キッチン・マーレは海を見下ろす12階、そのマンション内の小さな公園の桜が満開でした。
春のメニューです。
- アスパラと卵
- 春キャベツと新玉ねぎ、リンゴのコールスロー
- 新じゃがのロースト
- 桜鯛とあさりのアクアパッツァ
- ミント・フォンダン・ショコラ
桜鯛とは桜の季節に産卵のために浅瀬に来る真鯛のことで、脂がのっていてとてもおいしく、他の季節のものとは区別されます。色も桜色に光っているこの鯛を使って、名前は仰々しいけれど実に簡単で美味しい魚料理、「アクアパッツァ」を作りました。この日は前もって魚屋さんに三枚におろしておいてもらい切り身を使いましたが、家庭では一尾丸ままの豪快料理でもいいですね。魚はスズキ、金目鯛、メバルなど白身魚ならなんでもOKです。ソテーした魚に味の決め手になるあさり、そしてワイン、水、プチトマト、オリーブ、ケイパー、ニンニク、タイム、といった材料を全部放り込んで少々煮るだけです。イタリア語でアクアは水、パッツァは狂った、という意味で、魚を熱い水で煮る、ってわけかな。でも水はワインと同量で大した量ではないのだけどね。
これからはレストランのメニューに「アクアパッツァ」があっても何これ?とならないで、落ち着いて注文できますよね。
彩に、旬のスナッップえんどうを添えました。ところで、スナップえんどう、スナックえんどう、どっちが正しいの?と悩んでしまったので調べてみると、正式名はスナップえんどうでした。そういえば英語では snap pea だということを今思い出しました。アメリカから入ってきた品種だから絶対スナップですね。よくある日本人の耳英語、スナックと聞こえた人がいたんだろうね~。ちなみに、きぬさやは英語で snow pea といいます。余談ですが、先日桜鯛の白子を和食のお店で初めていただいたのですが、実に上品で美味しかったですよ。
4月は春野菜をテーマにしました。‘春‘と‘新‘の違いも勉強しました。‘春’がつくものは別の種類、‘新’はその時期に収穫されたものを指します。普通のキャベツと春キャベツは別物。そして、今だと新じゃがは九州産のもの、秋になると北海道産が新じゃがです。この日のスナップえんどうは熊本産、新じゃがは鹿児島産、アスパラは佐賀産、、と九州勢が主でした。
じゃがいもの簡単でとっても美味しい食べ方の一つに、オリーブ油と塩こしょうだけでローストする、というのがあります。今回はそこにローズマリーも加えてみました。たった20分オーブンに入れただけだけど、みんな結構気に入ってくれてよかった。
シアトルのあるワシントン州は数千年も前から野生のアスパラが繁殖していたため、同州産のワインにはかすかにアスパラの香りします。春になるとアスパラが出回るのですが、日本のように4本1束っていうケチケチしたのじゃなくてその5倍ぐらいの束で売っています。それが数ドルと安いので、思い切りオリーブ油に浸してグリルしたものをガバガバ食べてました。アメリカの食べ物で miss (日本語にない言葉!「~がないので寂しく思う」という意味)しているものの一つかな。
ソテーしたアスパラの上にポーチドエッグが目玉焼きをのせ、パルメジャンチーズ(この日はペッコリーで代用)を削りかけ、黄身をつぶしながら食べます。もちろんお皿に残った卵をパンでふきとりながらね。アクアパッツァにも合うなと思ってこの日のパンはビゴ BIGOT のパン・ド・ロデブという少しどっしりとしたもちもちパンに決めてたのに、いざ買いに行くと、ライ麦が北海道から調達されなくて週に4日しか作れないんです・・と言われました。震災の影響がこんなところにも出たんですね~。というわけで残念ながらバタールになりました。
コールスローを目先を変えて柔らかい春キャベツと甘い新玉ねぎ、皮つきリンゴで作ってみました。新玉ねぎは水にさらさない方が少し刺激があってよいですね。ドレッシングの隠し味はレモン汁ですので、お忘れなく。
フランス語でとろけるチョコレートを意味するフォンダン・ショコラは本来、中に入れるガナッシュを作り冷蔵庫で冷やし固めておきますが、そんな手間はキッチン・マーレのみんなは絶対に嫌がるだろうな~と考えて、市販のチョコをそのまま入れることにしました。この日はミントチョコにしてみました。ボウル一つででき、(あ、メレンゲを作ったボウルもあるから二つだった!)生地は市販のケーキのようにしっとりと美味しく焼きあがりました。アツアツを食べようと思ってたのに少し冷めてしまい、残念ながら中のチョコはとろけ出してくれなかったけど、ミントの香りが口一杯に広がりましたね。好みでリキュールやオレンジ、チェリーのチョコなんかも入れて作ってみてくださいね。
先週、三宮そごうの地下に富澤商店がオープンしました。プロ御用達の製菓・製パン材料が豊富な店で、今回のフォンダン・ショコラで使ったチョコもここで買いました。店員さんは皆とても博識で、粉の質問でもしようものなら帰れなくなるぐらい説明してくれます。新たなお気に入りスポット誕生で、嬉しいかぎりです。