埼玉県の農家に23年前に嫁いだアメリカ人女性、ナンシー八須 Nancy Singleton Hachisu が初執筆した料理本、 'japanese farm food' が今アメリカで注目を浴びている。日本の昔ながらの田舎料理?おふくろというよりあばあちゃんの味を集めた本なのだが、旬を大事にした農作物の料理レシピだけでなく、ざるやかご、陶器といった日本の台所用品、自分自身の話を紹介し、夢だった保育園・英語教室を自宅で経営しながら本当の食育を実践していること、すべてを通してが彼女の日本への愛情がドクドクと感じられる魅力的な本だ。彼女のブログサイト↓、写真だけでもご覧あれ。
この本をぱらぱらとめくっていたら無性に麹をさわりたくなった。今年のはじめに明石から埼玉に引っ越していったS さんことツバサ(ワンコ)ママが、塩麹を作った時のブログを読んで山形の玄米麹と玄米漬けの素を送ってくれたのは夏前だった。
「麹が手に入らないっていうから送ります。またブログにのせてね」、ってメールで言われていたのに、今になってしまい本当にごめんなさい!すぐに玄米漬けの素は大活用させてもらったんだよ。ぬか漬けのように数日置きにいろんな野菜を漬けてはみんなにばらまき、ぬか漬けよりずっと美味しい!と評判だった。ブログにアップしようと思って写真は夏前に撮ってたんだけど、ヨーロッパに行く前だったので、麹は冷凍して帰国してから使おうと思ってたの。暑くてそれがようやく涼しくなった今になった、というわけ。
数日前からごそごぞと冷凍庫から取り出して醤油麹や塩麹を仕込んだ。玄米麹は匂いがたまらなくいいね。私の大好きなもろみの匂い!トップの写真、右下は麹にみえるけど実はついでに仕込んだ蜂蜜生姜。T さんに抜いたばかりの新生姜をもらったから、それで作ってみた。来月のレッスンではこれを使ってジンジャー・ケーキを焼こうかと思ってる。
ツバサもママも元気にしてる?日本のスローフードのリーダー的存在になってるナンシーにも会いたいし、この際二人に会いに埼玉まで行こうなって思ってるからね。
ず~とK ちゃんにリクエストされていた焼きビーフン。彼女は学生時代に食べた私の母のビーフンの味が忘れられないと言い、豊中教室をスタートさせる前からビーフン教えて!ってせがんでいました。簡単なようで意外と難しい焼きビーフン。みんなの料理の腕前?をちょっと拝見してからメニューに加えるね、という約束でした。
- イカとセロリの花椒炒め
- 台湾風豚の角煮ローバー「魯肉」
- 貢丸湯ゴンワンタン(台湾肉だんごスープ)
- 冬瓜の煮もの
- 焼きビーフン
- 中華ポテト
豚の角煮のローバー「魯肉」は台湾では庶民の味。ご飯の上にローバーをのせたファーストフードは日本の牛丼のように愛されています。ローバーは各家庭の味があり、私のレシピは母の作ってくれていた通り砂糖は入れず、紹興酒、醤油、ニンニク、八角だけで煮込みます。椎茸、茹で卵に加えて我家では厚揚げもどっさり入れるので、まるで日本のおでん風。煮汁をごはんにかけると最高に美味しいから、ローバーだけで子供達は何杯でもごはんを食べてくれます。
そして台湾人は焼きビーフンを作る時にこのローバーの煮汁を調味料として使います。つまりどの家庭でもしょっちゅうローバーを炊いているってことですね。もちろん煮汁がなくても焼きビーフンは作れるけれど、一味違ってくるんだよね。炒めながらビーフンの堅さに合わせて煮汁や水を増やしていってください。堅めに湯がいていれば、あとでいくらでも水分を足して柔らかくできます。一口食べたK ちゃん、「あ~懐かしい!お母さんの味がする~!」と感激してくれました。ありがとう、母も天国で喜んでくれているでしょう。
ビーフンは台湾の新竹シンチク産のものをお勧めします。台湾ビーフンの名産地といえば北西部にある新竹と中部の埔里プーリーですが、新竹のものの方がこしがあり、ぶつぶつと切れないので調理しやすいんです。ビーフンは米粉と書くわけだから材料はもちろん米。ところが料理本を読んでいたら、「大量生産する中国産のビーフンは漂白剤でトウモロコシの粉の色を抜き、米から作ったように見せかけているものもあるので要注意!」って書いてあった。恐ろしい国だなぁ。でも十分あり得そうだから、買うときは原産国をよくチェックしましょう。
イカとセロリの花椒炒めはT さんのリクエスト。イカの下処理は面倒だけど、炒めると弾力があり旨味が出て、冷凍ものの柔らかいイカより断然美味しいよね。冷めても美味しいし、酒のあてになる一品です。
冬瓜の煮ものは、先月神戸教室で作った干し貝柱と生姜をたっぷり入れたものです。油で炒めた冬瓜は初めて、っていう方多かったですね。意外と油と合います。
さて、台湾からのお土産で肉だんご(貢丸ゴンワン)をもらっていたので、そのスープをおまけとしてメニューに加えました。実は魚だんごを持ってくるはずが、冷凍庫から間違って肉だんごを取り出してきてしまってたので、急きょメニュー変更。貢丸は台湾ではこのように十文字を入れてスープに浮かべます。水に酒、塩こしょう、揚げネギ、そしてセロリのみじん切りを浮かべただけのシンプルなスープだけど、肉の味がだんごから滲み出すのでこれだけで十分美味しかったでしょ。本場のスープ、みんな気に入ってくれてよかった。次回のレッスンまで冷凍庫に残っていたら、魚だんごのスープも食べてみましょう。
だんごに始まり、この日は思わぬアクシデントが続いてしまいました。油と上白糖で作る中華ポテトの飴が固まらない!2回もトライしたのに、固まらない。。前日自宅で作った時は簡単に固まったのに、何故?ようく考えたら油が違ってた。いつものなたね油でなく、ビタミンE が添加された健康なたね油を使っていたのが原因だったようです。まるで理科の実験だ~。油を使うのはやめ、水と上白糖でカラメルを作りました。みなさんお疲れ様、時間がかかってしまってすみません。でも失敗のおかげで新発見があったから良かったかな。
今年のノーベル医学生理学賞に決まった山中伸弥京大教授も、「一回成功するまでには九回失敗している」って言ってるし。ハハハ、レベルが違うけどね。ところで山中教授は、7月のブログに登場した私の誕生日に遊びに来てくれたドクター友達の同期生です。「山中はノーベル賞に一番近い男」、と名前だけは何年も前から聞かされていました。これで再生医療が臨床応用されるのも間近だね、と期待に胸膨らむのは私だけではないはず。。
持参した台湾土産のお菓子も、飴がらめのピーナッツでした。台湾人は皮付きピーナッツが大好きで、ピーナッツを使ったお菓子がたくさんあります。
先週末予告したインディアン・メーラー。友人がフィナーレの結婚式の舞踊の中で踊るというので、犬の散歩がてらに行ってきました。昨年よりもすごい人混み。ポートタワーと海洋博物館の明かりの下には、ハイになったインド人がたくさんいましたよ。
秋のメニューって考えてもまだまだ日中は汗ばむ陽気で、旬の食材がもう一つぴんとこない。中途半端な気候に合わせて中途半端なメニューになりましたが、前菜は南アメリカ、ペルーの伝統料理、生魚をライムとレモン汁でしめたセヴィチェをもってきました。
- びんちょう鮪のセヴィチェ
- きのこのクリームスープ
- チキン・カチャトーレ
- かぼちゃと鳴門金時のオーブン焼き
- アーモンド・マフィン・ケーキ ~マロン入り、プルーンとクルミ入り
本場では白身魚を使いますが、この日はびんちょう鮪を使いました。あと鮭もいいですね。カルパッチョとの違いは、こちらは全く油が入らないってこと。紫玉ねぎ、トマトも加え、冷蔵庫で十分冷やしておきます。タバスコをたっぷりかけるとピリッと爽やかな辛さ。香菜のみじん切りを加えるとなお美味しいので、試してみて下さい。
秋といえばきのこ。いろんな種類のきのこを使って作るスープです。この日はしめじ、舞茸、椎茸の三種類を使いました。特徴は牛乳のかわりにチキンスープを使い、白ワインが生クリームと同量、結構たくさん入っていること。おつな味に仕上がりました。欧米では秋になると野生のきのこ狩りをする人が多く、店でも天然のきのこが一杯並びます。だから日本のきのこは香りがあまりなくて物足りない。。なので、椎茸を入れることをお勧めします。
イタリア料理のチキン・カチャトーレは猟師風って意味らしいから、猟師たちが仕留めた鳥を鍋でぐつぐつ煮込んで食べたことに由来してるのかしら。缶トマトではなくて生トマトを使った方が色は薄いけれど、グンと美味しい。白ワインとニンニクのほかはスパイスもハーブも入らないのに驚くほどいい味が出ます。ここにやはりきのこも投入。こちらにはマッシュルームとしめじ、味のアクセントにオリーブも加えてみました。
添え野菜にはかぼちゃと鳴門金時、玉ねぎのロースト。きれいに三段に敷きつめてもらったけど、早く食べて帰らないといけない生徒さんがいたので、火の通りがよくなるように結局全部ひっくり返してしまいました。オリーブオイルをたっぷりかけてね。
デザートは、小麦粉を全く使わないマフィンです。アーモンドプードル、バター、卵がたっぷりと入ったリッチなケーキは、味もリッチ。美味しいよ~!でもカロリーも高いので、S サイズのマフィンカップで焼きました。
この歳になると美味しいものを一口だけ食べたいんだよね。マロン入りとプルーン&クルミ入りの二種類焼いたけれどみんな一つは我慢してお持ち帰りにしました。
夙川の有名洋菓子店「ミッシェルバッハ」にいたパティシエが伊川谷に店をオープンしたそうで、F さんがクッキーを買ってきてくれました。ミッシェルバッハのクッキー・ローゼと見た目全く同じじゃん!って思ったけれど、食べると違いが歴然。こちら「ベルグバーン」ではアウゲンと呼ぶこのクッキー、本家よりも少し固め、形も少し分厚くいびつで、繊細な職人技の精密な薄さと形の整い方には欠けているけれど、味は悪くなかったよ。わざと全く同じにならないようにしているのかな?夙川まで行かなくても買えるようになったのは魅力ですね。慌てて帰っちゃったF さんは自分が持ってきたのに味見もできず。。ご馳走さまでした!
★さて、ここからはお出かけ情報です↓↓
この三連休(6日、7日、8日)、メリケンパークでは3回目の「インディア・メーラー」が開催されます。印日交流イベントとして2010年に始まったインドのお祭りですが、今年は印日国交樹立60周年だそうなんで大規模かも。ステージではインド舞踊や歌、神戸の有名インド料理店もたくさん屋台を出していて、楽しいよ。イベント・プログラムはこちらをチェックしてみてね。→ India Mela 2012 余談ついでに言うと、現在の在大阪神戸インド総領事、ヴィカス・スワループ氏は映画『スラムドッグ$ミリオネア』の作者なんだよ。
そしてもう一つ私が興味をそそられているイベントは、やはり6日から始まる「第1回大阪ごはん映画祭」。食がテーマになっている映画が21日までの期間たくさん上映されます。要チェックです。ああ忙しいなぁ。。→ 大阪中之島ごはん映画祭