とアボカドのディップがこれまたとても美味しかったのでパンにつけて食べたいから、と引かないで置いといてもらった。

↓海の幸と夏野菜の入った冷た〜いスイカのガスパチョは絶品で感激した。トマトのガズパチョよりはずっと甘いのだが、嫌味のない甘さ。そして海老や鱧が冷製ではなく、ちゃんと炙って熱い状態で載せてあったからとても柔らかく、その旨味を十分に味わえた。

↓淡路島産スズキのロティは雲丹のソースと。そして大麦と塩レモンのリゾットが下に。

’若様’と呼ばれる田舎鶏の炭火焼き。薄くスライスしたマッシュルームに、赤紫蘇のチュイールが上にのっているからチキンは見えないけれど、水茄子と青豆類のマリネが添えられて。ソースはクミンとコリアンダーの香るモロッコ風?

ここまでの料理を、ソムリエお任せの3種類のワイン、アルザスのピノ・グリ、ブルゴーニュのシャルドネ、ローヌのシラーと共にいただいた。シラーはも一つだったが、ピノ・グリとシャルドネは美味しくて大満足。

↓デザートは、3種の調理法のアメリカンチェリーをクレームブリュレとフランポワーズのソルベに合わせたもの。

↓そしてコーヒーと出てきた小菓子は、石庭を模してるのかな〜。左からフィナンシェ、和三盆のクグロフ、抹茶のわらび餅。

最後に口直しとして、↓紅芋の酢を蜂蜜と水で割った綺麗なピンク色のビネガードリンクと、小さなクッキーの入ったお土産まで登場。

サービスも味も文句なく、久しぶりに目にも舌にも美味しいフレンチ、和と洋をうまくからめた料理を食べたな〜という満足感でいっぱい。

食後は涼しくなる夕方まで美術館で過ごすことに。京都国立近代美術館の4階の窓からの眺めは、私のお気に入りの一つ。平安神宮の鳥居の向こうは、京都市美術館。

近代美術館では『北大路魯山人の美、和食の天才』というこの日の私達にぴったりの展覧会を開催していた。「器は料理の着物」と唱えた魯山人が自分の美食倶楽部のために作った陶器の数々を見、銀座久兵衛の寿司が握られて魯山人のまな板皿に載せられていく寿司カウンターの映像を天井から観る。

閉館時間まで粘った美術館を追い出されてからは、この日の目的の一つ、五条坂の陶器まつりへ。3年前に一度訪れたのだが、その時は日中の暑さでゲンナリだったので、今回はちゃんと日が沈んでから行くことにした。

清水寺下の五条通の両側、全長2キロぐらいの歩道に清水焼だけじゃなく全国の窯から作家さんが集まり、毎年この時期4日間にわたり市がたつ。若手の作家さんも多く、新人作陶家を見つけるいいチャンスでもあるね。

気がついたら午後9時をすっかりまわっていたので、大急ぎで河原町エリアに戻り、食べ物を求めて人通りの少ない木屋町の南側、高瀬川沿いの店に入った。これが当たりで、地元の人しか来ないような料理屋さんだった。ランチで1尾しか口にできなかった稚鮎のフライも山椒塩で思う存分!これで600円↓。

↓アボカドのぬか漬けなんて初めて。酒のあてにぴったりの一品。陶器まつりで目がこえたわけでもないが、素敵な器をたくさん使っていたこのお店。京都に行く楽しみが一つ増えた。

お腹も目もこえていい気分で京都をあとにしたのに、帰りの阪急電車は人身事故のために不通箇所があり、家に辿り着いたら午前1時。iphone の万歩計もビックリしただろうな〜、すごい距離を歩いていて、足にマメはできるは、疲労感は半端じゃなくてベッドに倒れこんでしまった。でも、とっても楽しい1日でした。


酷暑の中、冷たい料理あれこれ

2015-08-12 | 料理教室顛末記

昨年も一昨年の夏も日本にいなかったので、今年の酷暑は実に身体にこたえます。夏最後のレッスンは、ほとんど火を使わないメニューを用意しました。

  • ガスパチョ
  • ギリシャ風キヌアサラダ
  • パスタ・ジェノベーゼ
  • レモンペッパー・チキン・サンド
  • スモークサーモン・サンド
  • カレーツナ・サンド
  • ミックスベリー・フール

先日神戸のフレンチレストラン「アノニム」で、メインのポークのソースとして、冷製スープのガスパチョが肉の下に敷かれて出てきました。そのガズパチョが今回私が作ろうとしていたガスパチョに色も味もとても似ていたのでシェフに尋ねたら、トマトとオリーブオイルしか使っていない、とのことでした。それを聞いて、今回紹介するガスパチョに自信を持った次第。

というのも私のレシピもとてもシンプル、完熟トマト、きゅうり、紫玉ねぎしか使っていないから。トマトジュースを加えて真っ赤になったガスパチョが私は苦手なので、新鮮な完熟トマトの甘みをいかしてシェリービネガーとオリーブオイル、ニンニクだけでバッチリ美味しくしてみました。サーモン色の自然な色が綺麗な、野菜の美味しさが際立つガスパチョです。トマトの湯剥きをしたら、材料を全部ピューレして出来上がり。

今回は地場野菜のスーパーめぐみの郷で売っていた神戸産の野菜をたっぷりと使いました。このプチトマトは目下私のお気に入りの第1位。黒トマトまで混じっていて、これで160円という安さ!普通のきゅうりの二倍の大きさはある四葉(すーよー)胡瓜は普通のものよりも組織が荒く水分が多いので、シャキシャキ。漬物でなくサラダやガズパチョにはもってこい。そしてノブちゃんの畑からは大量のバジルを分けてもらいました。

最近キヌアやチアシードといった南米の雑穀が健康食として日本でも注目されはじめています。日本はなんでも欧米の5年ぐらい後を行ってるかな。今話題のココナッツオイルも欧米じゃ何年か前にブームになっていたしね。チアシード同様南米の高地で数千年前から食べられてきたキヌアは栄養価が高く、食物繊維は玄米の9倍もあるスーパーフードです。見かけからは想像できないけれど、ほうれん草科に入るそうです。パスタやお米のように15分ほど水でゆがけばよく、欧米では味付けをして肉や魚の付け合せやサラダとしてよく用いられます。

レッスンではギリシャ風のサラダに変身。ギリシャの黒いオリーブや白いフェタチーズが色とりどりの野菜と調和してなんともカラフルで食欲をそそります。めん羊やヤギの乳でできたフェタチーズは食塩水中で熟成するので、容器にも塩水が入ったままで売られています。ねっとりとした食感で、塩味が強いフェタはギリシャサラダには欠かせないチーズで、2センチぐらいのサイコロ状に切ったものをたくさん入れます。大きいと日本人にはちょっと食べにくいので、今回はパラパラとキヌアサラダの上にかけてみました。生徒さんの誰もが食べたことのなかったフェタチーズ。それをコストコでは売っているなんて、ちょっとビックリ。一体どれだけギリシャ人がいるのかなぁ?

ノブちゃんちのバジルを使って、クルミのジェノベーゼ・ソース作り。手製のジェノベーゼは美味しいよ〜。ま、こんなにたくさんバジルを買うとすごい値段になるからなかなか家で作るのは大変だけど、機会があれば是非トライしてみてください。瓶詰めのものとは味が雲泥の差だからね。なぜか、ソース製作中の写真を撮っていなかった〜。今回はスパゲッティーニにからめてみました。

先月播磨町のhoccoritoの蚤の市で一日カフェをしました。その時に三種類のバゲットサンドイッチを提供したのだけれど、なかなか評判が良かったので、そのうちの二種類を今回メニューに入れることに。昔シアトルで友人のサンドイッチ・ショップを手伝っていたことがあってね、なんてみんなに話したら、ひぇ〜またなんでもしてたんですね〜とビックリされた。その時に作っていた定番の二種類。

アメリカのマヨネーズは甘ったるいものが主流なんだけど、Best Foodsは甘くなく、キューピーにはかなわないけれど美味しい。これが今では日本のAプライスやカルディ、コストコで買えるんだから、ちょっと凄いことかも。レモン汁、果皮、黒胡椒をたっぷりと混ぜ込んで作ったレモンペッパーマヨネーズ。すごいタイミングの良さで順子さんが自宅の庭でできたレモンを持ってきてくださったから、これは嬉しかった。皮はとっても柔らかくて薄く、果汁たっぷり。完全な無農薬、無添加ものだものね。

鶏肉の胸肉に生クリームを塗り、黒胡椒をかけてオーブンで焼くと、しっとりとした柔らかいチキンができます。バゲットにレモンペッパーマヨを塗り、スライスした胸肉とバジルの葉を挟んで。チキンが苦手な方がいらしたので、同じマヨネーズを使ってスモークサーモン、紫玉ねぎ、ケッパーをのせたサンドも作ってみました。

ツナ缶を使ったカレー味のツナがまた癖になる美味しさで、これをディップとしてワイン教室で出したらえらくみんなに気に入られたのでレシピを紹介することにしました。ビンチョウマグロ albacore tuna がアラスカ沖ではたくさん捕れるので、シアトルが拠点のコストコではその水煮缶を売っています。アメリカのツナ缶はマグロだけれど、日本のはカツオなんだよね。それに油漬けがほとんどだから日本のツナ缶を使う時は少し調味料の割合を変えてみてくださいね。S&Bではなく絶対にインド産のカレー粉を使うこと。パンチが違うからね。玉ねぎとクルミも入れて大人の味に仕上げ、バジルの千切り(ジュリアン)ものせてみました。

最近私のマンションに、ホテル・ラ・スイート直営の北野のベーカリー、ル・パンが配達してくれるようになり、hoccoritoの時もキッチン・マーレのレッスン用にも大いに助かっています。その上このル・パンのバゲットがなかなか美味しいので言うことなし!

日本と違って欧米ではブラックベリー、ブルーベリー、ラズベリーなど色々なベリーが野生でも成っているし、栽培もされている。だからベリーはとっても安いし山ほど食べるのだけど、日本じゃ高くてなかなかフレッシュなものは口にできないですね。このmixed berry fool は直訳するとベリー気違い、っていうわけで、ベリーを山のように食べたい人向け?のイギリスの家庭で愛されているデザート。今回は冷凍のミックスベリーを使いました。

ベリーを黒スグリのリキュール「クレム・ド・カシス」に一晩漬けたものをピューレし、生クリームに混ぜ込み、それをベリーにかけて食べるだけ。なんとも簡単、でも美味しい!

生クリームに混ぜ込む時は、白い筋が残るようにさっと混ぜるとこんなに綺麗に。

イギリスではショートブレッドクッキーを添えるけれど、今回はもっと軽いイタリアのレディフィンガーを添えてみました。

 

ベリーをピューレする時は実だけを取り出し、リキュールの漬け汁は炭酸で割って夏らしいドリンクの一丁上がり。 クッキング中にみんなで乾杯〜!

では皆さん、次回涼しい秋にお会いするまで夏バテなどしないようにね。