キッチン・マーレ3 回目のクリスマス料理、そして2011年最後のレッスンでした。ロースト・ポーク、ロースト・チキン・レッグときたからには、やはり今年はロースト・ビーフですかね。過去2 回では色んなディップやカナッペを作ったので、今回は少し趣向をかえて野菜をたくさん楽しんでみることにしました。
- バーニャ・カウダ
- レモン・チャイブ・チーズ・ディップ
- アボカドとスモークサーモンのキャセロール
- ロースト・ビーフ ~ジャガイモと玉ねぎのソテー添え
- カラメル・ナッツ・タルト
最近日本でもよく目にしたり耳にするバーニャ・カウダは、イタリア、ピエモンテ州の冬の野菜料理です。今回メニューに入れてから、もともとその地方ではクリスマス・イブに食べる習慣があると知り、お、やったね、ぴったりのメニューだったじゃんって思った次第。
イタリア語で「バーニャ」はお風呂、「カウダ」は熱い、という意味。生野菜、主に根野菜をニンニクとアンチョビが入った温かいオリーブオイルのソースにディップして食べるなんとも簡単な料理なので、いかにおいしくて目にも美しい野菜を揃えるか、がポイントだと思います。そしてもちろん野菜の切り方や盛り付け方が味を左右します。以前紹介した三宮センター街南側にある小さな露天の八百屋さんで、無農薬の赤カブ、うっすら紫がかったあやめ雪、ラディッシュなどをみつけ、あとはそごうの地下でもろきゅう用に改良された可愛いきゅうり、そして人参、セロリ、ブロッコリー、カリフラワー、カラートマト、パプリカを揃えました。欧米ではブロッコリーも生で食べちゃいますが、今回はカリフラワーとともに、さっと湯がいて使いました。盛り付けはお皿の上に絵を描くようにね。
つぶしたニンニクは、まず牛乳で数分煮て臭みをとることがカギ。あんなにたくさんニンニクを入れたのに驚くほど匂わなくて、昼間から食べても全然大丈夫だったでしょ?本当はフォンデュのように小さなろうそくの上にソースの器をのせて温めながら食べるのですが、そんな小道具もないので、銘々皿でこのようにいただきました。
同じ野菜を使えるディップを一品紹介しました。クリームチーズ、サワークリームにレモン、チャイブを入れてフードプロセッサーのスイッチをオンにすれば出来上がり。チャイブの代わりにあさつき、やっこネギ、細ネギを使って下さい。このディップは果物にも合います。リンゴ、梨、柿なんかもいいかもね。
キャセロールはグラタンのように、たいていチーズを使ったオーブン料理です。ローストのテーブルには何かキャセロールが一品あることが多いですね。みんなアボカドはたぶん生のものしか食べたことないだろうな、と思い、アボカドとスモークサーモンを組み合わせてみました。固いアボカドがあって困っている時は、天ぷらにしたりこのようにオーブン料理にしてしまうと、全く違う食感、クリーミーな芋風、新たな発見になりますよ。
さて、今回の主役のロースト・ビーフ。まずは牛肉の部位の説明から。大きく分けて、背中の筋肉をロースと呼びます。ロースって「ローストするのに適した肉」って意味からきた名前って知ってました?頭の方から肩ロース、リブロース、サーロイン、ランプと続くのですが、ローストに最適なのは腰からお尻にかけての柔らかい赤身、ランプです。今回は脂の濃厚な旨味があり、すき焼きやしゃぶしゃぶにも最適なリブロースを使ったので、お店で目にするロースト・ビーフよりは脂身があると思われたかもしれませんね。
日本ではせいぜい1kg の塊肉を手に入れるのが精一杯。仕方なく今回はその塊を3個使い、野菜屑を並べて焼きました。焼く数時間前には冷蔵庫から出して室温に戻しておかないと、内部まで火が通らないので要注意。たっぷりと塩こしょうをし、ニンニクをのせ、乾かないように表面に油を塗るシンプルロースト。焼けた肉汁はとても美味しいので、それを使ってグレービーを作ります。包丁を使わせると右に出る人がいないほど美しい包丁さばきができる Y さんがお休みじゃなくて良かったわ~。野菜もお肉もすべてお任せすると、ほら、こんなにきれいに薄切りにしてくれました。今年もありがとう!
ロースト・ポテトも過去に何回か作ったので、今回はフライパンでサイド・ポテトを作ることにしました。皮ごと湯がいたジャガイモの皮をむき、フライパンでオリーブ油と玉ねぎと一緒に気長にソテーします。味付けは塩こしょうだけだけど、美味しいジャガイモ料理です。
欧米では11月の感謝祭、12月のクリスマス、そしてお正月の料理をひっくるめてHoliday Dinner ホリデー・ディナーと呼びます。そして、色んな宗教の人達がいるので、配慮して Merry Christmas! ではなく Happy Holiday! と言うことの方が多いかな。余談ですが、明日のイヴに友人達とランチする計画を立てていた時、インド人の友人が「私はクリスマス関係ないから」って言うから、瞬間、ヒンズー教だもんね、って思ったけど、違う違う、彼女創価学会だったわ~って気づきました。こういうこともあるから、外国の人にはHappy Holiday! と言っておいた方が無難ですよ。
さて、このホリデー・ディナーのデザートは、ナッツやスパイスを使った少しヘビーなものが主流です。今回紹介したのはカラメル・ナッツ・タルト。シナモン、ナツメグを加えて焼いたタルト生地にくるみとピーカンナッツをカラメルソースにからめたものを流してまた焼きました。残念ながら、タルト生地を十分冷やし切れていなかったので側面が少しつぶれちゃいました。失敗例を見てもらえたから良かったとしよう。冷たいバターを手早く練り込み、キンキンに冷やした生地をオーブンに入れるよう心がけてね。
カラメルに生クリームを加えると、そう、あの懐かしい森永ミルクキャラメルの味になります。このタルト、一流ペイストリー・ショップの味だったでしょ?こんなに簡単に一流の味のものが作れるなんて、って思ってくれたかな。フランス産の赤ぶどうスパークリング・ジュースで乾杯! みなさん、今年もご支援ありがとうございました。。。謝々! cheers! toast! そして Happy Holiday!