今年初めての明石でのレッスン。春節も終わり、でもなんとか節分の日に間に合い、新年とかこつけてお祝いすることができました。「節分」とは文字通り「季節を分ける」という意味で、本来は立春、立夏、立秋、立冬の前日は全て節分といわれていたそうです。その中で一番重要とされたのが立春の節分で、八十八夜、二百十日などすべて立春から数えているんだって。旧暦では一年の始まりは立春だったので、節分はつまり大晦日。そして、一年の厄払いと翌年の福を願って豆まきなどの儀式を行うようになったそうです。
台湾の生春巻き潤餅(ルンピン)は、本来春のお彼岸、清明節に家族みんなで囲んで食べる節句料理ですが、キッチン・マーレでは新春、新年を祝ってルンピン・パーティーをすることにしました。
- 潤餅(ルンピン)~台湾風生春巻き
- 貢丸湯(ゴンワンタン)~台湾風肉団子スープ
- ココナッツミルクぜんざい
中国には春餅(チュンピン)という手巻き料理がありますが、こちらはクレープのように皮がもっと厚く、味付けに甜麺醤を入れたり、と潤餅はまた少し違います。
正式な発音はルンピンですが、方言なんだろうか、我家ではルンピャンと呼んでいました。今回、自宅のテスト・キッチンに招いた在日台湾人の幼馴染達二人もルンピャンと呼んでたので、ここからは愛着のある呼び名、ルンピャンを使いますね。ルンピャンとは、とても薄い小麦粉の皮に好きな具を巻いて食べる生春巻きですが、はずせない薬味がピーナッツと砂糖をまぜた粉。ベトナムの生春巻きとの大きな違いは、もちろん皮もですが、ベトナムでは野菜は生で使うけれど台湾ではほとんどの具に火を入れる、ということかな。「ルンピャンするけど、来る?」って電話したら、二人とも「行く行く!」と二つ返事。各家庭でその作り方もやはり違い、「ママはどうやってた?」と話しながら三人でそれぞれの作り方を披露しあうというのも、思ってた以上に楽しかった。同じ文化、バックグラウンドを共有している安心感、居心地の良さからなんだろうね。
私の母は野菜をすべて炒めていたけれど、水気が出ないように友人のおうちでは湯がいていた、とのことです。だから今回は水分のあまり出ない人参は炒め、キャベツは湯がき、一番水分の出るもやしは春雨、ニラ、タケノコと炒め合わせてみました。春雨が水分を吸ってくれるので、これは我ながら妙案だと思いました。
また、焼きそばも具の一つだったのは我家だけ、ピーナッツ以外に青のりをフライパンで香ばしく炒って砂糖を混ぜたものも薬味にしていたのも我家だけ、小麦粉の皮以外に寿司のりも使っていたのも我家だけ、という事実が明らかになり、へ~我が母は色々考案していたのだと感心しました。
ルンピャンの皮を今回作ってみようと試してみたけれど、どうしてもうまくいかなかったので諦めて、唯一神戸で皮を売っている廣記に出向き、20枚500円の冷凍ものを買い込みました。店主に聞くと、神戸在住の華僑のおばさんが作っているそうです。解凍するには、まず冷凍のまま濡れたふきんで包んで電子レンジで温め、それを1枚ずつはがし、食べる直前まで弱火にかけたせいろの中にキープしておきます。こうするとひっつかないし乾燥しないし、ベストです。
小麦粉は薄力粉と強力粉を混ぜ合わせる場合や大根もちに使う米粉を使う場合もあるようです。それに水を加えてタネを作り、薄くのばして2枚ずつひっつけて焼き、はがす、という方法や、クレープの要領で焼く、という方法があるようですが、どちらもひどく手間がかかるので家で作る人はほとんどいないようです。私が小さい頃は神戸にも生の皮を買える所があったようで、Taiwanese friends のママ達もそこで買っていたそうです。我家では寿司のりも使っていた、と言うと友人が、あんたんとこは男の子が多くて(兄が三人います)たくさん食べるから皮が足りなくて寿司のりも使ったんじゃないの?って。でもこの食べ方なかなかおいしくて、食べてもらうとみんな感激してくれたので、キッチン・マーレでも紹介しました。
空きビンをころがしてピーナッツをつぶすのが子供達の役目だったのは、台湾のどこのおうちも同じだったようです。今回は袋ごとめん棒でたたいてもらいましたが、みんなたたき過ぎ~!油が出てきてペーストになっちゃったよ。グラニュー糖を加えて、冷たい手を持つKさんに手でもみほぐしてパウダー状にしてもらいました。ご苦労さま!
その他の薬味として白髪ネギ、セロリの千切り、香菜。そしてからすみも絶対入れると美味しいので、ちょうど台湾からのお土産で頂いたものを使いました。必ず入れる具は錦糸卵、台湾の押し豆腐「豆腐干」(上の写真、冷凍皮の左側にあるのがそうです)。豆腐干は二次加工した豆腐を特製醤油で煮込んだもので、サラダ、炒め物、スープの具材に使います。これも冷蔵のものを廣記で買いましたが、日本では通常は厚揚げを代用します。今回は豆腐干も味見してもらいましたが、少し甘く、八角の味もして好き嫌いがありますね。
その他にゆで海老、ゆで豚、焼き鳥を作り、とっても豪華な手巻き春巻きとなりました。豚はもちろん焼き豚やハムでもOK、教室ではまだゆで豚を作ったことがなかったので、今回はゆで豚にしました。バラ肉を使うのが台湾では一般的だけど、脂肪が気になるのでこの日は肩ロースにしました。ルンピャンに入れる時は味付けなしですが、一品料理として出す時のために、薬味ソースのレシピも添付しました。すみません、レシピにお醤油大さじ3 が抜けていましたね。書き加えておいてくださいませ。この薬味ソース、えらく美味しかったようで、海老につけて白髪ネギと食べても最高!と言ってくださり、万能ソースに昇格したみたいだね。
ネギ、ニンニク、生姜、醤油、酒などで下味をつけた鶏肉はフライパンで香ばしく焼けば簡単焼き鳥の出来上がり。細切りにして使いましたが、ルンピャンには蒸し鶏もよく使いますので、お好みの鶏をどうぞ。
皮にまずピーナッツ、水気の出ない錦糸卵、そして好みの具をどんどんのせ、三方を巻いて北北西を向いてかぶりつけば、恵方巻きとおんなじ!今年の節分は中華風を昼に食べ、夜は和風巻き寿司をみんなかぶったから、きっととってもたくさんの福がやってくるよ~!
甘いピーナッツを入れると聞いて最初はどんなんだか不安がってた人達も、こんなに美味しいものだったんだ!と新しい味にとても感激しくださり嬉しい限りです。
ところで、スープを飲むとお腹が一杯になってせっかくのルンピャンを数食べられなくなるので、当初はスープなしの予定でした。でも、冷凍庫を開けたら台湾の叔母が持ってきてくれた手作り肉団子、貢丸(ゴンワン)が目に止まりました。うちでは消費できない量だったから、そうだ、みんなに食べてもらおう、と急遽メニューに追加。だからレシピなし!おまけで加えただけで~す。ゆで豚のゆで汁を使い、酒、揚げねぎ、ウェイパー、塩、こしょうだけで味付けましたが、肉団子から旨味が出て、とっても美味しいスープに仕上がりましたね。セロリの葉部分や細い茎のみじん切りもこのスープにはとっても合いました。
台湾では魚のすり身で作った魚団子、魚丸(ユーワン)と、豚肉のすり身で作ったこの貢丸(ゴンワン)スープが名物です。肉団子には魚のすり身を混ぜることもあり、今回食べた叔母のものも少し混ざっていた感じですね。今の私からは想像できないだろうけど、実は子供の頃は偏食kidで、魚も肉も苦手でした。いろんな香辛料が入ったこの肉団子は特にダメで、台湾へ行ってこの貢丸湯を食べさせられるたびに吐きそうになったものです。それが今や美味しい、と思うのだから、大人になったんだな。かまぼこは好きだったからもっぱら魚丸湯を食べてたっけ。
節分の豆を意識したわけではないけれど、デザートは黒糖で炊いたあずきにココナッツミルクを加えてアジアンぜんざいにしました。もともとスープなしの予定だったから、かわりにデザートにはあったかい汁ものを作ろう、って決めてただけ。白玉団子を入れたおぜんざいに、I さんが差し入れてくださったいちご餅を食べたら、お腹一杯でみんな動けなくなっちゃったね。加古川、福中菓子舗の姫いちご餅、最高に美味しかったよ~。断面写真がなくて残念だけど、とっても甘いいちごが丸まま一個求肥に包まれていて、口の中でとろけました。ごちそうさま!
相変わらずへんな教室で、自分にどんな髪型が似合うか研究したくって、とYさんはネットで買ったかつらを二つ持参。有志がそれを試着し、笑いまくって食後の良い運動になりました。韓国と台湾両方に行ったK さんからのお土産、北海道中標津へ苦難の一泊旅行に行ったF さんからのお土産、とこの日はいただきものもたくさんでした。どうもありがとう!いつもキッチン・マーレをPR してくれているF さんのブログミューズの前髪やもう一人のF さんのhoccoritoにも皆さん遊びに行ってみてね。わっ、やられた~!二人とも、もうルンピャンのこと書いてたわ~。失礼しました、私がアップするの遅いだけだね。
大寒波が襲っているヨーロッパでは、寒さですでに300人以上が死亡しているとさっきラジオで言っていました。そんな中、アムステルダムに住む友人から、「初めて凍った運河の上に立って感激!」ってこんな写真が iphone で送られてきました。素敵~!ハウスポートの住人がアイス・ガーデンでお茶してるよ。なんてのどかな風景なの!