1月22日は旧正月の元旦。新年快楽!(台湾語であけましておめでとう!)
皆様に福来たる2023年でありますように。
1月の2週目に台北に行く機会があった。コロナ禍のせいで、3年半ぶりの海外旅行、そして台湾に行くのは約8年ぶりだった。
鎌倉からは電車で1時間の距離に羽田空港があり、羽田からは、台北市内にある松山空港に飛べる。残念ながら関西からは、台北市内まで小1時間もかかる桃園空港にしか飛んでいないので、私は松山空港に降り立つのは初めてだった。そして松山空港から市内中心街にあるホテルまではタクシーでほんの15 分という近さ。台北はタクシー料金がとても安いので、日本円でたった800円という素晴らしさだ。
飛行機は鎌倉の我が家の上空を飛び、しばらくすると眼下に箱根の山、後ろには富士山もくっきりと拝めた。そして下方には熱海から伊豆に向かう海岸線が。
旧正月までまだ2週間ほどあるというのに、街中は赤い提灯や飾りで赤一色だった。
到着してすぐに、従姉妹に台湾随一の問屋街「迪化街(ディーホアジェ)」に連れて行かれた。ここは前回、娘がチャイナドレスを作りに、そして最終日には飛行機で食べる油飯を買い込んだエリア。漢方薬やからすみなどの乾物、布類などの問屋が集まる賑やかな通りだが、普段は車も通る大通りが、屋台が立ち並ぶ歩行者天国に様変わりしていた。
コロナ禍のため2年ぶりという「台北年賀大街」は毎年、大晦日前日までの2週間開催だそう。正月用の食材、特別なお菓子など食料品を売ってるのは、建物一階にある元来の店ではなく、地方から出稼ぎでやってきている商人たち。
中華圏では元旦ではなく大晦日に家族が集い新年を祝うので、買い物はその前日には終える、というわけだ。そして台湾では大晦日の前日から10日間、国中が春節の休み(今年は1月30日まで)に入る。
色とりどりの正月用キャンディー。
こちらも色鮮やかな腸詰たち。黒いのは、豚の血を使ったもの。
落花生は台湾ではお菓子にも料理にも広範囲に使われる。手前の黒ピーナッツは、最高級落花生。土壌のせいで中にある豆の皮は真っ黒。そしてとんでもなく甘くて美味しい!黒ピーナッツには、黒金剛(王様)というのと、黒公主(王女様)というのがある。試食してみると、私と連れの友人(実はこの日別行動だった友人と、翌日に再度訪問した)は、王女様の方がずっと美味しいと思ったので、そちらを買った。
鎌倉に帰ってもちびちびと食べて楽しんでいるのだが、調べてみると千葉県でも栽培されているそうだ。しかし、20粒600円という高価な代物でびっくり!ちなみに私たちが買ったものは、600グラムで1350円。これでも他の種類よりはずっと高かった。
大根餅も春節には欠かせない。大根だけのプレーンなもの、肉の干し海老や干し椎茸の入ったもの、タロイモを使ったもの、と3種類あった。
迪化街は日本統治時代の古い建物が並ぶエリアだが、近年はレトロなビルが次々とレノベーションされ、洒落たカフェや雑貨店が増えてきているそうだ。人混みに疲れて、そんなレノべビル内のコーヒー店で一休み。意外と知られていないが、台湾の山間部では品質の良いコーヒー豆が栽培されている。ただ生産量が少ないため輸出はほとんどされていなので、海外での知名度はまだまだ。この日頂いた台湾産コーヒーはストレートで飲むように、と指示されただけあり、とてもあっさり、でも香り高いものだった。
台湾に行くと、朝ご飯が楽しみだ。ホテルの朝食ビュッフェではコーヒーだけ飲んで、早朝からタクシーで朝ご飯を食べに行った。地下鉄も100円前後と安くて綺麗で安全なのだが、乗り換えで構内を歩く距離が結構あったりするので、時は金なり、滞在中はタクシーを駆使した。
豆乳スープ、豆漿(トウジャ)の店では、甘い豆乳スープと、おぼろ豆腐のような塩味のスープ・鹹豆漿(シェントウジャ)があり、鹹豆漿にはネギ、ザーサイ、揚げパン・油條(ヨウチャオ)がトッピングされている。好みで酢や醤油をかけても。
長い油條は豆乳の他、台湾では甘い杏仁ミルクに浸しながら食べる朝ごはんの定番の揚げパン。
店ではその他、釜で焼いたボリューム満点のネギ入りパン葱花餅(ホンフアンピン)、スクランブルエッグの入ったクレープのような薄餅など、目移りするほどメニューがある。
日曜で行きたい店が軒並み店が閉まっていた為、すっごく並ぶ店だよ、と聞かされていた台北で一番人気の朝ごはん屋さん「阜杭豆漿(フウハントウジャ)」に結局行くことになった。ミシュラン・ビググルマンに何度か選ばれた店は市場の2階のフードコートにあり、午前6時の開店と共に長蛇の列だが、セルフだから列は結構早く前進し、途中にあるモダンな設備が入っている工房も眺めることができたり、と退屈はしない。家族全員分?ってぐらい大量のテイクアウトをしていく人もとても多かった。
私と友人の感想は「量が多いので、甘いスープと塩味のスープは代わりばんこに食べるのが飽きなくて美味しい!」だった。
2018年発行の日本のガイドブックに載っていた豚肉蒸し包みと酢辣湯のみの店「圓山老崔蒸包(ユェンシャンラオツイ・ジェンバオ)」も楽しみにしてタクシーで乗り付けたら、コロナ禍の間にかテイクアウトのみの店になっていた。
仕方なく、ホテルに持ち帰って食べた。皮は肉まんの薄いバージョンなんだが、なぜかとても軽くて、ぺろっと一人前10個食べてしまった。さすがに酢辣湯の量は多かったけれど。
台湾は屋台や小さな店でもテイクアウトできる文化が昔からあり、その歴史の長さからか、スープがもれないようにしっかりと口を紐で結ぶだけのビニール袋や紙の器、小さなプラスチックれんげなど、なかなかの優れものがある。
↓こちらは朝ごはん専門店ではないが、私の大好物の魚丸(ユーワン)、魚のつみれ屋さん。「佳興魚丸店(チアシンユーワンティエン)」ではサメのすり身の団子を大鍋でゆがき、店頭で量り売りしている。店内では魚団子だけでなく、椎茸と豚肉の団子など各種団子スープや和え麺などを食べることができる。
台北では、ここのように、小腹が空いた時に入れる店がどこにでもある。佳興魚丸店は午前9時から夕方までの営業だが、早々に売り切れごめんになるようだ。
そして、魚丸の中にはサプライズで肉餡が入っている。
しばし街中の写真。毎朝開催されている「雙連朝市」。
コロナ禍のせいで、以前よりずっと食べ歩きできるものが少なかったけれど、それでも牡蠣のお好み風天ぷらやワンタン麺など朝市で食べ歩きをした後は、ぶらぶらと歩いて次の目的地へ。
速達&国際郵便と普通郵便の投函口は別。分かりやすいポストだ。
亜熱帯の台北。住宅街の路地のこの木々、ようく見ると全部鉢植えだった。
目的の店「豆花荘(トウフアチュアン)」に到着。
豆花(トウフア)は、豆乳ゼリーのような、台湾スイーツの王道。豆乳を石膏粉で固めたもので、ぷるんとした食感は豆腐よりは柔らかい。写真のようにピーナッツや小豆、緑豆、タロイモ、タピオカ、ハトムギなどを甘く煮たものをトッピングに選ぶと、それに黄金色の糖水をかけたものが出てくる。具材は甘味が抑えられていて、夏はこの上にかき氷をのせてくれる。とにかく、つるんとしていていくらでも食べれてしまう。ちなみにこの店の営業時間は午前10時〜午前1時!凄いな〜。。。それほど需要があるってことだね。
今回台北を食べ歩きして感じたのは、味付けがとても薄いということ。スイーツだけど豆花の甘みも控え気味だし、スープ類も塩がこんなに少なくても十分なんだ!と、とても勉強になった。醤油の濃い色目に反して全ての料理が薄味で、本当に身体に良いヘルシーなものをみんな食べているんだな〜と痛感した。
最後に、今回の旅で一番気に入った大衆食堂を紹介する。美術館に行ったあとに急いで親戚が待つ店に駆けつけたのは、ランチタイムが終わる15分前。店の外にあるサンプル料理の横に、メモとペンを手にしたおじさんが立って待ち構えている。次々と彼にオーダーしてテーブルに着くと、彼もそのまま厨房に入って行った。
台湾では白ごはん代わりに小さなお椀の汁ビーフン、汁そば、魯肉飯など皆好みのものをオーダーする。それプラスおかずを食べる、というのが庶民の食べ方。
めちゃくちゃ美味しかった牡蠣と油條(揚げパン)の蒸し物。
海老の塩胡椒炒め。白いのはカリカリのおこげ。
筍と野菜の炒め物。
白い苦瓜と2種類の卵(鶏の卵と、アヒルの塩卵)の炒め物。これも絶品だった。
ただのイカフライも、唐辛子と醤油ベースの調味料で別物に変身。
追い立てられるように閉店時間を過ぎた店を出る。なるほどガッテン。午後2時〜5時は昼休憩、そのあと夜の部の営業時間ははなんと9時間も!午前2時まで営業しているんだ〜。ご苦労様、頭が下がります。毎日この店で食べても飽きないね。これからも台北に来る度にリピート確定の店!
そして、台北三越デパートも春節を祝う赤い提灯で飾られていた。銀座三越にならって、こちらの正面玄関にも可愛いライオンがいた。
毎回旅に出ると、みんなに伝えたい食べ物の話が尽きない。最後まで読んでくださり、多謝!(トウシャー:台湾語でありがとう!)
コロナ禍の色々な規制が廃止され、自由に海外に行ける日が早くやってきますように。。。
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