刑訴法のC型答練第3回が終了しました。
今回第3回のプレ講義はどちらも難しかったです。
セミナーのスタンダード100を全科目揃えました。論文の森も来年必要かもしれませんので、2つの参考書で論文を頑張ろうと思います。
訴因変更の要否
検察官が設定した訴因と異なる心証を抱いた裁判所は、訴因変更をせずに判決を下せるか。
↓
思うに、現行法は当事者主義を採用(256条6項、298条1項、312条1項)していることから、審判対象である訴因は、一方当事者たる検察官のみが設定可能である具体的犯罪事実である。
とすれば、事実の変化があれば訴因変更が必要になる。
↓もっとも
わずかな事実の変化でも訴因変更が必要になるわけではない。
では、どのような場合に訴因変更が必要になるか。
↓
思うに、訴因は、被告人に対しては、防御の範囲を明示する機能を有する。とすれば、被告人の防御活動に重要な変化があり、そのまま裁判所が判断すれば被告人に防御上の不利益が生じる場合に重要な事実の変化があったといえ、訴因変更が必要になると解する。
訴因変更の可否
検察官からの訴因変更請求があれば、裁判所は「公訴事実の同一性」(312条1項)の範囲内であれば、これを認めなければならない。
では、「公訴事実の同一性」の範囲とはどのような基準をもって判断するか。
↓
思うに、公訴事実の同一性は、訴因変更の限界を画する機能的概念に過ぎない。かかる機能は、被告人の防御範囲を明示し、訴訟の一回的解決を図ることにある。とすれば、かかる機能を実現するためには、新旧訴因を比較して、基本的事実に同一性があれば、「公訴事実の同一性」ありと判断するべきと解する。
訴因変更命令義務
裁判所が釈明(規則208条)を求めても、検察官が訴因変更請求を行わない場合、裁判所は、訴因変更命令(312条2項)をすることができる。ただし、かかる命令には形成的効果はなく、命令により訴因が当然に変更されるわけではない。よって、かかる命令は勧告的な役割に過ぎないと解する。
では、裁判所は訴因変更命令について義務を負うか。
現行法は当事者主義を採用していることから、訴因の設定・維持・変更は検察官の専権である。
↓よって
原則、裁判所は訴因変更命令義務を負わない。
↓もっとも
かかる義務を全く負わないとすれば、裁判所は無罪判決を下すしかなく、一時不再理効から、新訴因について検察官は再起訴できなくなる。
これは、真実発見の要請、司法的正義の要請に反する。
↓そこで
例外的に、①犯罪が重大な場合、②証拠上有罪であることが明白な場合に限り、訴因変更命令義務を負うと解する。
317条の意義
事実の認定は証拠によるとされる。
317条の趣旨は、第一に、自白による犯罪事実の認定をする証拠裁判主義を排除することである。
第二に、証拠能力、証拠調手続きについて厳格な規定がなされていることから、事実は証拠能力があり、かつ、適式な手続きを経た証拠にのみ証明される、厳格な証明を規定している。
また、「事実」は、罪を断ずるべき事実であり、335条は「罪となるべき事実」について証拠説明を規定していることから、公訴犯罪事実を含むと解する。
さらに、適正手続きにより人権保障を図る点から、事実は、刑罰権の存否及び範囲を定める事実であり、これは厳格な証明によらなければならない、とされたものである。
今回第3回のプレ講義はどちらも難しかったです。
セミナーのスタンダード100を全科目揃えました。論文の森も来年必要かもしれませんので、2つの参考書で論文を頑張ろうと思います。
訴因変更の要否
検察官が設定した訴因と異なる心証を抱いた裁判所は、訴因変更をせずに判決を下せるか。
↓
思うに、現行法は当事者主義を採用(256条6項、298条1項、312条1項)していることから、審判対象である訴因は、一方当事者たる検察官のみが設定可能である具体的犯罪事実である。
とすれば、事実の変化があれば訴因変更が必要になる。
↓もっとも
わずかな事実の変化でも訴因変更が必要になるわけではない。
では、どのような場合に訴因変更が必要になるか。
↓
思うに、訴因は、被告人に対しては、防御の範囲を明示する機能を有する。とすれば、被告人の防御活動に重要な変化があり、そのまま裁判所が判断すれば被告人に防御上の不利益が生じる場合に重要な事実の変化があったといえ、訴因変更が必要になると解する。
訴因変更の可否
検察官からの訴因変更請求があれば、裁判所は「公訴事実の同一性」(312条1項)の範囲内であれば、これを認めなければならない。
では、「公訴事実の同一性」の範囲とはどのような基準をもって判断するか。
↓
思うに、公訴事実の同一性は、訴因変更の限界を画する機能的概念に過ぎない。かかる機能は、被告人の防御範囲を明示し、訴訟の一回的解決を図ることにある。とすれば、かかる機能を実現するためには、新旧訴因を比較して、基本的事実に同一性があれば、「公訴事実の同一性」ありと判断するべきと解する。
訴因変更命令義務
裁判所が釈明(規則208条)を求めても、検察官が訴因変更請求を行わない場合、裁判所は、訴因変更命令(312条2項)をすることができる。ただし、かかる命令には形成的効果はなく、命令により訴因が当然に変更されるわけではない。よって、かかる命令は勧告的な役割に過ぎないと解する。
では、裁判所は訴因変更命令について義務を負うか。
現行法は当事者主義を採用していることから、訴因の設定・維持・変更は検察官の専権である。
↓よって
原則、裁判所は訴因変更命令義務を負わない。
↓もっとも
かかる義務を全く負わないとすれば、裁判所は無罪判決を下すしかなく、一時不再理効から、新訴因について検察官は再起訴できなくなる。
これは、真実発見の要請、司法的正義の要請に反する。
↓そこで
例外的に、①犯罪が重大な場合、②証拠上有罪であることが明白な場合に限り、訴因変更命令義務を負うと解する。
317条の意義
事実の認定は証拠によるとされる。
317条の趣旨は、第一に、自白による犯罪事実の認定をする証拠裁判主義を排除することである。
第二に、証拠能力、証拠調手続きについて厳格な規定がなされていることから、事実は証拠能力があり、かつ、適式な手続きを経た証拠にのみ証明される、厳格な証明を規定している。
また、「事実」は、罪を断ずるべき事実であり、335条は「罪となるべき事実」について証拠説明を規定していることから、公訴犯罪事実を含むと解する。
さらに、適正手続きにより人権保障を図る点から、事実は、刑罰権の存否及び範囲を定める事実であり、これは厳格な証明によらなければならない、とされたものである。