例年の沖縄への旅を今年は小休止し、ここ何年か気になっていた奄美大島に行ってきた。
たいした予習もして行かなかったので、島の8割が亜熱帯の森林だなんて行ってから知った。だから、一番大きな国道を走らないととんでもない山道に入ってしまうってこと。道路はくねくねと、標高400m 近い山を上がったり下がったりで、気が付くと携帯がつながらないエリアだったりする。
島の中央部にある金作原(きんさくばる)原生林をガイドと一緒に散策した。ヒカゲヘゴなど、沖縄とは全く違う亜熱帯性植物や小動物の話を聞きながら、マイナスイオンをたくさん浴びた。ここは、初期のゴジラの映画のロケ地だったそう。
今年は梅雨も短く、雨が降っていないそうで、毎日30℃を超えていて例年よりも暑い夏だそう。(もちろん関西よりはずっと涼しかったけれど)
蚊も飛んでいないし、セミも鳴いていなくて、いつもの夏とは違う、とガイドさん。おかげで散策はらくちん、セミの声に邪魔されることなく、鳥のさえずりも聞こえて、ルリカケスを見つけることもできた。↓
山が迫っているのもあって、海水浴ができるビーチも沖縄よりずっと少ないのだけれど、どこに行っても人っ子ひとりいないのはなぜ?もちろん監視員なんてどこにもいない。飛行機は家族連れで満杯だったのに、みんな一体どこに消えちゃったの?って滞在中ずっと不思議でたまらなかった。
奄美名物といえば、鶏飯(けいはん)。ちらし寿司のトッピングのように出てくる錦糸卵、甘辛い椎茸、鶏肉、パパイヤの漬物などをご飯の上にのせ、とても美味しい鶏だしをかけてお茶漬けのようにして食べる郷土料理だ。老舗鶏飯店「ひさ倉」では、鉄鍋に並々と入った地鶏スープが出てくる。↓
ホテルの朝食ビュッフェでも鶏飯は必ず登場する。シンプルだけど、滋養があって癖になる美味しさ。↓写真左のグラスは、牛乳ではなく、「ミキ」という奄美特有の発酵ドリンク。
奄美伝統の発酵ドリンク「ミキは」、白米、さつまいも、砂糖でできていて、1ccあたりに1億個以上の乳酸菌が入っているらしい。ドロっとしていて甘いので、飲みやすくするために少し牛乳で割ってみた。そう、ほのかに甘酒の香り。日本で一番長寿が多いのは鹿児島の奄美大島らしいが、それもミキのおかげかな?
奄美といえば黒糖焼酎。黒糖はもちろん、芋、麦、米の焼酎200種類を置いている「焼酎dining 心」がすっごく美味しかったよ、と数カ月前に奄美に行った友人から聞いていた。予約必須と言われていたので前もって予約をし、期待大で行った。
↑まずはアルコール度数低めの黒糖焼酎をワイングラスで爽やかにいただく。しょっぱなから、突き出しの美味しさにびっくりした。茄子の肉味噌、つくね、ゴーヤと鶏肉炒め。
お客さんがみな注文していた突き上げは↑、さつま揚げをアレンジしたもので、魚はウルメ。フワフワで少し甘く、初めての食感。
↑ざる豆腐
鹿児島県は、車海老の養殖日本一。奄美でも養殖場がここそこにあった。小さめの車海老の唐揚げ。流木に横たわってきた。
↑鳥刺し。ゲテモノ嫌いの私は普段鳥刺しは食べないのだが、今回は味見だけ、と1枚のつもりが、これは美味しくてお箸が止まらなかった。右側がもも肉、左側が胸肉。鹿児島の甘いお醤油の隣は、ニンニクの葉をペーストして塩とオリーブオイルを加えてもの。
シメは油そうめん。雑魚で取ったこれまた滋味のある温かい汁がかかっていて、固めにゆがいたそうめんがスルスルと口に入っていく。この店をはじめ、奄美のレストランはどこも量も多く、味も良く、とても安いのにびっくりだった。滞在中に食べた洋食もなかなかレベルが高くて、意外な驚きだった。
飲食店がたくさん集まっている、奄美で一番賑やかな名瀬の町。そこで見つけた風変わりな駐車場の車止め。↑ こんなの見たことないよね。
楽しみにしていた加計呂麻島(かけろまじま)へ日帰りの日は、雨だった。北部のホテルを出発するのが遅くなったのもあり、フェリーも本数が少ないし雨だと楽しめそうになかったので、南端の瀬戸内(せとうち)町で1日過ごした。
瀬戸内海のように小島がたくさん浮かんでいるからこの名前なのかな。展望台まで山道を運転し、林の中を5分ほど歩くと、絶景!
雨上がりの空、雲、大島海峡に浮かぶ島々は、ため息が出るほど美しかった。
奄美は愛に溢れた島なのかな、ハート型の名所が2つあった。
こちらが瀬戸内にあったハート型の湾。↓
そしてこちらが、干潮の時にだけお目見えするハートロック。↓ 空港近く、北部にある。
ハートロックを探すのは結構たいへんだった。小さな目印を見つけたらこの茂み中を歩いて海岸へ。↓
観光化されすぎた沖縄にはもうなくなった、素朴な風景の残っている島、奄美。ずっと開発されないで癒やしの島でいてほしい、って思うのは都会に住む私達の勝手だろうけど。なんにもない空港は空が広く高く、ここでも雲が美しい。夏の積乱雲がとても心に残った旅だった。