【前回の続きです】
「17:45に『ライティング・セレモニー』が始まるから観に行こう」とナミが言ったので、俺達はまた外へ出かけた。
ゾロだけコテージに残るって言い張ったけど、ナミとの口ゲンカに負けて、結局また3人で行く事になった。
「場所はお昼にクリスマスソングショーが行われたのと同じ、『アレキサンダー広場』って所よ。」
「行ったり来たり行ったり来たり行ったり来たり…何回リピートすりゃ飽きるんだ、てめェは!?」
「飽きずに惰眠貪リピートし続けてるあんたに言われたくないわよ。せっかく遊びに来たのに、普段と変らずただゴロゴロしてたんじゃ勿体無いでしょ?」
「何言ってんだ?せっかく遊びに来たからこそ、ゆっくりのんびり寛いで過しゃあ良いじゃねェか。誰にも気兼ね無くゴロゴロとよォ。」
「…だからあんたの場合、それじゃ普段の過し方と変んないじゃないの。」
「『ライティング・セレモニー』ってどんなショーだ?ナミ?」
「私も観た事無いからよくは知らないけど…ガイドに有る『光の街にイルミネーションを灯す感動的なセレモニーショー』との紹介文から推理するに、街の点灯式ってトコじゃないかしら?」
「てんとう??…でも何かもう周り中、明り点いてはいるぞ?」
夜になってすっかり暗くなった空の下、街にはポツポツと明りが点き始めていた。
道々通ってく途中に在る店に、オレンジ色のライトがピカピカ点っててきれいだった。
「けどドム・トールンとかツリーとか街路樹とか、結構点いてない箇所も多いでしょ?写真見る限り、未だ未だ、もっともぉっと綺麗になるみたいよ。」
「へー、ワクワクすんなァー♪早く点かねーかなー♪♪」
広場に着くと、野外ステージの前には人だかりが出来ていた。
すでにステージ前の席は全部埋まってる、どころか立観客でかべまで出来てる。
「今日は日曜だものねェ、もっと早くに来るべきだったわ!」
悔しそうに、ナミが言った。
しょうがないんで何とか背の低い立観客を見つけて、そいつの後ろに立って観る事にした。
こーいう時、背の高ェゾロはうらやましいよなー。
ショーが始まった、最初は話のろうどくからだった。
ある所にびんぼうな少年がいた。
そいつは親もいなくてさびしい奴だったけど、たった1人、いや、1匹のネズミが友達にいた。
だけどある日、そのネズミが死んじまうんだ。
独りっきりになっちまった少年は、悲しくて悲しくて、冷たくなったネズミの上に、ポロポロポロポロ止る事無く涙を流した。
その涙はいつしか光るしずくへと変り、どんどんどんどん辺りを明るく照らしてった……
「………てェか、『フランダースの犬』並に悲しい話だな。」
「…てゆーかクリスマス・ショーなんだから、もっと明るい話にして欲しいわよね。」
ゾロとナミの言う通りだと俺も思った。
ショーの最中にパカパカと馬の足音が聞えて来た。
足音する方へ首伸ばして見てみたら、そこには――
「サンタクロースだ!!!」
――そこには、光る馬車に乗ったサンタクロースが居た!
「やっぱクリスマス・ショーにはサンタが出ないとね♪」
「ま、盛り上がんねェわな。」
「くっそー!!人が多過ぎて上手く写真とれねーよ!!」
馬車から降りて、サンタがステージに上る。
白くて長いヒゲ生やしたサンタが、先が星の形したステッキを持ち高く振る。
ステージの上の奴等の歌声も高くなる。
――とたんに、街はいっぺんに明るくなり、歓声が上がった!
「すっげーー!!!とうが光ったァーーー!!!」
「見て見て!!後ろの大きなツリーも点灯されてる!!」
「成る程、こうやって一遍にライティングすんのか、巧い演出だな!」
まるでウェディングケーキみてェな、三段重ねの光るとう。
まるで光る実が沢山生ってるみてェな、でっかいクリスマス・ツリー。
周りに立ってる木も、1本残らずキラキラピカピカ。
ショーが終り、サンタはまた光る馬車に乗って行っちまった。
集まってた客も散らばってく、あっちこっちでさつえい会が始まってた。
ナミが自分達も写真をとろうと言った。
昼間見た、正面に花時計の飾られた教会の方へ行ってみる。
その教会も真っ白にキラキラ輝いてて、窓はうす紫色にピカピカしてて、もうメチャクチャきれーだった。
3人共真ん中に立つのを嫌がったんで、しょうがねーから今度は1人づつバラバラでとる事にした。
写す人の多い、人気さつえいスポットだったから大変だったけど、何とかスキ見つけて、でっけーツリー・教会・とうの3つ共入れて写真をとった。
「じゃあ、そろそろ夕食にしよーか?何食べたい?」
「おお!!さんせーだ!!!俺肉が食いてェェ!!!」
「俺は魚だな。和食が食いてェよ。」
「私も何となく和食が食べたいかな。洋食が続いてたからね。…2VS1、多数決により和食、魚食べに行こv」
「えええーー!!?肉ゥゥゥーー!!!!」
「肉は明日の昼!存分に食べさせてあげるわよ、ルフィ!」
魚料理食いに(←ちくしょー肉が良かった~)俺達は、元来た港街のスパ何とかに戻った。
その街の『サライ』って言う店のテンプラが美味くておすすめだから、そこで夕食にしようとナミが言った。
「『サライ』じゃなくて『真藍(さあい)』よ!!…以前私が来た時は『天狗』って名前の天婦羅料理屋さんだったんだけど、今は隣に在ったお寿司屋さんと一緒になって割烹居酒屋として営業してるんだって。揚げ立ての天婦羅が食べれて美味しいわよ~v」
「揚げ立てのテンプラか!?そりゃ美味そうだな♪♪」
「白い米の飯食えんなら何だっていいさ。正直洋食は飽きた。」
店の前に着く、料理の写真が貼られた板べいの真ん中が入口になってて、店名入った紺色ののれんが下がってた。
「なんかミスマッチだな」とゾロが笑う。
「建物は煉瓦造りの洋風、だけど和調。…このギャップが面白いんじゃない?」
のれんをくぐって扉を開けて中に入る。
だんぼうきいててあったけ~、ずっと外立ってショー観てたから、マジ有難ェと思った。
ここはおざしきだからくつ脱いで入るんだ、とナミに言われてくつを脱ぐ。
脱いだくつは、せんとうのゲタ箱みてェな所に入れて、カギかけるシステムなんだそうだ。
たたみに上がって店の人に案内されて、くるっと輪になってるような席に着いた。
下にしかれた座ぶとんが嬉しい。
真ん中には…調理場??どうやら俺達のちょうど前がテンプラ揚げる所らしかった。
「ああ成る程、客の前で揚げてくれるって訳か。」
「この席、変ってるな……床に穴開いてっぞ??」
「穴じゃなくて、掘り炬燵式って言って、座って下に足伸ばせる様なってるのよルフィ。その方が楽でしょ?」
「あそっかー!うん楽だ!確かに楽だな♪」
「で、何食や良いんだ??どれがお得でお勧めなんだナミ?」
「う~~ん………コースで頼んだ方が得だとは思うけど………1番安いコースで『華』、かしら…?」
「じゃあ俺はそれでいい。」
「あ!俺もそれ!!安くて量多くて美味いヤツが良い!!!」
「ルフィ、大声出さないで。…じゃ3人纏めて『華コース』でv」
注文すると同時に、お茶とオシボリが出て来た――ぬくい~~vv
「天つゆと先付けの『梅くじら』です」っつって、何か解んねー料理も出て来た。
どうやらこれ食って待ってろって意味らしい。
食ってみるとすっぺーけど結構イケた。
でもちょびっとしか無ェ……早くテンプラ食いてェなァ~~~。
周り見回すとまだそんなに人がいねェ。
「7時近くなったら入って来るんじゃない?」とナミが言った。
そのとなりでゾロが「やっぱ酒欲しいよなァ」とボソリとつぶやいてた。
しばらく待って、ようやく料理人らしきおっさんが、客席の真ん中開いてるスペース入ってって、俺達の前で料理し出した。
じーっと観てたら………粉といてコロモ作ってるっぽい??
ボールの下に氷当てて、シャカシャカかき混ぜてる……
考えてみたら、俺、テンプラ作るトコ初めて観るな~。
前にサンジにメチャ美味ェ天丼作ってもらったけど、サンジもこんなすげェスピードでシャカシャカかき混ぜんだろうか?
今度作ってるトコ観せてもらおう。
かき混ぜ終ったのか、おっさん手を止めた――で、店の奥に引っこんじまった。
……………ボールそのままにして帰って来ねェ………
…………………………。
……………………………………………………。
「ぐおおーーーーーー!!!!!メシメシメシメシ腹へったーーーーーー!!!!!早く食わせろーーーーーーーー!!!!!!」
「ルフィ!!!迷惑だからジタバタ暴れない!!!もう高校三年生なんだから、大人しく待ってなさい!!!!」
「あんだけ食い捲っててそれでも腹減らせるなんて、これも1つの才能だよな。」
またしばらく待って、よう~~~やく料理人のおっさんが帰って来た!!
今度はちゃんと野菜や魚にコロモ付けて、どんどん揚げてってくれた。
メシに味噌汁漬物も出て来た。
おっさん無言でジュワジュワ揚げてってくれる……なんかゾロに似たぶっちょう面だな~。
揚がったテンプラをかなあみ乗った器に盛って出してくれた――うおお!!!待ってました!!!!
天汁たっぷり付けて食ってみる。
「う……う……うんめェェェ~~~!!!!」
「涙流す程感動する事も無いでしょが、ルフィ。」
「いや確かに美味ェほほりゃ!!…やっぱ天婦羅は揚げ立てに限るな♪」
キスにメジナにサツマイモにシシトウにナスにイカにでっけーエビ3本。
どれもこれもカラッとしててあっつあつで最っっっ高に美味かった!!
赤だしの味噌汁もうんめェェェ!!
メシおかわりしてまで一気に食っちまった。
お茶のおかわりもらって一息入れる。
「あーーー………美味かった…!!」
「うん、美味かったな。ご馳走様!」
「2人に喜んで貰えて嬉しいわv…後は果物が来て終りだけど……待ってるとショーの時間に間に合わないなァ…」
「ショー??今度は何のショーだよ?」
「『光の宮殿クリスマスコンサート』。7時からパレスの方でやるみたい…後5分しかないわ……2人共、ゴメン!悪いけど、果物諦めて、急いで店出てくれる!?」
「えええーーー!!??なな何でだよォーーー!!???」
「明日って日も有んだから、今夜は諦めりゃ良いじゃねェか。」
「明日の月曜はこのショー休演なのよ。火曜には私達帰っちゃうから、今夜しか観る機会無いんだってば!」
「嫌だ!!!俺は果物食ってく!!!1品でも残したらもったい無ェし腹減るし、料理した人に悪ィじゃねェか!!!!」
「………ルフィ………あんたねェェェ~~……さっき1人で蜜柑3ヶ林檎1ヶ梨1ヶ柿1ヶバナナ2本も食っといてよくもそんな事言えるわね!!!?気付けばキウイ2ヶだけしか残ってないなんてざけんじゃないわよ!!!!あれは私が会員だったお陰でサービスとして貰ったもんなんだから!!!!あんた地上に有る食い物は全部自分のもんだとでも思ってんじゃないの!!!?ええ!!!?仰い!!!!!」
「ぶっっ…!!!ぐええっっ!!!や…止め!!ナミ!!止めろ!!!腹ふみぐりすん…ぶへェ!!!ナスイカエビ味噌汁全部出ちまっっっ――ぐええっっっ!!!!」
――ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり!!!
「流石にキウイは皮付で食うと美味くないと踏んだんだろうな、こいつでも。」
「おぅい、此処のお客さん達に果物お出しして、早く!」
料理人のおっさんがさいそくしてくれたおかげで果物はすぐに出て来た。
果物は、ぶどうとオレンジだった。
もちろん残さず全部食った。(きっぱり)
急いで店を後にする俺達と入れ替わりに、10人ばかりの団体のお客が入って来た。
時間にして7:10…………結局、ショーには間に合わなかった。
【その12に続】
写真の説明~、光の塔、『ドム・ツリー』…ドム・トールンにイルミネーションが点ったもの。
ライティング・ショーのクライマックスは、これを点灯するシーンで御座います。
今年の話はちょっと悲し過ぎっつか、真面目さがハウステンボスらしいとは思いましたが(笑)…やっぱクリスマスのショーは、個人的には楽しさだけにしといた方が良いかと。(汗)
ライティング・ショー自体は素敵でしたv毎年の楽しみで御座います♪
【2006年8/4追記】…【真藍】は8/1より、【花の家】と店名を変え、リニューアルオープンしました。
…残念ながら、話中で出したお座敷天婦羅コーナーは無くなってしまったらしいです。(涙)
とは言え天婦羅がもう食べられないって訳でもなく、今迄以上にお得なメニューも増えてますので、むしろ家族向けに改善されて悪くないかもしれない。
詳しくはまったりさんのブログにて。
「17:45に『ライティング・セレモニー』が始まるから観に行こう」とナミが言ったので、俺達はまた外へ出かけた。
ゾロだけコテージに残るって言い張ったけど、ナミとの口ゲンカに負けて、結局また3人で行く事になった。
「場所はお昼にクリスマスソングショーが行われたのと同じ、『アレキサンダー広場』って所よ。」
「行ったり来たり行ったり来たり行ったり来たり…何回リピートすりゃ飽きるんだ、てめェは!?」
「飽きずに惰眠貪リピートし続けてるあんたに言われたくないわよ。せっかく遊びに来たのに、普段と変らずただゴロゴロしてたんじゃ勿体無いでしょ?」
「何言ってんだ?せっかく遊びに来たからこそ、ゆっくりのんびり寛いで過しゃあ良いじゃねェか。誰にも気兼ね無くゴロゴロとよォ。」
「…だからあんたの場合、それじゃ普段の過し方と変んないじゃないの。」
「『ライティング・セレモニー』ってどんなショーだ?ナミ?」
「私も観た事無いからよくは知らないけど…ガイドに有る『光の街にイルミネーションを灯す感動的なセレモニーショー』との紹介文から推理するに、街の点灯式ってトコじゃないかしら?」
「てんとう??…でも何かもう周り中、明り点いてはいるぞ?」
夜になってすっかり暗くなった空の下、街にはポツポツと明りが点き始めていた。
道々通ってく途中に在る店に、オレンジ色のライトがピカピカ点っててきれいだった。
「けどドム・トールンとかツリーとか街路樹とか、結構点いてない箇所も多いでしょ?写真見る限り、未だ未だ、もっともぉっと綺麗になるみたいよ。」
「へー、ワクワクすんなァー♪早く点かねーかなー♪♪」
広場に着くと、野外ステージの前には人だかりが出来ていた。
すでにステージ前の席は全部埋まってる、どころか立観客でかべまで出来てる。
「今日は日曜だものねェ、もっと早くに来るべきだったわ!」
悔しそうに、ナミが言った。
しょうがないんで何とか背の低い立観客を見つけて、そいつの後ろに立って観る事にした。
こーいう時、背の高ェゾロはうらやましいよなー。
ショーが始まった、最初は話のろうどくからだった。
ある所にびんぼうな少年がいた。
そいつは親もいなくてさびしい奴だったけど、たった1人、いや、1匹のネズミが友達にいた。
だけどある日、そのネズミが死んじまうんだ。
独りっきりになっちまった少年は、悲しくて悲しくて、冷たくなったネズミの上に、ポロポロポロポロ止る事無く涙を流した。
その涙はいつしか光るしずくへと変り、どんどんどんどん辺りを明るく照らしてった……
「………てェか、『フランダースの犬』並に悲しい話だな。」
「…てゆーかクリスマス・ショーなんだから、もっと明るい話にして欲しいわよね。」
ゾロとナミの言う通りだと俺も思った。
ショーの最中にパカパカと馬の足音が聞えて来た。
足音する方へ首伸ばして見てみたら、そこには――
「サンタクロースだ!!!」
――そこには、光る馬車に乗ったサンタクロースが居た!
「やっぱクリスマス・ショーにはサンタが出ないとね♪」
「ま、盛り上がんねェわな。」
「くっそー!!人が多過ぎて上手く写真とれねーよ!!」
馬車から降りて、サンタがステージに上る。
白くて長いヒゲ生やしたサンタが、先が星の形したステッキを持ち高く振る。
ステージの上の奴等の歌声も高くなる。
――とたんに、街はいっぺんに明るくなり、歓声が上がった!
「すっげーー!!!とうが光ったァーーー!!!」
「見て見て!!後ろの大きなツリーも点灯されてる!!」
「成る程、こうやって一遍にライティングすんのか、巧い演出だな!」
まるでウェディングケーキみてェな、三段重ねの光るとう。
まるで光る実が沢山生ってるみてェな、でっかいクリスマス・ツリー。
周りに立ってる木も、1本残らずキラキラピカピカ。
ショーが終り、サンタはまた光る馬車に乗って行っちまった。
集まってた客も散らばってく、あっちこっちでさつえい会が始まってた。
ナミが自分達も写真をとろうと言った。
昼間見た、正面に花時計の飾られた教会の方へ行ってみる。
その教会も真っ白にキラキラ輝いてて、窓はうす紫色にピカピカしてて、もうメチャクチャきれーだった。
3人共真ん中に立つのを嫌がったんで、しょうがねーから今度は1人づつバラバラでとる事にした。
写す人の多い、人気さつえいスポットだったから大変だったけど、何とかスキ見つけて、でっけーツリー・教会・とうの3つ共入れて写真をとった。
「じゃあ、そろそろ夕食にしよーか?何食べたい?」
「おお!!さんせーだ!!!俺肉が食いてェェ!!!」
「俺は魚だな。和食が食いてェよ。」
「私も何となく和食が食べたいかな。洋食が続いてたからね。…2VS1、多数決により和食、魚食べに行こv」
「えええーー!!?肉ゥゥゥーー!!!!」
「肉は明日の昼!存分に食べさせてあげるわよ、ルフィ!」
魚料理食いに(←ちくしょー肉が良かった~)俺達は、元来た港街のスパ何とかに戻った。
その街の『サライ』って言う店のテンプラが美味くておすすめだから、そこで夕食にしようとナミが言った。
「『サライ』じゃなくて『真藍(さあい)』よ!!…以前私が来た時は『天狗』って名前の天婦羅料理屋さんだったんだけど、今は隣に在ったお寿司屋さんと一緒になって割烹居酒屋として営業してるんだって。揚げ立ての天婦羅が食べれて美味しいわよ~v」
「揚げ立てのテンプラか!?そりゃ美味そうだな♪♪」
「白い米の飯食えんなら何だっていいさ。正直洋食は飽きた。」
店の前に着く、料理の写真が貼られた板べいの真ん中が入口になってて、店名入った紺色ののれんが下がってた。
「なんかミスマッチだな」とゾロが笑う。
「建物は煉瓦造りの洋風、だけど和調。…このギャップが面白いんじゃない?」
のれんをくぐって扉を開けて中に入る。
だんぼうきいててあったけ~、ずっと外立ってショー観てたから、マジ有難ェと思った。
ここはおざしきだからくつ脱いで入るんだ、とナミに言われてくつを脱ぐ。
脱いだくつは、せんとうのゲタ箱みてェな所に入れて、カギかけるシステムなんだそうだ。
たたみに上がって店の人に案内されて、くるっと輪になってるような席に着いた。
下にしかれた座ぶとんが嬉しい。
真ん中には…調理場??どうやら俺達のちょうど前がテンプラ揚げる所らしかった。
「ああ成る程、客の前で揚げてくれるって訳か。」
「この席、変ってるな……床に穴開いてっぞ??」
「穴じゃなくて、掘り炬燵式って言って、座って下に足伸ばせる様なってるのよルフィ。その方が楽でしょ?」
「あそっかー!うん楽だ!確かに楽だな♪」
「で、何食や良いんだ??どれがお得でお勧めなんだナミ?」
「う~~ん………コースで頼んだ方が得だとは思うけど………1番安いコースで『華』、かしら…?」
「じゃあ俺はそれでいい。」
「あ!俺もそれ!!安くて量多くて美味いヤツが良い!!!」
「ルフィ、大声出さないで。…じゃ3人纏めて『華コース』でv」
注文すると同時に、お茶とオシボリが出て来た――ぬくい~~vv
「天つゆと先付けの『梅くじら』です」っつって、何か解んねー料理も出て来た。
どうやらこれ食って待ってろって意味らしい。
食ってみるとすっぺーけど結構イケた。
でもちょびっとしか無ェ……早くテンプラ食いてェなァ~~~。
周り見回すとまだそんなに人がいねェ。
「7時近くなったら入って来るんじゃない?」とナミが言った。
そのとなりでゾロが「やっぱ酒欲しいよなァ」とボソリとつぶやいてた。
しばらく待って、ようやく料理人らしきおっさんが、客席の真ん中開いてるスペース入ってって、俺達の前で料理し出した。
じーっと観てたら………粉といてコロモ作ってるっぽい??
ボールの下に氷当てて、シャカシャカかき混ぜてる……
考えてみたら、俺、テンプラ作るトコ初めて観るな~。
前にサンジにメチャ美味ェ天丼作ってもらったけど、サンジもこんなすげェスピードでシャカシャカかき混ぜんだろうか?
今度作ってるトコ観せてもらおう。
かき混ぜ終ったのか、おっさん手を止めた――で、店の奥に引っこんじまった。
……………ボールそのままにして帰って来ねェ………
…………………………。
……………………………………………………。
「ぐおおーーーーーー!!!!!メシメシメシメシ腹へったーーーーーー!!!!!早く食わせろーーーーーーーー!!!!!!」
「ルフィ!!!迷惑だからジタバタ暴れない!!!もう高校三年生なんだから、大人しく待ってなさい!!!!」
「あんだけ食い捲っててそれでも腹減らせるなんて、これも1つの才能だよな。」
またしばらく待って、よう~~~やく料理人のおっさんが帰って来た!!
今度はちゃんと野菜や魚にコロモ付けて、どんどん揚げてってくれた。
メシに味噌汁漬物も出て来た。
おっさん無言でジュワジュワ揚げてってくれる……なんかゾロに似たぶっちょう面だな~。
揚がったテンプラをかなあみ乗った器に盛って出してくれた――うおお!!!待ってました!!!!
天汁たっぷり付けて食ってみる。
「う……う……うんめェェェ~~~!!!!」
「涙流す程感動する事も無いでしょが、ルフィ。」
「いや確かに美味ェほほりゃ!!…やっぱ天婦羅は揚げ立てに限るな♪」
キスにメジナにサツマイモにシシトウにナスにイカにでっけーエビ3本。
どれもこれもカラッとしててあっつあつで最っっっ高に美味かった!!
赤だしの味噌汁もうんめェェェ!!
メシおかわりしてまで一気に食っちまった。
お茶のおかわりもらって一息入れる。
「あーーー………美味かった…!!」
「うん、美味かったな。ご馳走様!」
「2人に喜んで貰えて嬉しいわv…後は果物が来て終りだけど……待ってるとショーの時間に間に合わないなァ…」
「ショー??今度は何のショーだよ?」
「『光の宮殿クリスマスコンサート』。7時からパレスの方でやるみたい…後5分しかないわ……2人共、ゴメン!悪いけど、果物諦めて、急いで店出てくれる!?」
「えええーーー!!??なな何でだよォーーー!!???」
「明日って日も有んだから、今夜は諦めりゃ良いじゃねェか。」
「明日の月曜はこのショー休演なのよ。火曜には私達帰っちゃうから、今夜しか観る機会無いんだってば!」
「嫌だ!!!俺は果物食ってく!!!1品でも残したらもったい無ェし腹減るし、料理した人に悪ィじゃねェか!!!!」
「………ルフィ………あんたねェェェ~~……さっき1人で蜜柑3ヶ林檎1ヶ梨1ヶ柿1ヶバナナ2本も食っといてよくもそんな事言えるわね!!!?気付けばキウイ2ヶだけしか残ってないなんてざけんじゃないわよ!!!!あれは私が会員だったお陰でサービスとして貰ったもんなんだから!!!!あんた地上に有る食い物は全部自分のもんだとでも思ってんじゃないの!!!?ええ!!!?仰い!!!!!」
「ぶっっ…!!!ぐええっっ!!!や…止め!!ナミ!!止めろ!!!腹ふみぐりすん…ぶへェ!!!ナスイカエビ味噌汁全部出ちまっっっ――ぐええっっっ!!!!」
――ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり!!!
「流石にキウイは皮付で食うと美味くないと踏んだんだろうな、こいつでも。」
「おぅい、此処のお客さん達に果物お出しして、早く!」
料理人のおっさんがさいそくしてくれたおかげで果物はすぐに出て来た。
果物は、ぶどうとオレンジだった。
もちろん残さず全部食った。(きっぱり)
急いで店を後にする俺達と入れ替わりに、10人ばかりの団体のお客が入って来た。
時間にして7:10…………結局、ショーには間に合わなかった。
【その12に続】
写真の説明~、光の塔、『ドム・ツリー』…ドム・トールンにイルミネーションが点ったもの。
ライティング・ショーのクライマックスは、これを点灯するシーンで御座います。
今年の話はちょっと悲し過ぎっつか、真面目さがハウステンボスらしいとは思いましたが(笑)…やっぱクリスマスのショーは、個人的には楽しさだけにしといた方が良いかと。(汗)
ライティング・ショー自体は素敵でしたv毎年の楽しみで御座います♪
【2006年8/4追記】…【真藍】は8/1より、【花の家】と店名を変え、リニューアルオープンしました。
…残念ながら、話中で出したお座敷天婦羅コーナーは無くなってしまったらしいです。(涙)
とは言え天婦羅がもう食べられないって訳でもなく、今迄以上にお得なメニューも増えてますので、むしろ家族向けに改善されて悪くないかもしれない。
詳しくはまったりさんのブログにて。