――ダラダラ連載、ダラダラと新年初書きにして、前回の続きです。
サンドイッチもスコーンもケーキも食い終ったし、ロビーの演奏も終ったしで、そろそろチェックインしようかって話になった。
席を立とうとしたら、店の人がまたすーっと近付いて来て、今日飲んだお茶っ葉を記念にって俺達によこした。
ゾロにはダージリン、ナミにはアール…なんつったっけ??ミカンみてェなにおいの茶、俺にはシャンパー……イチゴジャムのにおいしたヤツだ。
ちっちぇ袋に1回分くれェしか入ってねェのはがっかりだったけど、記念だしな、ぜいたく言うなってナミに怒られそうだからだまってた。
ナミは感激して、家に帰ったらノジコやゲンさんにもいれてあげるんだって、大事そうにベルトポシェットん中しまってた。
そんで結局、ゾロと俺のお茶代はナミに払ってもらう事にした………正直後がメチャクチャ恐かったけど。
レジんトコで金払うんだろうと思ってナミの後ろついてく。
したらナミは、「会計は部屋付けにして後で精算する積りよ」っつった。
「場内ホテルに泊ってる間、ホテルで飲食した代金は、後で纏めてチェックアウトの時に支払ってもOKなんだって。だから今はサインするだけね。」
「へー!便利だなァー!」
「とまァそんな訳で…部屋付けにして貰えます?」
「かしこまりました。それではお客様のお部屋の番号を――」
「…………あ……!」
レジ係の女の言葉に、ナミがぎしっっと音出して固まっちまった。
「…お、おい…ナミ…どうした!?」
「何だー??便所でも行きたくなったのかー??」
「……あの…ひょっとして…チェックインしてからじゃないと、部屋付け駄目だったりします…?」
「…え?ええ、申し訳有りませんが……」
「――嗚呼!!馬鹿だっっ…!!私…大馬鹿だわァァ…!!どうして気が付かなかったのよォォォ…!!!」
よく解んねーけど、みるみるナミは落ち込んでって、レジ前で頭抱えてうずくまっちまった。
「……お前…まさか手持ちの金が足りねェとか…?」
「ううん…それは足りるけど…。」
「なんだ…なら良いじゃねェか、この場で払っちまえば。後だろうが今だろうが、払う料金は変んねェんだろうが。」
「料金変んなくとも気分が頗る変んの!!!…この私とした事が、こんな単純なミステイクしでかすなんて……悔しいィィィ~~~~!!!」
「あっはっは♪ナミはうっかりさんだなァァ~~~♪♪」
「うっさい!!!あんたにだけは言われたくないわよルフィ!!!!」
「あ、あの…!宜しければお待ちしますので…!直ぐ隣がフロントですから、どうぞチェックインされてから…あの…!」
取り乱すナミに引きずられたのか、レジ係の女までオロオロしながら話す。
「いいえ払います!!払えば良いんでしょ!!…後だろうが今だろうが払う料金は同じだもん!!」
「……だからさっきから俺がそう言ってるだろうが…ったく、面倒臭ェ女だぜ。」
「うっさいっつったでしょ!!!!グダグダ言ってんならあんたに全額払わせるわよゾロ!!!!」
顔面から悔しさみなぎらせてナミが金を払う。
そんなナミを相手にレジ係の女は、可哀想なくれェおびえてた。
……怒ったナミはえん魔様より恐ェからなァァ。
結局、お茶代はレジで現金払い、その後ようやくチェックインしようと、3人してフロントへ向った。
その前に、さっきとろうとしたお菓子の家や車に乗ったサンタを横にして写真をとった。
シャッター押そうとしたトコでホテルの人が近付いて来て、「宜しければお撮りしましょう」って言ってくれたんで、カメラ渡して頼んだ。
おかげで3人一緒に写真に入れた――親切だなァ。
またゾロを真ん中にしようとしたら、「てめェが真ん中立ちやがれ」っつって殴られた――不親切だなァ。
ロビーの真ん中にすんげー沢山のきれーな花が飾ってあったんで、これをバックにしてもとってもらった。
聞いたら400~500本くれェ花びん(って言うかでか過ぎてツボにしか見えなかったけど)に活けてあるらしい、しかも毎金曜に変えてるらしい――ぜいたくだなァ。
お茶代を部屋付けに出来なかったのがよっぽど悔しかったのか、ナミはしばらくプリプリ怒ってて触れんのも恐ろしかった。
けどロビーに飾ってある色々を観たり、写真とったりしてる内に、いつの間にやら鬼の顔を止めていた。
それ見てたゾロが後ろで、「まったくこの女は気分コロコロ変えやがって…扱い難いったらねェぜ」とか何とかぼそりとつぶやいてたけど、幸いにもナミには聞えなかったらしかった。
きれーなクリスマスリースの飾られたフロントで、ナミがチェックインをお願いしてる間、俺とゾロは後ろの高そうなイスに案内されて、ウェルカムドリンクもらって待っていた。
………ココア??
「ホットチョコレートね。」
受付し終えて戻って来たナミが、飲みながら言った。
「チョコレート??これ液体だぞ???」
「チョコレートは初め、飲み物にして嗜好されてたのよ。現代では固形にした物のがポピュラーだけどね。」
「へー、そうなのか~~。」
「だから要はココアだろうが。」
ちっちぇ白いカップにほんの1口分…甘くて温かくて美味かったんでおかわりもらおうとしたら、ナミに「サービスを過剰に受けようとすな!」って怒られた。
飲み終ってカップを返したトコで、ホテルの裏口に案内された。
外に青い車が停まってる、いよいよ泊る部屋に連れてってくれるらしい。
……ん?あれ??このホテルに泊んじゃねーのか???
「待て。泊るトコって此処じゃねェのか?」
ゾロも疑問に思ったらしい。
「ああ、面倒だから端折って説明するけど、私達の宿泊するトコはフォレストヴィラって言うコテージでね、このホテルに泊る訳じゃないの。ただ受付は此処、ホテルヨーロッパとなる訳。」
「……ややこしいなァ、おい。」
「元々の受付だった場所がスパの受付になっちゃったんだもの。仕方ないわ。」
「まー良いじゃねーかゾロ!早く車乗って行こーぜ!泊る部屋どんなんか見てーし♪」
車に乗せられ1分もしねェ内に、木や家が立並んだ場所へと出た。
家はかべが白と赤レンガの2タイプ有って、形はどれもおんなじだ。
その内の1けん、小さな赤い実が沢山生ってる木の側の、赤レンガのかべした家の前で車は停まった。
ここが、俺達の泊るコテージって事だった。
「素敵v柊の様に緑の葉と赤い実を沢山付けた木の側のコテージだなんて、クリスマスシーズンにぴったりv」
「なんて木だろーなー?…食えんのかなァ?この実。」
「何でも食おうとすな!!」
車から降りてホテルの人がカギを開ける。
木のドアにはクリスマスリースが飾られていた。
ガチャンと開き中へと案内される。
「玄関入って直ぐ、壁面のボックスにキータッグを差し込みますと、照明暖房TV等全ての電源が入りますので。」
とたんにパッと部屋の明りが点いた――す、すげェェェ!!!
「キータッグを此処から外しますと、電源はオフになります。」
今度はパッと部屋の明りが消える――おおお面白ェェェェ!!!!
「すげェすげェすげェすげェおんもしれェェェェ~!!!お俺にもやらせてくれェェェ!!!」
「ルフィ遊ぼうとすんじゃない!!!」
「いやまったく凄ェな。見掛けによらずハイテクだ。」
玄関上がってすぐ左には風呂と洗面所、その横にはトイレ、右は2階へと続く階段――2階まで在んのか!?ますますすんげ~~!!
1階のろう下を進んで水色の扉開くと、そこは広いリビングだった。
すでに荷物が中に運んで置いてある。
ざっと説明し終りホテルの人が帰ってく、ドアをガチャンと鳴らして外へ出た…と同時に俺達全員ニヤーンと顔を見合わせ、さっそく室内探険にくり出した。
「すっげーなーー!!」
「本当、すっごい!」
「見ろよ!フルーツセットが置いてある!!」
「って先ずそこかい!!!」
リビングのテーブルには、ナシ・カキ・リンゴが1つづつ、バナナ・キウイが2つづつ、ミカンが3つ、銀色のトレーに盛られて置いてあった。
皿にフォークにナイフにナプキン、メッセージカードまで一緒に置いてある。
「『Merry Ⅹmas 光の街 ハウステンボスへようこそ』…これ、お手製よ。折紙で折ったポインセチアが貼ってあって素敵v」
「こういうフルーツサービスって宿泊客全員にしてんのか?だとしたら大変なんじゃねェの?」
「良ーい所に気が付いたわねゾロ!実はこの特典は私が『カスタマーズクラブ』に入ってる事で受けられたサービスなのでェす!」
「「カスタマーズ??」」
「入会金も年会費も不要ってんで入っといたの♪会員の特典の1つに『ラッキーデー』って言うのが有って、こっちが設定しといた日(←注:設定日より前後2週間の範囲まで適用OK)に宿泊するとフルーツセットを用意してくれるって訳!」
「…お前……高々フルーツセットの為にそんなん入会したのかよ…?」
「あら、他にもチェックアウトを1時までに延長出来たり、サイン1つでチェックイン出来たり、記念日には部屋のグレードアップ(←注:これも記念日より前後2週間の範囲まで適用OK)してくれたり、いっぱい特典有るんだから!入会して30ヶ月宿泊が無ければ自動的に失効になるし、何より只で入れるんだから損は無いでしょ!?」
「ああ解った解った。仰る通りお得だよ。」
「ふん!まっひゃくほふは!ふへえひょほほひはん!!」
「…ってあんたは早速蜜柑食ってるし!!ちょっとは食から頭切り離したらどうなの!?」
「ほひゃっひゃほんほひゅふひひゃひゃふほは、ほへひょひゅひひゃ!!へっひゃふふいひゃんはひ、ひょほほほひゃへっほへほひゃひひひょうへ!!」
「っつか全部食べようとすな!!そのフルーツはあんただけのもんじゃないんだからね~~!!」
「おい、ちょっと2人共、こっち来てみろよ。絶景だぜ!」
「絶景?」
「へっへェ??」
窓から外のベランダ出てたゾロに呼ばれたんで、ナミと行ってみる。
目の前には、湖が広がっていた。
「素敵…湖に張り出したバルコニーだなんて…水面に映る紅葉した木々…ひっそりと湖の周囲に佇むコテージの並び…まるで絵葉書を観るみたい…。」
「良い眺めだろ?この景色を観れただけでも来た価値有ったかもな。」
「へェェ?誰かさんのブータレ病も治しちゃうなんて、このコテージを療養所に選んだ甲斐が有ったわァ。」
「…誰かさんって誰の事だよ?」
「さァて、誰でェしょお♪」
「…けっっ、誰かさんこそ、何時の間にか不機嫌治してやがって、付き合いきれねェってのっっ…。」
「……その誰かさんって、誰の事よ?」
「さて、誰の事やらァ~。」
「お!白鳥だ!白鳥が2羽こっちへ泳いでくっぞ!!」
湖の真ん中には島が在って、そっから2羽の白鳥がスイーッと泳いで、俺達の居るベランダ下まで寄って来た。
「餌をくれって言ってるみたいよ。」
「流石、観光客馴れしてるな。」
「つってもなー、リンゴ丸ごと落としてやる訳にいかねーし…」
「あんた、お昼にバナナマフィン買ってたじゃない。あれ1つあげれば?」
「えええ!!?嫌だ!!!なんで俺の食べもんやんなきゃなんねーんだよ!!??」
「ルフィ、あんたに有難ァい言葉を教えてあげる。『人はパンのみに生きるに非ず』…少しは『与える』って事を学んだら?」
「なんだよそれー!??パン無かったら腹減って死んじまうじゃねーか!!!」
「あら?パンが無かったらお菓子を食べれば良いじゃない。」
「バカだなナミ!!お菓子はデザートだぞ!?パンの前に食っちまっちゃいけねーんだからな!!」
「おめェらさっきから会話噛合ってねェよ。ってか支離滅裂だっての。…時にあの硝子張りの建物は何だ?」
ゾロが指差した右の方角には、でっかいガラスのドームみてェな建物が在った。
「あれは『ウェルネスセンター』って言って、プールやスパを営業してる所よ。明日、明後日の朝食会場もあそこ。」
「ああ、さっき言ってたこのコテージの元受付か。」
「へー!ここプールも在んのかー!!よし!後で行ってみよーぜ♪」
「カナヅチが何言ってんの!でも綺麗なプールよ。温室の様な、熱帯植物の繁ったトロピカルデザインのプールでね、時間が有れば寄ってみたいけど……多分、無理ね。」
夕陽が湖ん中うつって、ユラユラゆれながら光ってた。
湖がオレンジ色にそまってる、「もう直日が暮れるわね」と、ナミがつぶやいた。
白鳥はいつの間にか遠くに行っちまってた。
「餌をくれる気配しねェんで、他んトコ営業回り行っちまったんだろ。…しっかりしてるぜ。」
ゾロがあきれたように、笑って言った。
【その10に続】
…漸くチェックイン~。(汗)
フォレストヴィラは綺麗です、場所と部屋だけで言うんなら、1番の宿泊施設だと自分は思いますね。
『カスタマーズクラブ』、場内ホテルに宿泊するなら、入っとくと何かと便利、チェックアウトが午後1時ってかなし有難いっすよ。
詳しい説明は『カスタマーズ・コンシェルジュ』に連絡して、聞いてみて下さい。
ハウステンボスのスパ『RIN』は、結構評判良いみたいです。
体験レポがまったりさんの『ハウステンボス雑感』で詳しく書かれてますんで、宜しければ御参照下さいませ。
…って、毎度リンク勝手に貼っ付けて紹介しちゃって済みませんです。(汗)
【8/20追記:写真の説明】…フォレストヴィラのバルコニーから観た夕景。
湖に夕陽が映ってます。
…勝手ながら『その30』と写真取替えました、済みませぬ。(汗)
サンドイッチもスコーンもケーキも食い終ったし、ロビーの演奏も終ったしで、そろそろチェックインしようかって話になった。
席を立とうとしたら、店の人がまたすーっと近付いて来て、今日飲んだお茶っ葉を記念にって俺達によこした。
ゾロにはダージリン、ナミにはアール…なんつったっけ??ミカンみてェなにおいの茶、俺にはシャンパー……イチゴジャムのにおいしたヤツだ。
ちっちぇ袋に1回分くれェしか入ってねェのはがっかりだったけど、記念だしな、ぜいたく言うなってナミに怒られそうだからだまってた。
ナミは感激して、家に帰ったらノジコやゲンさんにもいれてあげるんだって、大事そうにベルトポシェットん中しまってた。
そんで結局、ゾロと俺のお茶代はナミに払ってもらう事にした………正直後がメチャクチャ恐かったけど。
レジんトコで金払うんだろうと思ってナミの後ろついてく。
したらナミは、「会計は部屋付けにして後で精算する積りよ」っつった。
「場内ホテルに泊ってる間、ホテルで飲食した代金は、後で纏めてチェックアウトの時に支払ってもOKなんだって。だから今はサインするだけね。」
「へー!便利だなァー!」
「とまァそんな訳で…部屋付けにして貰えます?」
「かしこまりました。それではお客様のお部屋の番号を――」
「…………あ……!」
レジ係の女の言葉に、ナミがぎしっっと音出して固まっちまった。
「…お、おい…ナミ…どうした!?」
「何だー??便所でも行きたくなったのかー??」
「……あの…ひょっとして…チェックインしてからじゃないと、部屋付け駄目だったりします…?」
「…え?ええ、申し訳有りませんが……」
「――嗚呼!!馬鹿だっっ…!!私…大馬鹿だわァァ…!!どうして気が付かなかったのよォォォ…!!!」
よく解んねーけど、みるみるナミは落ち込んでって、レジ前で頭抱えてうずくまっちまった。
「……お前…まさか手持ちの金が足りねェとか…?」
「ううん…それは足りるけど…。」
「なんだ…なら良いじゃねェか、この場で払っちまえば。後だろうが今だろうが、払う料金は変んねェんだろうが。」
「料金変んなくとも気分が頗る変んの!!!…この私とした事が、こんな単純なミステイクしでかすなんて……悔しいィィィ~~~~!!!」
「あっはっは♪ナミはうっかりさんだなァァ~~~♪♪」
「うっさい!!!あんたにだけは言われたくないわよルフィ!!!!」
「あ、あの…!宜しければお待ちしますので…!直ぐ隣がフロントですから、どうぞチェックインされてから…あの…!」
取り乱すナミに引きずられたのか、レジ係の女までオロオロしながら話す。
「いいえ払います!!払えば良いんでしょ!!…後だろうが今だろうが払う料金は同じだもん!!」
「……だからさっきから俺がそう言ってるだろうが…ったく、面倒臭ェ女だぜ。」
「うっさいっつったでしょ!!!!グダグダ言ってんならあんたに全額払わせるわよゾロ!!!!」
顔面から悔しさみなぎらせてナミが金を払う。
そんなナミを相手にレジ係の女は、可哀想なくれェおびえてた。
……怒ったナミはえん魔様より恐ェからなァァ。
結局、お茶代はレジで現金払い、その後ようやくチェックインしようと、3人してフロントへ向った。
その前に、さっきとろうとしたお菓子の家や車に乗ったサンタを横にして写真をとった。
シャッター押そうとしたトコでホテルの人が近付いて来て、「宜しければお撮りしましょう」って言ってくれたんで、カメラ渡して頼んだ。
おかげで3人一緒に写真に入れた――親切だなァ。
またゾロを真ん中にしようとしたら、「てめェが真ん中立ちやがれ」っつって殴られた――不親切だなァ。
ロビーの真ん中にすんげー沢山のきれーな花が飾ってあったんで、これをバックにしてもとってもらった。
聞いたら400~500本くれェ花びん(って言うかでか過ぎてツボにしか見えなかったけど)に活けてあるらしい、しかも毎金曜に変えてるらしい――ぜいたくだなァ。
お茶代を部屋付けに出来なかったのがよっぽど悔しかったのか、ナミはしばらくプリプリ怒ってて触れんのも恐ろしかった。
けどロビーに飾ってある色々を観たり、写真とったりしてる内に、いつの間にやら鬼の顔を止めていた。
それ見てたゾロが後ろで、「まったくこの女は気分コロコロ変えやがって…扱い難いったらねェぜ」とか何とかぼそりとつぶやいてたけど、幸いにもナミには聞えなかったらしかった。
きれーなクリスマスリースの飾られたフロントで、ナミがチェックインをお願いしてる間、俺とゾロは後ろの高そうなイスに案内されて、ウェルカムドリンクもらって待っていた。
………ココア??
「ホットチョコレートね。」
受付し終えて戻って来たナミが、飲みながら言った。
「チョコレート??これ液体だぞ???」
「チョコレートは初め、飲み物にして嗜好されてたのよ。現代では固形にした物のがポピュラーだけどね。」
「へー、そうなのか~~。」
「だから要はココアだろうが。」
ちっちぇ白いカップにほんの1口分…甘くて温かくて美味かったんでおかわりもらおうとしたら、ナミに「サービスを過剰に受けようとすな!」って怒られた。
飲み終ってカップを返したトコで、ホテルの裏口に案内された。
外に青い車が停まってる、いよいよ泊る部屋に連れてってくれるらしい。
……ん?あれ??このホテルに泊んじゃねーのか???
「待て。泊るトコって此処じゃねェのか?」
ゾロも疑問に思ったらしい。
「ああ、面倒だから端折って説明するけど、私達の宿泊するトコはフォレストヴィラって言うコテージでね、このホテルに泊る訳じゃないの。ただ受付は此処、ホテルヨーロッパとなる訳。」
「……ややこしいなァ、おい。」
「元々の受付だった場所がスパの受付になっちゃったんだもの。仕方ないわ。」
「まー良いじゃねーかゾロ!早く車乗って行こーぜ!泊る部屋どんなんか見てーし♪」
車に乗せられ1分もしねェ内に、木や家が立並んだ場所へと出た。
家はかべが白と赤レンガの2タイプ有って、形はどれもおんなじだ。
その内の1けん、小さな赤い実が沢山生ってる木の側の、赤レンガのかべした家の前で車は停まった。
ここが、俺達の泊るコテージって事だった。
「素敵v柊の様に緑の葉と赤い実を沢山付けた木の側のコテージだなんて、クリスマスシーズンにぴったりv」
「なんて木だろーなー?…食えんのかなァ?この実。」
「何でも食おうとすな!!」
車から降りてホテルの人がカギを開ける。
木のドアにはクリスマスリースが飾られていた。
ガチャンと開き中へと案内される。
「玄関入って直ぐ、壁面のボックスにキータッグを差し込みますと、照明暖房TV等全ての電源が入りますので。」
とたんにパッと部屋の明りが点いた――す、すげェェェ!!!
「キータッグを此処から外しますと、電源はオフになります。」
今度はパッと部屋の明りが消える――おおお面白ェェェェ!!!!
「すげェすげェすげェすげェおんもしれェェェェ~!!!お俺にもやらせてくれェェェ!!!」
「ルフィ遊ぼうとすんじゃない!!!」
「いやまったく凄ェな。見掛けによらずハイテクだ。」
玄関上がってすぐ左には風呂と洗面所、その横にはトイレ、右は2階へと続く階段――2階まで在んのか!?ますますすんげ~~!!
1階のろう下を進んで水色の扉開くと、そこは広いリビングだった。
すでに荷物が中に運んで置いてある。
ざっと説明し終りホテルの人が帰ってく、ドアをガチャンと鳴らして外へ出た…と同時に俺達全員ニヤーンと顔を見合わせ、さっそく室内探険にくり出した。
「すっげーなーー!!」
「本当、すっごい!」
「見ろよ!フルーツセットが置いてある!!」
「って先ずそこかい!!!」
リビングのテーブルには、ナシ・カキ・リンゴが1つづつ、バナナ・キウイが2つづつ、ミカンが3つ、銀色のトレーに盛られて置いてあった。
皿にフォークにナイフにナプキン、メッセージカードまで一緒に置いてある。
「『Merry Ⅹmas 光の街 ハウステンボスへようこそ』…これ、お手製よ。折紙で折ったポインセチアが貼ってあって素敵v」
「こういうフルーツサービスって宿泊客全員にしてんのか?だとしたら大変なんじゃねェの?」
「良ーい所に気が付いたわねゾロ!実はこの特典は私が『カスタマーズクラブ』に入ってる事で受けられたサービスなのでェす!」
「「カスタマーズ??」」
「入会金も年会費も不要ってんで入っといたの♪会員の特典の1つに『ラッキーデー』って言うのが有って、こっちが設定しといた日(←注:設定日より前後2週間の範囲まで適用OK)に宿泊するとフルーツセットを用意してくれるって訳!」
「…お前……高々フルーツセットの為にそんなん入会したのかよ…?」
「あら、他にもチェックアウトを1時までに延長出来たり、サイン1つでチェックイン出来たり、記念日には部屋のグレードアップ(←注:これも記念日より前後2週間の範囲まで適用OK)してくれたり、いっぱい特典有るんだから!入会して30ヶ月宿泊が無ければ自動的に失効になるし、何より只で入れるんだから損は無いでしょ!?」
「ああ解った解った。仰る通りお得だよ。」
「ふん!まっひゃくほふは!ふへえひょほほひはん!!」
「…ってあんたは早速蜜柑食ってるし!!ちょっとは食から頭切り離したらどうなの!?」
「ほひゃっひゃほんほひゅふひひゃひゃふほは、ほへひょひゅひひゃ!!へっひゃふふいひゃんはひ、ひょほほほひゃへっほへほひゃひひひょうへ!!」
「っつか全部食べようとすな!!そのフルーツはあんただけのもんじゃないんだからね~~!!」
「おい、ちょっと2人共、こっち来てみろよ。絶景だぜ!」
「絶景?」
「へっへェ??」
窓から外のベランダ出てたゾロに呼ばれたんで、ナミと行ってみる。
目の前には、湖が広がっていた。
「素敵…湖に張り出したバルコニーだなんて…水面に映る紅葉した木々…ひっそりと湖の周囲に佇むコテージの並び…まるで絵葉書を観るみたい…。」
「良い眺めだろ?この景色を観れただけでも来た価値有ったかもな。」
「へェェ?誰かさんのブータレ病も治しちゃうなんて、このコテージを療養所に選んだ甲斐が有ったわァ。」
「…誰かさんって誰の事だよ?」
「さァて、誰でェしょお♪」
「…けっっ、誰かさんこそ、何時の間にか不機嫌治してやがって、付き合いきれねェってのっっ…。」
「……その誰かさんって、誰の事よ?」
「さて、誰の事やらァ~。」
「お!白鳥だ!白鳥が2羽こっちへ泳いでくっぞ!!」
湖の真ん中には島が在って、そっから2羽の白鳥がスイーッと泳いで、俺達の居るベランダ下まで寄って来た。
「餌をくれって言ってるみたいよ。」
「流石、観光客馴れしてるな。」
「つってもなー、リンゴ丸ごと落としてやる訳にいかねーし…」
「あんた、お昼にバナナマフィン買ってたじゃない。あれ1つあげれば?」
「えええ!!?嫌だ!!!なんで俺の食べもんやんなきゃなんねーんだよ!!??」
「ルフィ、あんたに有難ァい言葉を教えてあげる。『人はパンのみに生きるに非ず』…少しは『与える』って事を学んだら?」
「なんだよそれー!??パン無かったら腹減って死んじまうじゃねーか!!!」
「あら?パンが無かったらお菓子を食べれば良いじゃない。」
「バカだなナミ!!お菓子はデザートだぞ!?パンの前に食っちまっちゃいけねーんだからな!!」
「おめェらさっきから会話噛合ってねェよ。ってか支離滅裂だっての。…時にあの硝子張りの建物は何だ?」
ゾロが指差した右の方角には、でっかいガラスのドームみてェな建物が在った。
「あれは『ウェルネスセンター』って言って、プールやスパを営業してる所よ。明日、明後日の朝食会場もあそこ。」
「ああ、さっき言ってたこのコテージの元受付か。」
「へー!ここプールも在んのかー!!よし!後で行ってみよーぜ♪」
「カナヅチが何言ってんの!でも綺麗なプールよ。温室の様な、熱帯植物の繁ったトロピカルデザインのプールでね、時間が有れば寄ってみたいけど……多分、無理ね。」
夕陽が湖ん中うつって、ユラユラゆれながら光ってた。
湖がオレンジ色にそまってる、「もう直日が暮れるわね」と、ナミがつぶやいた。
白鳥はいつの間にか遠くに行っちまってた。
「餌をくれる気配しねェんで、他んトコ営業回り行っちまったんだろ。…しっかりしてるぜ。」
ゾロがあきれたように、笑って言った。
【その10に続】
…漸くチェックイン~。(汗)
フォレストヴィラは綺麗です、場所と部屋だけで言うんなら、1番の宿泊施設だと自分は思いますね。
『カスタマーズクラブ』、場内ホテルに宿泊するなら、入っとくと何かと便利、チェックアウトが午後1時ってかなし有難いっすよ。
詳しい説明は『カスタマーズ・コンシェルジュ』に連絡して、聞いてみて下さい。
ハウステンボスのスパ『RIN』は、結構評判良いみたいです。
体験レポがまったりさんの『ハウステンボス雑感』で詳しく書かれてますんで、宜しければ御参照下さいませ。
…って、毎度リンク勝手に貼っ付けて紹介しちゃって済みませんです。(汗)
【8/20追記:写真の説明】…フォレストヴィラのバルコニーから観た夕景。
湖に夕陽が映ってます。
…勝手ながら『その30』と写真取替えました、済みませぬ。(汗)