夜散歩の途中
懐かしい
匂いに
昆虫のように
吸い寄せられた
オシロイバナだ!
長い長い
夏休みを
持て余す
幼年期に
家の近くの
公民館に
集まっては
近所の子たちと
遊んでた
ひとりまたひとり
帰っていく頃
この花が
香り始めて
ひとり遊びの
時間の合図に
なった
花に
口づけして
蜜を吸い
黒い実を
摘んでは
小石で
潰していたっけ
手の甲に
白い粉を
すり込んでみては
すこしだけ
オンナ。を
知った気分に
なった
後に
夕方から
芳香を放つ
由来から
夕化粧
という
別名があるコトも
知った
いまは
もう
蜜を吸うコトも
おしろいを塗るコトも
しなくなったけれど
したくなくなったんじゃない
がまんしてるだけなんだ
オトナになるって
嬉しいけれど
すこしだけ
淋しい
夏は
とくに
そう
感じさせる