約30人の入り。
個人的にはあまり多過ぎるより、
各長椅子に2人ずつ座る、これ位の入りが好みではある。
演る側としてはもっと入って欲しいのかも知れないが。
前説(南天)
選挙の話をいろいろ。
この手の話は政治色を出さずにやるのは難しいと思ったのだが、
「公約の名前」などをネタに上手く消化していた。
「按摩炬燵」(生喬):○-
さろめ(あやめの弟子)が辞める、というところからその思い出話、
紅雀の酒の話からネタへ。
「絡む先輩」というと松枝を思い浮かべていたのは私だけではなかろう。
ネタは、特に大きな山場のない分、難しいネタだと思うが、
丁寧にやっていた、という印象。
決して良いとは思えなかったが、元々どうしようもないネタだろうし。
まず、最初の場面から、表現する必要はないにせよ
もっと強く「寒さ」をイメージしておく必要があると思う。
寒ければこそ、寝づらくて店の連中思いの番頭が「炬燵を用意しよう」と思って
徳さんに声を掛ける訳だし、
恐らく徳さんとしても、寒いから帰るのが億劫になっているところに、
番頭から「酒を飲ませてあげる」と言われて乗るのではないだろうか。
雪がちらちら舞っている、と言ってはいたが、
もっと木枯らしや芯から冷える寒さ、といったものが背景に必要だと思う。
番頭は少し納まり過ぎかなあ。旦那みたい。
徳さんは盲人ではなく、「目かどが悪い」という設定。
「按摩」とすれば盲人でも良さそうだが、
「盲人を炬燵にする」点に力点を置くと客が引く可能性もあるから、
それはそれで悪くないと思う。
酔ってぐずぐず言う場面、「らくだ」の紙屑屋と同じだが、
口調や内容に普段の鬱積を感じた。
だとすると、最初に番頭と話をする段階で、
多少の鬱積が見えるようにした方が良いかも知れない。
徐々に酔っていくところ、
布団を被せられて自分の体温で眠くなっていく場面、非常に上手い。
エヅくのも克明に描写しているが、そこまではやらなくても良いかな、と感じる。
軽い布団を、と言っているのに重い布団を掛けられる場面、
私は「炬燵も出してくれない」と相俟って
「重い布団しかない、商家の生活の大変さ」を感じた。
このあたりは、好きなように酒を飲めるなど、
自由な按摩の生活との対比が出ていた。
布団を掛けられた後、足をいろいろなところから突っ込まれるところ、
丁寧に描写していて、これはこれで悪くないが、
もう少しマンガ的に流して徐々に嫌になっていくところを進め、
丁稚が寝小便してしまうところで終わる、と流れ中心に演った方が良いかも。
少しクドくなってしまった気もする。
屁をかまされるのも如何にも笑福亭だが、
小便と重複する印象もある。
「貧乏神」(南天):○-
八百万の神の話をしてネタへ。
最初のいい加減な男の軽さ、
相手をする家主さんの人の良さが快い。
お互い本気で表情を硬くする訳でなく、
「25銭」の繰り返しもそこまで本気でなく見せている。
貧乏神の頼りなさもこの人のニンだなあ。
ただ、貧乏神に対して男が若干「脅す」語調が強く、
そこは違和感があった。
もう少し投げ槍に言うもので、それを貧乏神が脅しと取る、という方が、
貧乏神と男の関係に近いと思う。
貧乏神が男に「友達」と言われて嬉しくなるところ、
貧乏神が出ていく最後の「嬉しかった」にも繋がっていくのだが、
個人的には台詞にダイレクトに「情」が出ている感じで、あまり好みではない。
このあたり、2人の関係がホモっぽく見えてしまうところ。
洗濯の場面で醤油を落とすところ、
「明日も洗濯物がよく乾く」など、
南天のニンと貧乏神が合って良い。
最後の別れの場面、やはり目に見えて「情」が濃いのは気になるなあ。
腹に持ってはいても、台詞としてはさらっと流す方が好み。
その上でサゲの転換が効けば良い、と思う。
対談「夕焼け日記」(生喬・南天)
(私も気になっている)オールナイト落語会の話、
その他これからの仕事の話、
「一門会」や「二人会」、そのネタ並べの話など。